第4回:自分に合った自然エネルギー電力会社の選び方

ゼロから始める自然エネルギー

環境負荷の低い自然エネルギーについてゼロからわかりやすくお届けしてきた連載企画。最終回の第4回となる本記事では、実際に切り替える電力会社を決めるときにどのようなポイントで選べばいいかを解説する。目に見えず、使い心地に大きな差はない「エネルギー」だからこそ、長く付き合っていける電力会社を見つけてみよう。

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2020.12.29
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「自然エネルギー」を提供する電力会社の選び方

近年日本で問題視されている猛暑も水害も、元をたどれば気候変動の影響によるものといわれている。その大きな原因のひとつであるCO2の排出を抑えるために、自然エネルギーへの切り替えは、誰もが検討すべき選択だ。

本連載は、発電から小売までをワンストップで展開する自然電力の監修のもとお届けしてきた。しかし、日本には数多くの電力会社があるなかで、他にどんな電力会社があるのか知ったうえで納得して選びたいという読者もいるだろう。

サービス内容や料金プラン、電力をどこから調達しているかなど、会社によって三者三様。一見すると見横並びのように見える電力事業者であっても、発電から自社で行っている会社もあれば、小売事業に特化している会社もある。

正直、「電力」という目に見えない商品は、どこを選んでも安定的に供給されるし、料金に大きな差があるわけではない。けれど、毎日使うものだから、自分や家族のライフスタイルに合ったものを選びたい。

最終回となる第4回目は、自分にあった電力会社の選び方や比較するときのポイントを解説しつつ、独自にセレクトした信頼できる新電力会社を5つ紹介する。

電力会社、どう選ぶ? 電源構成や環境価値を見て比較しよう

地面に設置されたソーラーパネル

Photo by Zbynek Burival on Unsplash

信頼できる自然エネルギー事業者かどうか見極めるには、「電源構成」を気にしてみることをおすすめしたい。電源構成とは、太陽光や風力といった電源から、どのくらいの比率で電力を調達しているかを示した数値のこと。開示義務はないけれど、Webサイトなどに詳しく記載してあると信頼できる。

しっかりと選びたい方は、FIT電気についても知っておこう。FIT(固定価格買取制度)とは、再生可能なエネルギーを国が決めた固定価格で電力会社が買い取る制度のこと。これを利用した電力は「FIT電力」と表記することが義務付けられている。会社がFIT電力を購入する差額分は国の「再エネ賦課金」から支払われ、それが私たちが支払う電気料金に上乗せされているため、再エネがもつ環境価値を国民全体で共有していることになる。

FIT電気や非化石証書(連載2回目参照)などは、環境価値を後付けしているように見え疑われてしまうこともある。しかし、再生可能エネルギーを増やしていくプロセスの中で価値を移転しているにすぎないため、表面だけを見て惑わされないようにしたい。

各電力会社内で複数のプランが用意されていることもあり、どれを選べばよいのか最初は迷ってしまうだろう。プランによって使い心地は変わらないため、まずは家庭のお財布と相談しながら、はじめやすいものに切り替えてみるとよいだろう。

ここからは、エレミニスト編集部が独自にセレクトした信頼できる新電力会社を5つ紹介していく。電力会社を選んで終わりではなく、地球環境に対して働きかけていくプロセスを一緒に歩んでいきたいと思えるような、共感できる電力会社を見つけてみよう。

自然電力

本連載の1〜3回目を監修してくれた、自然電力株式会社。「青い地球を未来につなぐ」を掲げて2011年に設立した電力会社で、太陽光・風力・小水力などの自然エネルギー発電所の設置・運営に必要なすべてのサービスを手掛けている。全国に70箇所以上の発電所を完工し、2018年からはアジアや南米など世界各国にプロジェクトの展開を進めている。

選べる電力プランは、自然エネルギーの割合に応じてSE Debut、SE30、SE100の3つ。 自然エネルギー発電所を増やすこと、「追加性(Additionality)」を重視している。どのプランを選んでも電気代の約1%が自然エネルギー発電所を増やすために使われ、自然エネルギー100%の実現にコミットしている。

オウンドメディア「HATCH」やメールマガジンで、自然エネルギーのことや世界の課題を解決するヒントなど濃い情報を発信しており、地域コミュニティやムーブメントへの貢献を感じることができる。

