5月27日(金)、国際環境NGOグリーンピース・ジャパンと一般財団法人地球・人間環境フォーラムは、「ごみゼロ」の日を前にオンラインシンポジウム「リユース革命!容器包装で始まる、サーキュラー・イノベーション」を開催。プラごみの現状とサーキュラーエコノミーへの期待をリポートする。
Yu Suzuki
ライター・エディター
東京都在住。出版社で住宅インテリア誌やベビー誌の編集に関わり、企業でwebコンテンツの制作やマーケティング、PRを担当。森や山が好きで、気象や森林保全、動物の未来に興味を持つ。
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リユースビジネスはどのような価値があるか。海外の取り組みに目を向けてみる。
まずは、リユースビジネスの解説から始めよう。
エレン・マッカーサー財団は、イギリスを拠点に世界のサーキュラーエコノミーを推進する組織。プラスチックの使用をなくしたうえで、プラスチックの設計・使用・再利用の方法を根本的に見直すことを提案し、さまざまな企業とともにリユースを推進する活動に取り組んでいる。
エレン・マッカーサー財団は4つのリユースモデルを提案している。
1)自宅でリフィル
2)外出先でリフィル
3)自宅で容器返却
4)外出先で容器返却
現在、多くのグローバルブランドがリユースビジネスに参入している。ただし、リユースを目的にプロダクトをつくっても、最終的には消費者一人ひとりの行動が変わらないと浸透しない。個人個人のライフスタイルを変え、消費行動を変えていくことが大切だ。
海外リユースビジネスの事例を紹介する。
シンガポールを本拠地に、ジャカルタ、香港、トロントなどに進出するMuuse(ミューズ)。飲食店にテイクアウトやデリバリーのリユース容器サービスを提供している。貸し出す容器には、QRコードとRFIDタグ(※)が付いている。消費者はMuuseのアプリをダウンロードして、加盟店で飲み物などを購入した際に、容器のQRコードをアプリで読み取り、使用後はリターンステーションに返却をするだけ。QRコードとRFIDにより、返却されない場合には追加請求なども行われるなど管理されている。
カフェやレストラン、大学のキャンパスやビジネスエリアでも展開し、テイクアウトのほか宅配サービスでも展開。使い捨て容器でのテイクアウトが浸透しているいま、リユース文化をどのように浸透させるかが課題という。
(※)タグにデータを記録し、対応のスキャナを使ってデータのスキャンや登録などをするシステムのこと
Algramo(アルグラモ)は、商品の値段に一度きりしか使わない容器の値段も含まれていることに着目。容量が少ない商品は容器に支払う金額の割合が高くなるが、そういった商品を買う機会の多い低所得層にも負担がなく、再利用可能なパッケージを導入して環境にもやさしいサービスだ。現在おもに扱っているのは、特定のブランドの洗剤。容器は通常のものにQRコードとRFIDタグが付いている。
消費者は一度購入すれば、中身だけを補充することで繰り返し使える。販売は店頭での自動補充機のほか三輪車による訪問販売も行い、流通にかかる費用も削減できる。チリで始まったサービスで、サンティアゴ、ニューヨークに進出。2021年現在、ジャカルタやメキシコシティ、ロンドンへの進出を調整中とのこと。今後もスケールアップする予定だ。
テクノロジーが進化したいま、新しい考え方やスタイルのリユースがさらに増えるのではないだろうか。
リユースや詰め替えが当たり前になる社会の実現を目指し、私たち市民一人ひとり、国内外のリユースビジネスを知り、より一層感心を持って取り組んでいかなければならない。
容器包装のリユースをはじめてみよう。
国際環境NGOグリーンピース・ジャパンと一般財団法人地球・人間環境フォーラムによるサーキュラーイノベーションのサイトがオープン https://reuserevolution.jp/ |
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