サブサハラの現状と3つの問題点 貧困や飢餓を解決する世界の支援策とは

砂の稜線に見えるキャラバン

サブサハラとはどの地域を指すのだろうか。また、サブサハラが注目を集めるのはなぜか?貧困や格差など、多くの問題を抱えているというサブサハラについて正しく理解することで、どのような支援が求められているかも見えてくる。ひとりでもできる支援方法なども紹介する。

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2021.01.25

サブサハラとはどこか

サブサハラ(sub-Sahara)とは、アフリカ大陸のサハラ砂漠より南にある地域の総称で、サブサハラ・アフリカとも呼ばれる。国連の定義では、北アフリカでもスーダンはサブサハラに含まれる。アフリカ大陸にない、セーシェル諸島なども含まれ、面積は全世界の18%を占めるという。

「外交青書」(2016年)によれば、サブサハラには49の国々があり、約10億人が暮らしている。人種の三大区分では、ネグロイド(ニグロイドともいう)が大半。気候的な特徴としては、赤道直下に熱帯雨林地域があり、そこから南北に向かって乾燥化していく。

サブサハラ周辺の位置関係

テーブルに置かれた地球儀

Photo by Kyle Glenn on Unsplash

気候分布の詳細は下記の通り。

サハラ砂漠の南から下に向かって、「サヘル」と呼ばれる半砂漠地帯が帯状に延びる。その下に、野生の動物たちが棲むことで知られる「サバンナ(サバナ)」がある。

ソマリアとエチオピアの一部を含む「アフリカの角」と呼ばれる半島。「熱帯雨林」の温暖で多雨なエリア(赤道付近)のさらに下には、ケニアやタンザニアを内包する草原地帯「セレンゲティ」が広がる。

また、東アフリカのモザンビークやマラウィには「ミオンボ林」の地帯があり、南部アフリカには「カラハリ砂漠」がある。

南アフリカ共和国やボツワナ、ジンバブエにまたがる「ブッシュベルト」という草原地帯が広がる。さらに、南アフリカ共和国とナミビアにかけて「カルー」と呼ばれる半砂漠が横たわっている。

北アフリカとサブサハラの違い

地平線まで続くサハラの荒野

Photo by Accolade on Unsplash

アフリカ大陸でサハラ砂漠よりも北側に位置する北アフリカ地域。サブサハラとどのような違いがあるのか?

一般的に北アフリカは、地中海に面するエジプト、リビア、チュニジア、アルジェリア、モロッコの5か国を指すことが多い。

位置的な違いのほかに、北アフリカにはイスラム教(回教)を信仰する国が多い。それに対し、サブサハラはキリスト教を信仰する人々が多いという特徴がある。

また、新語時事用語辞典2012年11月改定版によれば、サブサハラの国々の半数以上は、世界中でとくに開発が立ち遅れている「後発開発途上国(LDC)」であるとされる。

世界の面積の18%を占めるにも関わらず、サブサハラ全体のGDPは世界の約2%程度だという。

しかしながら、近年は埋蔵される豊富な資源の開発などが急ピッチに進み、高い成長率で経済発展を続けている国も少なくない。 

サブサハラが抱える3大問題

籠を頭に載せて歩く3人のアフリカ人

Photo by Ninno JackJr on Unsplash

経済成長しているにもかかわらず、サブサハラは多くの問題を抱えている。その主な問題点と要因(※1)について見てみよう。

1. 貧困や飢餓の問題
資料ではサブサハラでは、全人口の41%以上が1日1ドル未満で生活していることがわかる。飢餓率が35%を超える国が、18あると指摘している。  

2. 紛争の問題
アフリカの年と言われた1960年、また、1960年代に独立を果たした国が多いが、その後、統治制度が不安定なまま。内紛や独裁的政治が続いている国も多い。2020年11月、エチオピアで内戦が起こり、多くの人が隣国のスーダンなどへ逃れる事態となっている。 

3. 保健、医療、教育の問題
資料によれば、アフリカ全体で初等教育を受ける年齢にも関わらず、学校に通っていない児童の数は4550万人(2002年)で、全世界の4割以上を占めている。

エイズ(HIV)感染において、感染者数上位の10か国すべてがサブサハラ地域だ(2005年)。東南部のマラウイでは、2018年時点で毎年2万8千人が新たに感染。若者の10人に1人が感染していると考えられている。

