オランダの都市開発を推進する企業「Urban Senses」が「GreenPee」という公衆トイレを設置した。上下水道につなぐ必要がないサステナブルな公衆トイレだ。シングルとダブルの2タイプがあり、それぞれ約300回、約450回使えるようになっているという。
小嶋正太郎
農家 / 編集者
元ELEMINIST副編集長。2021年7月に東京から瀬戸内海に浮かぶ因島へと拠点を移す。高齢化で運営困難になった八朔・安政柑農園を事業継承し、農家として活動中。
オランダ・アムステルダムはクリエイティビティを武器に、市民の抱える課題を次々に解決し、どんどん住みやすい街へと変わっている。LGBTQや移民に寛容的だったり、働き方も先進的だったり、若い世代からも人気だ。
そんなアムステルダムの高い創造性を象徴するのが「GreenPee」と呼ばれる公衆トイレ。景観を壊さないデザインで市民の悩みを解消している。
GreenPeeの開発を手がけたのは、同国の都市開発を推進する企業「Urban Senses」。建築物のあり方に工夫を凝らし、直感的に雰囲気のよさを体感してもらうためにビジネスを続けているという。
Urban Sensesが解消しているのは屋外排尿に関する問題だ。アムステルダムでは公衆トイレの数が少なく(運よく見つけられたとしても有料)、一部の人が心ない行為をしているとのこと。
しかも、尿は建築物の腐敗を早め、想像に難くないが悪臭の一因となる。Urban Sensesによれば、市民から多くの苦情が寄せられているそうで、だからこそ解決のために立ち上がったという。
GreenPeeは大きく分けて2つのパーツで構成されている。
まずは尿を貯める部分。上下水道につないでいないため、どこにでも設置できる。すぐに頭に浮かぶだろう悪臭に関しては、なかに麻の繊維が入れられていて、それが臭いを吸収するという。そのあとは水と有機肥料に分けられ、それぞれが異なる場所で活用される仕組みとなっている。水洗することもないため、節水にもつながるのが利点だ。
もうひとつがプランター。アムステルダムの街の景観を崩さないよう、植物を植えているのだという。雨水を30L貯められるタンクがついており、とくに水やりの必要もない。しっかりと植物が育つように設計されているそうだ。
ちなみに、GreenPeeにはシングルタイプとダブルタイプが用意されていて、それぞれ約300回、約450回使えるようになっている。尿が満タンになったらセンサーが反応する仕組みだ。
落書きに強いコーティングが施されているなど、街の悪影響にならない工夫がある点にも注目したいところ。
心ない市民による行為を厳罰化するのではなく、あえて一部の行為を緩和することで問題を解消する──。GreenPeeはオランダらしさを感じられるソリューションだろう。
参照元/GreenPee
https://greenpee.nl/en/
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