みんな電力

東京都世田谷区を拠点に展開する新電力ベンチャー。電力自由化の際に、世田谷区が東京電力から「みんな電力」に切り替えたことで話題となった。

「顔の見える電力™️」をコンセプトに、電気の生産者と消費者が直接つながる世界を目指している。ユーザー自らが応援したい発電者を選び、電力料金の一部で発電者をサポートできるというユニークなしくみだ。

FIT電気の電源構成比率が60%以上を占め、電源構成と料金で選べるスタンダードプランとプレミアム100プランの2つのプランを展開している。現在は東京電力エリアのみに供給。

オウンドメディア「ENECT」やInstagramなどのSNS、さまざまな業界のトピックに切り込むウェビナーなどを使った親しみやすい発信にも力を入れ、ユーザーとのコミュニケーションも積極的に行っている。

グリーナでんき(GREENa)

「グリーナでんき(GREENa)」を提供するネクストエナジー・アンド・リソースは、2003年に創業し、日本で初めて家庭用の100%自然エネルギーの電力プランを実現した会社。東京都新宿区に本社を置き、東北・東京・中部・関西・中部・九州電力のエリアに、環境にやさしい持続可能な電力を供給し続けている。

家庭向けには「GREENa RE100」「GREENa スタンダード」の2種類のプランを提供し、どちらも太陽光をはじめ、風力、地熱などの再生可能エネルギーでCO2の排出係数をゼロに抑えている。

グリーン電力証書を適用し、FIT電気における自然エネルギーの環境価値喪失をカバーする取り組みも行っている。グリーン電力証書の仕組みや環境価値について、一般にも広く理解してもらえるよう、お客様一人ひとりの意識向上にも力を入れている。

Looopでんき

2011年に創業し、2016年から一般家庭や小規模ビジネス向けの小売サービスとして「Looopでんき」を開始した。東京が拠点だが、離島や一部の地域を除く全国に自然エネルギーを提供している。

「基本料金0円、使った分だけお支払い」というシンプルでわかりやすい料金体系を当初から打ち出し、2020年3月には新興電力会社としては異例の販売件数20万件を突破するなど、幅広いユーザーに支持されている。

料金プランは、一般家庭向けの「おうちプラン」と事業所向けの「ビジネスプラン」の2つだけ。初めての方にもわかりやすく、Webでの申し込みも簡単にできるような親切設計となっている。カスタマーサポートも充実しており、手続きなどに苦手意識のある方でも安心して使い続けられる。

※Looopでんき新規お申込み受付 一時停止のお知らせ
https://looop-denki.com/home/news/3084/

ハチドリ電力

2020年8月より提供を開始した、比較的新しい電力サービス。「ソーシャルビジネスで世界を変える」がキャッチフレーズの株式会社ボーダレス・ジャパンが運営している。

アフリカの童話「ハチドリのひとしずく」に由来するサービス名のもと、電気料金の1%をNPOやNGOへの支援に回せる画期的な仕組みとなっている。ハチドリ電力の数あるパートナー団体の中から、自分の目的にあった団体を選んで支援し、その活動報告などを見ることもできるため、社会貢献を実感しやすい。

電力を使うほど自然エネルギーの発電所が増える「追加性(Additionality)」や、非化石証書の購入を使った仕組みづくりを行い、実質的に「100%自然エネルギー由来」「CO2排出量ゼロ」を実現している。

目に見えない「電力」だから、価値観やビジョンで選択する人も

草原に設置された風車

Photo by Nathan Gonthier on Unsplash

5つの電力会社を紹介したが、どの電力会社を選んだとしても、使いごこちや安定性は変わらず、電気料金にもそこまで大幅な違いはない。だからこそ、機能的なメリットだけでなく、環境課題に取り組む姿勢や会社としてのビジョンなどを基準に選ぶ人も増えている。

毎日使い、長く付き合っていくことになるエネルギー。「応援したい電力会社かどうか」という視点をもって、理念や価値観で選ぶのもありだろう。電力会社選びには、「その会社が目指す未来を一緒に目指したいと思えるか」という新しい消費選択の視点生まれている。

地域に対してユニークな取り組みをしたり、独自のコミュニティを築いたり、他の企業や団体と連携してオリジナルの価値を提供したりしている電力会社もある。

4記事に渡りお届けしてきた本連載も参考にしていただきつつ、自分のライフスタイルにあった電力会社を探してみよう。

※掲載している情報は、2020年12月29日時点のものです。

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