スウェーデンに拠点をおくスタートアップ「Volta Trucks」が電動の16トントラック「Volta Zero」を発表。2021年第1期で実証実験をおこない、2022年に本格生産のフェーズに入るとのこと。
小嶋正太郎
農家 / 編集者
元ELEMINIST副編集長。2021年7月に東京から瀬戸内海に浮かぶ因島へと拠点を移す。高齢化で運営困難になった八朔・安政柑農園を事業継承し、農家として活動中。
「ロンドンでは、歩行者が死亡してしまった事故の23%に、自転車の場合は58%に、 重量積載物車両が関係しています。道路を走っている4%しか占めていないにもかかわらず、です。これは絶対に変えなければいけません」
そう語るのは、スウェーデンに拠点をおくスタートアップ「Volta Trucks」の創設者Carl-Magnus Nordenさん。
彼らは大型トラックのイメージを変えるために、電動16トントラック「Volta Zero」を製造することを発表した。
改めて「Volta Zero」の狙いを説明すると、大型トラックのイメージを変えること。
「安全性」と「サステナビリティ」、「電動化」の3つを軸にそれを実現しているという。ここではサステナビリティにフォーカスして紹介したい。
「Volta Zero」のボディには、生分解できるレジンや自然由来のフラックス素材が使われているとのこと。これまでの大型トラックが……いや、自動車が採用してこなかっただけに注目が集まるだろう。もちろん、しっかりと耐久性にも考慮。その製造過程で発生する二酸化炭素は限りなく低く、75%の削減を達成。
自然由来のフラックス素材を採用するメリットは大きく分けて、2つあるとのこと。
まずは焼却処理ができる点。通常の自動車に使われる素材だと埋立地で処理されるのに対し、サーマルリサイクル*が可能なのだ。つまり、その過程で発生した熱は周辺施設の暖房などに使われることになる。
*廃棄物処理で発生した熱を、エネルギーとして回収・利用すること。
2つ目は安全性にも関わってくるのだが、事故が起きた場合に鋭利な破片になる可能性が低いそう。サステナビリティを実現しながら高い安全性にもつながる──。一石二鳥の働きだ。
Carl-Magnus Nordenさんはサステナビリティについて、こう語っている。
「サステナビリティは私たちのビジネスのコアです。地球を救うことを先延ばしにすることはできません。いますぐに行動を起こす必要があるのです。そして、『Volta Trucks』は急激な変化を大型トラックにもたらすことで、時代遅れになったガソリン車ではなく綺麗で安全な技術を広めていきます」
「Volta Zero」は2021年第1期で実証実験をおこない、2022年に本格生産のフェーズに入るとのこと。大型トラックでさえも電動になる未来はすぐそこまできていて、モビリティ業界に大きな変化が起きるだろう。
素直に見てみたいと思える時点で、たしかに大型トラックのイメージは覆されている気がする。
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