また、三大感染症のマラリアの感染も深刻な状況が続く。ほかに、エボラウイルスや新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などの蔓延も心配材料だ。

サブサハラでは、不衛生な水でも利用しなければならない人々が多く、それが病気の発症につながり、回復の妨げになっている。

このように、飢餓や貧困は、政治の不安定さや内紛・内戦の長期化と深い関連がある。また、それらの事情から、国内のインフラが脆弱で、教育システムの確立も程遠い。すべての問題が複雑に絡み合い、問題をより深刻化させているといえるだろう。 

日本や世界の国々が取り組むサブサハラ支援

ごみが散乱したアフリカの集積地

Photo by Hermes Rivera on Unsplash

経済発展とは裏腹に、深刻な問題をいまも抱え続けるサブサハラ。日本で行われている支援はどのようなものがあるかを見ていこう。

日本でもっとも中心的な役割を果たしているのは、アフリカ開発会議(TICAD)だろう。
1993年から始まったもので、日本政府が国連やアフリカ連合、世界銀行などとともに共済する国際会議だ。

SDGsの達成を軸に、「質の高い成長」や「人間の安全保障(アフリカの一人ひとりの能力強化)」、「官民一体となったアフリカ開発」など、幅広い分野が議題とされ、支援している。(※2) 

ほかの国はどうか。まず、国連にとって、アフリカは長年に渡って優先度の高い地域であることに変わりはない。2002年には、援助額の38%はアフリカが占めたというデータもある。2020年、コロナ禍において国連WFPは、サブサハラは飢餓レベルが危機的状態に陥ると警鐘を鳴らした。

わたしにもできるサブサハラへのサポート

国連WFPでは、「学校給食プログラム」をはじめとする、寄付プログラムがいくつもある。学校給食のマンスリーサポートプログラムなら、一度登録すれば、自分の意思でやめるまで継続的な支援ができる。

また、SoftBankのスマホ利用者が気軽にアプリを介して寄付できる「つながる募金」も手軽で便利。アメリカン・エキスプレス・カードやエポスカードなどは、買い物で貯まったポイントから寄付できる仕組みがある(※3)。

このほか、アフリカに注力するNGOやNPOも少なくない。国際協力NGO ワールド・ビジョンの公式サイトでは、多種多様なサポートプログラムがある(※4)。途上国の子どもと心のつながりを持ちながら支援できる寄付プログラム「チャイルド・スポンサーシップ」をはじめ、「新型コロナウィルス緊急対応募金」など、さまざまな寄付から自分に合うものを選んでみるのもいいだろう。 

サブサハラの問題を“自分ごと”に

子どもの手を握る大人

Photo by Artem Beliaikin on Unsplash

アフリカというと、どこか遠く、自分には無関係に感じてしまうかもしれない。しかし、その豊かな資源、鉱物やガス、農産品などの恩恵を私たちは知らぬ間に受けている。

サブサハラの人々を助けるために、すぐにでもできること。まずは、こうして正しい知識を得て、学び続けるアクションが大事だ。TICAD7の名誉大使を務め、自らも社会貢献活動を積極に行う歌手のMISIAさんも「野生の動物や飢餓だけではない、多様なアフリカをもっと知ってほしい」と、絵本を執筆したことがある。

サブサハラには、日常的に親しんでいるチョコレートの原料・カカオや、コーヒー豆の産地もある。フェアトレードの商品を購入することも、後援に結びつくだろう。

もっとも効果が高いのが直接的な支援だそうだ。先述したユニセフやWFPなどの国連機関をはじめ、サブサハラやアフリカを支援するNPOやNGOなど、金銭や物資の支援を受け付ける団体は多い。

なんらかのアクションを通してサブサハラをサポートし、自分が世界の一員であることを実感してみてはいかがだろうか。

※1 外務省参考資料:アフリカの現状と日本の対アフリカ政策(平成19年)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/africa/monitor_shiryo.html
※2 外務省TICADの背景にある日本の考え方
https://www.mofa.go.jp/mofaj/af/af1/page22_002578.html 
※3 WFP
https://ja.wfp.org/donate-now
※4 ワールドビジョン・ジャパン
https://www.worldvision.jp/donate/

※掲載している情報は、2021年1月25日時点のものです。

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