台湾で広がる「パーマカルチャー」 自然の循環によりそう暮らし

緑と畑の風景

Photo by Y K on Unsplash

気候変動や食糧・エネルギー問題など、暮らしと自然との関係があらためて問われている現代。そんななか台湾では、自然の仕組みを暮らしに活かす「パーマカルチャー」の実践が続けられている。

Ouchi_Seiko

ライター

フランス在住。美容職を経て2019年よりライターに。居住地フランスのサステナブルな暮らしを手本に、地球と人にやさしい読みものを発信。

2026.08.05
FOODS
編集部オリジナル

【読者プレゼントあり】ダイドードリンコ×アルテミラが「LOVE the EARTHシリーズ」で目指す未来

Promotion

台湾で広がる「自然と共生する暮らし」

ゴールデンアワーの台北

Photo by TangChi Lee

食料自給率は約3割、エネルギーの輸入依存度も高いと言われる台湾。こうした環境のなかで、自然の循環を活かした暮らしを提案する「パーマカルチャー」に取り組む団体がある。1997年設立の環境教育団体「アース・パッセンジャーズ(Earth Passengers)」だ。

創設者のホイイー・ジャン氏とピーター・モアヘッド氏は、オーストラリアでパーマカルチャーを学んだことをきっかけに、その考え方を活動に取り入れ、2008年には台湾初となるパーマカルチャー・デザイン・コース(PDC)を開催した。

現在は台湾東部・台東県に学習センターを構え、実践を通してパーマカルチャーを学べる場を運営している。

パーマカルチャーとは?

パーマカルチャーとは、「パーマネント(永続的な)」と「アグリカルチャー(農業)」、「カルチャー(文化、文明)」を組み合わせた言葉。永続的な循環型の農業のもとに、人と自然がともに豊かになれるよう、自らの生活や、地域社会をデザインしていくことを意味している。

パーマカルチャーとは? 暮らしを見つめ、森をつくっていく持続可能な社会システム

関連記事

フードフォレストが育つ、台湾東部の学びの場

果樹園にいる鶏

Photo by Skylar Zilka

アース・パッセンジャーズの学習センターは、台湾東部・台東県にある約0.25ヘクタールの敷地に広がる。ここは、「住宅エリア」、年間を通して栽培ができる「菜園エリア」、そして「フードフォレスト」で構成されており、訪問者は実際に手を動かしながらパーマカルチャーを学ぶことができる。

フードフォレストとは?

フードフォレストとは、「食べものを収穫できる森」のこと。各地域の土壌や気候、自然環境や資源を活かし、森のような自然の仕組みの下で無理なく「持続可能な農業」を目指す取り組みだ。

食べられる森「フードフォレスト」 地域の新たな食糧システムとは

関連記事

台湾の土地が育むフードフォレスト

学習センターのフードフォレストでは、マンゴー、バナナ、ジャックフルーツ、グアバ、パパイヤ、柑橘類、アボカド、パッションフルーツ、コーヒー、カカオなど、多様な植物が育つという。

さらに敷地内には、竹や土といった自然素材を使ったオフグリッド住宅やコンポストトイレ、鶏舎なども整備され、自然とともに暮らすための工夫が随所に取り入れられている。

学習センターの土地は、もともと水が自然に流れ込む低地にあり、アース・パッセンジャーズは地形を変えずに中央に池を設け、水を好む植物を植えることで、その土地の特性を活かした環境をつくった。このように、土地の条件に逆らうのではなく「活かす」という発想が実践されている。

台湾各地に広がるパーマカルチャー

学びの場は台東だけにとどまらない。アース・パッセンジャーズは、都市部の限られた空間でも実践できるパーマカルチャーを展開している。

たとえば、公園に設置された雨水の貯留システム。そこからあふれた水を「バナナサークル(円状にバナナを植えて中央に生ごみなどを投入する持続可能な農法のひとつ)」へと導いて、水やりに活用するといった取り組みだ。

こうした取り組みは、アース・パッセンジャーズだけでなく、台湾各地にも広がりを見せている。台中では、子どもたちが自然のなかで遊び学べる場をつくりたいと、保護者たちがコミュニティ農園を開設。現在では野菜・ハーブ・稲など多様な植物が育ち、学校や地域団体の環境教育にも活用されている。

さらに台南では、放棄されたサトウキビ工場跡を再生したエコビレッジなど、地域の特性を活かしたパーマカルチャーの実践も広がっている。

台湾は台風の影響を受けやすく、食料自給率が決して高くない。だからこそ、その土地や気候に寄り添ったパーマカルチャーが広がったのだろう。こうした動きは今後、世界各地へとさらに広がっていくのかもしれない。

※参考
Earth Passengers Pioneers Permaculture Education in Taiwan Through Decades of Hands-On Practice|Happy Eco News
Permaculture in Taiwan - permaculture day spotlight|Permaculture Association

※掲載している情報は、2026年8月5日時点のものです。

    Read More

    Latest Articles

    ELEMINIST Recommends