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2022年世界幸福度ランキングが発表された。世界と日本の現状はどうなっているのか、一覧で紹介する。上位国、下位国、そして日本にはそれぞれどういった特徴が見られるのだろうか。昨年の順位と比較しつつ、世界の幸福度を確認してみよう。
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2022年版ランキングにおいても、絶対的な強さを示したのが北欧諸国である。ランキング1位に輝いたフィンランドは、5年連続での首位獲得となった。北欧諸国は、どこもさほど大きな国ではない。昨今の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大にもかかわらず、幸福度を維持している点に注目すべきだろう。
北欧諸国の強みは、充実した社会保障制度や犯罪率の低さ、生活水準の高さなどが挙げられる。今回の調査によって、パンデミックにも負けない社会基盤の強さを示したと言えるだろう。
一方でランキング下位国の顔ぶれも、前回のランキングとさほど変わっていない。経済的に貧しい国々や、過去の紛争の影響が色濃く残る地域、また現在も紛争がおさまっていない国においては、世界幸福度調査に関連する指標を上げることは難しいだろう。
一方で、タンザニアやジンバブエのように、毎年少しずつランクを上げている国もある。政情不安のない安定した状況の継続こそが、指標アップの鍵と言えそうだ。
2022年3月に発表された「World Happiness Report 2022」において、ロシアによるウクライナ侵攻の影響は考慮されていない。侵攻が始まったのは2022年2月のことであり、来年以降、多大な影響を及ぼすと考えられる。
ちなみに、2022年版ランキングでウクライナの順位は98位、ロシアの順位は80位である。軍事侵攻によってウクライナが受けた被害は甚大なものだ。また侵攻に伴い、ロシア国内でもさまざまな変化が生じている。来年以降、非常に大きなランキング変動が起こる可能性もあるだろう。
2022年の世界幸福度ランキングにおいて、日本の順位は54位であった。2020年の62位、2021年の56位と比較すると、少しずつではあるがランキングが上がってきていることがわかる。とはいえ、そのほかの先進国と比較すると、まだまだその順位は低いというのが現状だ。
日本のGDPは高く、また社会保障制度も充実している。世界的に見ても治安は良く、暮らしやすい環境が整っていると言えるだろう。実際に、「1人当たり国内総生産(GDP)」「社会保障制度などの社会的支援の充実」「健康寿命」「人生の選択における自由度」の数値だけを見ると、ランキング上位国と、さほど大きな差がないのだ。
それにもかかわらず順位が伸びない理由は、「他者への寛容さ」と「国への信頼度」が低い点にある。また、国民それぞれが抱く「主観的幸福度」についても、1位のフィンランドの「2.518」に対して、日本は「1.487」。幸福感を抱きにくい社会の仕組みも、問題の一つと言えるだろう。ちなみに、日本よりもランキングが高い国々の中で、主観的幸福度が日本よりも低い国は、シンガポールとエストニアのわずか2つである。
2021年版ランキングでの日本の主観的幸福度の数値は「2.048」であった。新型コロナウイルスの影響の長期化によって、多くの国で数値が減少しており、もちろん日本も例外ではない。今後、新たな社会の中で、どのように幸福を実感できるようにしていくのかが、鍵となるだろう。
国連機関が毎年発表している、世界幸福度ランキング。毎年日本の順位が大々的に報じられることもあり、「つい気になってしまう」という方も多いのではないだろうか。
ランキングからは、各国が抱えている「いま」が透けて見えてくる。日本の順位が伸び悩む理由も、「課題」として前向きに捉えてみよう。ランキング上位国の顔ぶれは、今年も大きく変わっていない。幸福度とは何か、ランキング上位国から学んでみるのも良さそうだ。
※1 Happiness, benevolence, and trust during COVID-19 and beyond|World Happiness Report
※2 Happiness, trust, and deaths under COVID-19|World Happiness Report
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