11月11日にバルセロナ市が21本の道を「スーパーブロック・プロジェクト」の対象にすると発表。ここでは自動車の進入は認められず、歩行者と自転車のみが移動できることになる。
小嶋正太郎
農家 / 編集者
元ELEMINIST副編集長。2021年7月に東京から瀬戸内海に浮かぶ因島へと拠点を移す。高齢化で運営困難になった八朔・安政柑農園を事業継承し、農家として活動中。
21本の道が、永久的に歩行者天国になる。11月11日にバルセロナ市が発表した内容を要約すると、こう表現できるだろう。
でも、街から自動車を排除することで、どんなメリットがあるのだろうか。その区画内に暮らしている住民はどうするの? 救急車はどこを移動するの?
思い切りのある決断なので、いくつかの疑問が頭に浮かび上がるだろう。ここでは彼らの発表内容をもとに、詳細を説明しようと思う。
このプロジェクトは2016年に発表された「スーパーブロック・プロジェクト」の一環。彼らは市民が主役となるような街づくりを目指し、一部の道での自動車の走行を禁止にすることを決定した。認められているのは歩行者と自転車のみだ。
健康にも、安全にも、そしてサステナビリティの観点からも効果があるとして、すでに6つの道が“スーパーブロック”されている。自動車が走行することはないので、いまではその道が新たな公共空間となり、木々が植えられ、ベンチなどが置かれ、市民の憩いの場となっているのだ。
Photo by Kristijan Arsov on Unsplash
その「スーパーブロック・プロジェクト」を拡大しようというのが、バルセロナ市の新たな決定。今後10年かけて、道のあり方を考え直し、最終的には21の道から自動車を排除するという。予算として3780万ユーロ(約46億5000万円)をかけるそうで、ここからは彼らの本気度がうかがえるだろう。
とはいえ、2016年に「スーパーブロック・プロジェクト」を発表した際は、一部の人によるデモも起きたそうなので、どうやって進めていくのかも気になるところ。当時と比べたら、社会貢献や環境保護に対する考え方がアップデートされているので、とくに心配をする必要はないかもしれない。
Photo by Dennis van den Worm on Unsplash
このプロジェクトの対象となる地域に暮らしている住民が自動車を持っていた場合は、例外として時速10km以下での走行が認められるという。市民の生活に欠かせない緊急車両や配送サービスの車両の走行も許可が下りている。
バルセロナ市は二酸化炭素の排出量や交通事故の発生件数など、あらゆる面でメリットがあることを説明。そうなったら空気もきれいになり、歩くのも自転車に乗るのも心地いいだろう。“スーパーブロック”されている区画なら、車道を走っている際にヒヤッとする心配もない。
ぜひ、日本でも採用してほしいシステムだ。
参照サイト/Ajuntament de Barcelona
https://ajuntament.barcelona.cat/premsa/wp-content/uploads/2020/11/201111-DOSSIER-Superilla-Barcelona-EN.pdf
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