【2021年・2020年】世界幸福度ランキング 日本の順位とその理由は?

世界幸福度ランキング

Photo by Robert Collins on Unsplash

毎年3月20日の「国際幸福デー」に公表される、世界幸福度ランキング。毎回注目されるのが、日本の順位低迷だ。そもそも幸福度ランキングはどのように調査され、決定されているのだろうか? 日本の順位が低迷する理由や、ランキング上位・下位それぞれの特徴を解説する。

ELEMINIST Editor

エレミニスト編集部

日本をはじめ、世界中から厳選された最新のサステナブルな情報をエレミニスト独自の目線からお届けします。エシカル&ミニマルな暮らしと消費、サステナブルな生き方をガイドします。

2021.08.31
SOCIETY
学び

エシカルマーケティングとは? メリットや実例をわかりやすく紹介

大きく順位が変動した国 その理由は?

2020年から2021年のランキングで、大きな順位の変動があった国に、中国がある。2020年は94位だったが、2021年は84位となった。新型コロナの感染予防のため、都市封鎖などがおこなわれたが、人々の間で連帯感や仲間意識が高まった可能性があるという。一方、フィリピンは2020年の52位から、2021年は61位に順位を下げた。

またバングラデシュは、2019年の125位から2020年には107位に順位を上げた。2021年は107位と順位を維持している。

一方、2019年に85位だったナイジェリアは、2020年に115位、2021年は116位と順位を大きく落としている。ナイジェリアは所得格差やジェンダー格差が大きく、社会基盤の整備がまだ不十分である。就学率が低く、過激派組織の活動も活発な地域で、安定した生活を築きにくいという特徴がある。

ランキングの変動幅が大きい国は、上位国よりも下位国に多い。紛争や貧困にまつわる問題には、不確定要素が多く含まれている。国内情勢が、急激なランキングの上昇・下降につながる可能性が高いと言えるだろう。

日本の順位が低い理由は「自由度」と「寛容さ」

世界幸福度ランキングが公開されるたび、話題になるのが「なぜ日本の順位はこれほどまでに低いのか?」ということだ。2020年の日本の順位は62位だったが、2021年は56位と、わずかに順位を上げた。しかし先進諸国と比較すると、低い水準にいることは変わらない。

1人あたりの国内総生産(GDP)の数値でみれば、日本の順位は決して低くはない。資源には乏しいものの経済は発達しており、欧州諸国ほどではないが、社会保障制度も確立されている。寿命の長さは、世界でも上位だ。海外と比較して「日本は治安が良く暮らしやすい」と感じる人が多いだろう。

ではなぜ、日本の幸福度ランキング順位はこれほどまでに低いのか? その理由は「人生の自由度」と「他者への寛容さ」の2項目に隠されている。

日本人の「人生の自由度」に影響を与える要素のひとつと言われているのが、労働環境である。欧米諸国と比較して、よく「日本人は働きすぎ」と表現される。

ヨーロッパ各国のように、長期休暇を取る風習もなければ、「有給休暇はあっても取りづらい」と感じる人が多い。また「休暇の取りづらさ」以上に、「職場の中で自分に合った働き方を自由に選択できない」と感じる点が問題だと指摘する声もある。

「他者への寛容さ」の項目については、寄付やボランティア活動が非常に大きな要素となる。日本には、積極的に寄付をおこなったりボランティア活動に参加したりする風習が根付いていない。社会全体でこうした取り組みが積極的におこなわれている国ほど、幸福度ランキングは上昇しやすいという特徴があるのだ。

GDPや健康寿命など、客観的な数値で示されるデータに注目すれば、日本は間違いなく「幸せな国」である。一方で、国民の主観にもとづくデータを見ると、「幸せではない国」としての要素が見え隠れする。この主観的データが、幸福度ランキングで日本の順位が低迷する原因だ。

幸福度が高い=暮らしやすい社会

世界幸福度ランキングは、人によって基準が異なる「幸福度」を、わかりやすい数値で示すための取り組みのひとつである。できるだけ幅広い観点から「幸福」を捉えるための調査がおこなわれているが、それは決して完璧ではない。幸福度ランキングで上位になれないからといって、それが即「不幸」につながるわけではないのだ。

ただし、「人生の自由度」が上がれば、日本の社会において「暮らしやすい」と感じる人は格段に増えるはずだ。「他者への寛容さ」が上昇すれば、社会全体でやさししく寄り添い合える、理想の仕組みができあがるかもしれない。

日本人の幸福度を上げるために、いま必要なものは何なのか。世界幸福度ランキングは、それを知るためのヒントになるだろう。我々日本人一人ひとりが、「自由」と「寛容」を意識して生活するようになれば、順位だけではなく、国民それぞれが抱える「幸福感」も上昇するかもしれない。

自分らしく、心地よく デンマークに学ぶ、ヒュッゲな暮らし

関連記事

リトリートが意味する“向き合う時間” 今すぐ実践できる4つのアイデア

関連記事

※1 世界幸福度調査World Happiness Report2020の概要と関連質問紙提供について
http://riomh.umin.jp/happy.html
※2 World Happiness Report 2021
https://happiness-report.s3.amazonaws.com/2021/WHR+21.pdf
※3 World Happiness Report 2020
https://happiness-report.s3.amazonaws.com/2020/WHR20.pdf

※掲載している情報は、2021年8月31日時点のものです。

    Read More

    Latest Articles

    ELEMINIST Recommends