5月27日(金)、国際環境NGOグリーンピース・ジャパンと一般財団法人地球・人間環境フォーラムは、「ごみゼロ」の日を前にオンラインシンポジウム「リユース革命!容器包装で始まる、サーキュラー・イノベーション」を開催。プラごみの現状とサーキュラーエコノミーへの期待をリポートする。
Yu Suzuki
ライター・エディター
東京都在住。出版社で住宅インテリア誌やベビー誌の編集に関わり、企業でwebコンテンツの制作やマーケティング、PRを担当。森や山が好きで、気象や森林保全、動物の未来に興味を持つ。
オンラインシンポジウムのテーマは「容器包装×サーキュラーエコノミー」。
国際環境NGOグリーンピース・ジャパンと一般財団法人地球・人間環境フォーラムが主催し、京都府亀岡市、東京都環境局の後援によって、国内外の第一線で活躍される方々が登壇した。参加者は700人を超え、容器包装のリユースについてのシンポジウムでは国内では最大の規模となり、ごみゼロの日を前にさまざまな角度から考える機会となった。
「サーキュラーエコノミー」とは、大量生産、大量消費、大量廃棄モデルから抜け出して廃棄物を生み出さない循環型経済のこと。なかでも、多様な取り組みが次々生まれているのは「容器包装」に関する分野だ。
世界のプラスチックごみの47%、なんと約半分は使い捨て用途がほとんどを占める「容器包装」である(※)。ほんの数十年前までは使い捨てずに活用していたものも、いまは使い捨てが主流となっている。
私たちに求められているのは、この使い捨てをなくすことだ。SDGsやパリ協定は、使い捨てない社会「サーキュラーエコノミー」の実現なくして達成しない。古くからの知見を参考に、流通やマーケット分析、最新のテクノロジーをかけ合わせたリユースのビジネスイノベーションを生み出すことが必要なのである。
地球・人間環境フォーラムの天野路子氏が紹介したのは、プラスチックごみの現状から、リユースビジネスと課題と可能性だ。
プラスチック製容器包装の生産量は年々増加し、2050年間までに最大で4倍に増えることが予想されている。
容器包装は大量につくられ、短時間で消費されて廃棄されている。
プラスチック製容器包装は、非常に短時間で消費される一方で、分解には非常に時間かかる。海に流れ出たレジ袋は自然分解されるには約20年、ペットボトルは約450年かかるという。
ごみが最終的に行き着くのは海。毎年最大で1200万トン、毎分トラック1台分流れ出て、海のいきものや漁業に影響を起こしている。マイクロプラスチックは食塩や魚にも取り込まれ、人間の体にも入ることにつながる。また、プラスチックの生産や廃棄の過程で、気候変動への影響も取り沙汰されている。
政府や企業が現在とっている対策は2つあり、リサイクルの向上と他素材への移行だ。ただ、これまで世界で生産されたプラスチックのうちリサイクルされたものはわずか9%にとどまる。また、日本はリサイクル目的で廃プラスチックを途上国へ輸出しており、地域の環境汚染を引き越しているともいう。他素材への移行においても、プラスチックを紙やバイオマスプラスチックに切り替えるなど、さまざまな企業が取り組んでいるが、森林の伐採をはじめ新たな環境問題も引き起こしている。
問題は、大量生産、大量利用、大量廃棄型の構造であり、使い捨ての仕組みそのものからの脱却が非常に重要だ。本質的な問題解決のために私たちに求められているのは、大幅に減らす「リデュース」と、もっとも優先されるべきは再利用の「リユース」の仕組みである。
エレン・マッカーサー財団のレポートによるとリユースビジネスの利点として、コスト削減や顧客ニーズの適合、流通・物流の最適化など6つのメリットを挙げている。世界のプラスチック製容器包装の20%をリユース容器となった場合、1兆円以上の経済規模を持つとされ、さまざまな期待が寄せられている。
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