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ビリー・アイリッシュが、気候危機への対応に考慮したワールドツアーを開始した。環境問題について学びながら、その場でアクションを起こせる仕組みに注目が集まっている。ビリーをはじめ、音楽業界では環境に配慮したツアーなどの活動がスタンダードになりつつある。
神本萌 |Moe Kamimoto
フリーランスライター
大学時代に南アジア文化を学んだことをきっかけに、環境や人権の問題に関心を持つ。それ以降、より自分と地球にやさしい暮らしを目指して勉強中。趣味は写真。
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アメリカのシンガーソングライター、ビリー・アイリッシュが、ワールドツアー「Happier Than Ever(ハピアー・ザン・エヴァー)」を開始。気候危機に立ち向かうミュージシャンを支援する非営利団体「REVERB(リバーブ)」と提携し、クライメートポジティブなツアーを目指す。
同ツアーには、ファンが楽しみながら気候危機への理解を深め、その場で行動に移せるしくみが満載だ。例えば、各会場には「エコヴィレッジ」と名付けられた特設スペースを設置し、チケット購入者を対象にイベントを開催している。ファンは気候危機に関するクイズに挑戦したり、各地域で活動している非営利団体とつながったりできる。
その他、寄付と引き換えにビリーがデザインしたカスタムボトルをもらえるほか、気候危機へのアクションを起こせば、ビリーのサイン入りグッズが当たる抽選にも参加可能。気候危機への関心が薄い層に呼びかけるのに効果的だ。
さらに、すべての会場で販売する食事はプラントベース。通常は、プラントベースの料理は割高であることが多いが、ここではプラントベースではない料理と同等の価格で提供している。価格を理由に選ぶことがなかった人も、これなら手を出しやすい。おまけに、ツアー関係者の食事もすべてプラントベースにし、容器は再利用もしくは堆肥化可能なものを使用している。
気候危機への取り組みは、ファンに見える部分だけではない。ツアーに参加するクルーの移動や、ホテル滞在中の二酸化炭素排出量をすべて計算。その結果をもとに、気候危機に取り組む団体に資金を提供することでオフセットするという。
ビリーは、以前から気候危機や動物保護を呼びかける発信を続けており、過去のツアーでも環境に配慮した取り組みを行っていた。2021年には、それらの活動が評価され、国際動物愛護団体である「PETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)」による「今年の人(パーソン・オブ・ザ・イヤー)」に最年少で選出された。
ビリーだけではなく、ジャック・ジョンソンやマルーン5などの大物アーティストもREVERB(リバーブ)と提携し、同様の取り組みを行っている。他にも、コールドプレイやマッシヴ・アタックなども環境への負荷を軽減したツアー等を独自に実施。音楽業界では、環境に配慮したツアーなどが、新たなスタンダートとなりつつある。
発信力のあるアーティストの行動は、人々と環境に大きな影響を与える。ビリーはツアーを通して、一人ひとりにできることがあると伝えようとしている。環境問題について学ぶことも、非常に重要なアクションのひとつだ。応援するアーティストとともに、自分にできることから始めてみてはいかがだろう。
※ 参考
BILLIE EILISH : HAPPIER THAN EVER|REVERB
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