コールドプレイが「低炭素なツアー」を発表 観客が自家発電を行う試みも

コールドプレイが「低炭素なツアー」を発表

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コールドプレイは、2022年のグローバルツアーを可能な限り持続可能で低炭素な内容にすることを約束。観客たちが自家発電するスペースや、出演者の移動方法の工夫などによって、例年に比べて50%以上の二酸化炭素排出量削減を目指す。

染谷優衣

フリーランスライター

YouTubeのThrift Filp動画をきっかけにサステナブルに興味を持つ。最近は洋服のリメイクを勉強中。リサイクルショップで掘り出し物の古着を見つけるのが好き。

2021.10.28

全公演で100%再生可能エネルギーを使用 50%以上のCO2削減を宣言

客席目線のライブの様子

Photo by Jorge Gordo on Unsplash

イギリスのロックバンド「コールドプレイ」は、2022年のグローバルツアーの日程発表にともない、本ツアーをできる限り持続可能で低炭素なものにすることを明らかにした。

コールドプレイは2019年に、今後のすべてのツアーを地球にとって可能な限り有益なものとなるよう試みると発表していた。2022年のグローバルツアーは、この発表を行ってから初めてのツアーとなる。

グローバルツアーは、2022年3月にコスタリカでスタート。ドミニカ共和国、メキシコ、アメリカ、ドイツ、ポーランド、フランス、ベルギーなどの世界各地で公演を行う。そして、これらのすべての会場でソーラーパネルが設置され、100%再生可能エネルギーが使用される。

ユニークなのは、会場を訪れる観客がみずから発電できることだ。会場の内部や周辺には特殊なフロアが設置され、観客の動きをエネルギーに変換する。またエアロバイクで発電できるスペースが設けられ、それらのエネルギーはBMWと共同で開発したモバイル充電式バッテリーに蓄えられ、コンサートで使用される。

その結果、今回のグローバルツアーで直接排出されるCO2は、直近の2016〜2017年のツアーに比べて、50%以上削減されるという。

また、公演を訪れる観客に対しても、CO2排出量を減らすよう奨励。CO2排出量の少ない交通手段を選択して会場を訪れると、割引などの特典を受けられる。会場では不要な使い捨てペットボトルの廃棄をなくすため、飲料水を無料で提供。観客はマイボトルを持参して利用できる。

コールドプレイのメンバーとスタッフの移動に関しても、CO2排出をできるだけ抑えるよう配慮。チャーター便ではなくほとんどを民間航空機で移動し、追加料金を支払って持続可能な航空燃料を使用するという。

さらに、地上での移動には可能な限り電気自動車を使用。食事については、肉や乳製品などのCO2排出量の多い食品は避け、その土地でとれた植物性食品を中心にする予定だ。

これらのほか、チケット1枚の販売につき1本の植樹が行われ、収益の10%は環境保護活動の支援のために寄付される。

コンサートツアーの新たなスタンダードへ

コールドプレイは今回の取り組みを2年前から計画。ようやく実現に向けて発表に至ったという。

「地球が気候危機に直面していることを強く意識している。このツアーを可能な限り持続可能なものにするため、この2年間に環境問題の専門家と相談してきた。そして、このツアーの可能性で、物事を前進させることが重要だ」

コンサートツアーでは、出演者や会場を訪れる観客の移動によって多くのCO2が排出されるなど、環境への負荷が懸念されるようになってきている。

そのような背景のなか、コールドプレイのような世界的なアーティストが環境に配慮したツアーを発表した意義は大きい。持続可能な方法で各種のイベントを実施することが当たり前になる日も、そう遠くはないのかもしれない。

※掲載している情報は、2021年10月28日時点のものです。

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