5月27日(金)、国際環境NGOグリーンピース・ジャパンと一般財団法人地球・人間環境フォーラムは、「ごみゼロ」の日を前にオンラインシンポジウム「リユース革命!容器包装で始まる、サーキュラー・イノベーション」を開催。プラごみの現状とサーキュラーエコノミーへの期待をリポートする。
Yu Suzuki
ライター・エディター
東京都在住。出版社で住宅インテリア誌やベビー誌の編集に関わり、企業でwebコンテンツの制作やマーケティング、PRを担当。森や山が好きで、気象や森林保全、動物の未来に興味を持つ。
「すだちの香り」で肌と心が喜ぶ 和柑橘の魅力と風土への慈しみあふれるオイル
サーキュラーエコノミー(循環型経済)への転換を目指し、日本国内でもさまざまな取り組みが始まっている。先進的に取り組む自治体と企業の事例が発表された。
保津川をはじめ自然豊かな京都府亀岡市。2004年に保津川下りの船頭による清掃活動が行われ、保津川の環境保全など川や海の環境を守るプロジェクトが始まった。「かめおかプラスチックごみゼロ宣言」を発表し、プラスチックごみの削減やリユースの目標を立てて市民とともに取り組んでいる。
2019年には全国に先駆けてプラスチック製レジ袋の有料化をスタートし、2020年には全国初となるプラスチック製レジ袋の提供禁止の条例を制定。また、「亀岡のおいしい水プロジェクト」として、市内の公共施設にボトル型給水器を設置し、マイボトル持参にアプローチし、ペットボトルの削減を目指している。
急激な気候変動を受け、東京都は2030年までに温室効果ガス排出量を半減する「カーボンハーフ」を表明。「プラスチック削減プログラム」として、プラスチックのリデュース・リユースによって、生産・消費量を大幅に減らしていくことを進めている。また、使い終わったプラスチック容器包装は、品質を落とさずにリサイクルを行う「水平リサイクル」の重要性を説き、産業界をはじめさまざまな機関と連携し、新たなビジネスモデルや水平リサイクルの革新的な技術の実装を支援していく。
地球からのさまざまな恵みがなければ人間の暮らしは成り立たないという考えから、「地球1個分の暮らし」を実現するための「モノ」と「コト」を提案している斗々屋(ととや)。ごみの出ない「ゼロ・ウェイスト」な店舗を目指し、オーガニック食材や日用品の販売や店舗づくりに取り組んでいる。
量り売りを通して包装のごみを出さず、さらに個包装をしない形でプラスチックの軽減につなげる。また、必要な分だけを買うことでフードロスの削減を目指すなど、SDGsを基軸にサーキュラーエコノミーの社会に貢献している。2021年7月には京都にゼロ・ウェイストなスーパーマーケット『斗々屋』のオープンを予定。買い物の利便性を保ちながらゼロ・ウェイストな消費を打ち出す。
電気機器や医療機器などのものづくり企業でありさまざまな環境配慮素材をつくるNISSHAと、IT部門を担うNECソリューションイノベータがタッグを組み、繰り返し使用できるテイクアウト容器のシェアリングサービス「Re&Go」を立ち上げた。
保温保冷性に優れ、個体管理のためのQRコードがついた飲み物用カップと料理用ボックスを用意して店舗パートナーに貸し出す。消費者はLINEの登録で利用でき、専用容器でテイクアウトして楽しんだら、購入店舗や加盟店にスムーズに返却できる。返却した容器は回収・洗浄して再利用するため、容器ごみが出ないという仕組みだ。
沖縄・読谷村にて実証実験を開始し、今秋には次の実証実験を計画。企業との連携やビジネス拡大を目指す。
米国の容器再利用プラットフォーム「Loop」。使い捨て文化から脱却し、容器を回収・再利用する仕組みで、容器ごみを出さない取り組みとして日本でも導入が始まった。従来使い捨てにされていた一般消費財や食品の容器を、便利さとコストを維持しながら耐久性があり何回も繰り返して使える素材に変える。使ったあとは消費者の自宅から容器を回収し、洗浄、補充をした上でリユースするという新しいシステムである。
容器に耐久性を持たせることで、優れたデザインと機能を備えたものへ進化させることができ、長期的にコスト削減が期待できる。保冷機能のある容器をリユースすれば、アイスクリームでも常温である程度の時間、保存可能だ。食品や飲料、洗剤などの日用品を中心に、有力企業が導入に名乗りを挙げている。
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