アメリカのウィスコンシン州にあるベロイトカレッジ。このほど、運転停止となった火力発電所をリノベーションした学生センターが同大学に誕生した、建築を手掛けたのは、デザインオフィス「Studio Gang」。学内には、人工芝の屋内型フィールドやプールなどのスペースが完備されている。
小嶋正太郎
農家 / 編集者
元ELEMINIST副編集長。2021年7月に東京から瀬戸内海に浮かぶ因島へと拠点を移す。高齢化で運営困難になった八朔・安政柑農園を事業継承し、農家として活動中。
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日本ではスクラップアンドビルドの文化が浸透しているが、いま環境意識の高い人が興味を示すのは、新しい建築ではなくリノベーション建築だろう。内観をアップデートするだけでも、見違えるほどきれいになるし、ほかにはないユニーク性も生まれる。
アメリカ・ウィスコンシン州ベロイトにある「ベロイトカレッジ」は、運転停止となった火力発電所をリノベーションし、学生センター「The Powerhouse」としてオープン。
日本でも増えてほしいと思う建築を紹介しよう。
「The Powerhouse」のもととなっているのは「Blackhawk Generating Station」と呼ばれていた火力発電所だ。1913年に設立され、需要が拡大したことから2回の増築を実施。しかし環境問題が深刻化するにつれ、その存在意義に疑問符がつき、協議のすえ2010年に運転停止となった。
その使われなくなった建築に目をつけたのが「ベロイトカレッジ」だった。必要とされていた学生センターを建てるにあたり、ゼロからつくり出すのではなく既存の火力発電所を再利用する道を選んだのだ。
リノベーションが選択肢に入っていた(もともと検討していなくても、それを受け入れ選ぶことができた)点は、賞賛に値するだろう。多くの大学が、保有する建築の“新しさ”や“豪華さ”で学生を惹きつけるようとしているのだから。
「The Powerhouse」のなかには、学生が勉強や研究をするスペースがあるだけでなく、フィットネスセンターやプール、人工芝の屋内型フィールドもある。
建物の内側を周回できるトラックがあるのも注目だ。
この建築デザインを手がけたのは、シカゴに拠点を置く事務所「Studio Gang」。彼らは100年以上の建物をリノベーションするにあたり、エネルギーの効率性を考えるのが挑戦になっていたという。そのままでは熱が逃げてしまうためだ。
そしてポリカーボネートのファサードを採用することで、人工的照明の使用頻度を減らし、保温性にこだわりながら、その課題解決に成功。これはリノベーション建築ならではの課題ともいえるかもしれない。
「ベロイトカレッジ」は、「The Powerhouse」をオープンしたことによる変化については語っていないが、確実に影響を受けた人はいるだろう。
既存のものを大切にしながらも新しい命を吹き込むリノベーション建築には、これからも期待したいし、どんどん注目度が高まっていきそうだ。
参照サイト/Architectural Record
https://www.architecturalrecord.com/articles/14859-beloit-college-powerhouse-by-studio-gang
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