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史上最多48か国参加の2026 FIFAワールドカップが開幕した。世界中が選手たちの戦いに沸くこのとき、ひとつのビッグクラブがピッチの外で静かに「世界初」を達成。リバプールFCが、フードサービス業界向け国際認証を全飲食部門で取得した。

Naoko Tsutsumi
エディター/ライター
兵庫県出身。情報誌、カルチャー誌、機内誌など幅広いジャンルの媒体の編集に携わる。コロナ禍にシンガポールへ移住。「住む」と「旅」の視点の違いに興味を持ち、地域の文化の違いを楽しんでいる。
リバプールFCは、イングランドの都市リバプールをホームタウンとする、世界的な強豪クラブのひとつだ。そんな同クラブは、アンフィールド、AXAトレーニングセンター、クラブアカデミーを含む5つの主要拠点で、「Food Made Good Standard」の2つ星の評価を獲得した。
「Food Made Good Standard」は、イギリス発祥のサステナブル・レストラン協会(SRA)が運営する、飲食業界に特化した認証制度。調達、社会、環境という3つの分野における持続可能性の実践を評価している。
リバプールFCの今回の認証取得を支えた取り組みのひとつが、余剰食品の地域還元だ。
同クラブでは現在、毎週1,200食分の食事を地域社会へ再分配している。試合日にスタジアムで余った食品を廃棄するのではなく、必要としている人々のもとへ届ける仕組みをクラブ運営に組み込んだ。慈善活動ではなく、事業オペレーションとして日常的に機能しているところが重要だ。
さらに、2030年までに食品廃棄物の100%をリサイクルするという目標を公式に掲げている。ホームゲームのたびに何万人もの観客が訪れる大規模スタジアムで生まれる食のインパクトを、限りなくゼロへ近づけるという野心的な宣言だ。
リバプールFCは、クラブ全体の飲食オペレーションをこの水準に引き上げるために、ストローやカトラリーなどの使い捨てプラスチック製品の廃止、食品ロスの削減、ファン向けのリサイクルプログラムの実施、サプライヤーとの連携強化——それらを組み合わせ、スタジアムの売店などすべての飲食施設でサーキュラーな食のエコシステムを構築。
フードロスや食材調達の透明性への関心が高まるいま、ひとつのスポーツクラブが、食の持続可能性において世界水準を塗り替えた。
なぜ、数多あるサッカークラブのたったひとつの取り組みがこれほど重要なのか。答えは影響力にある。リバプールFCのフォロワー数は、Instagramは4840万人、Xは2420万人、YouTubeは1250万人にもなる。
つまり、リバプールFCが本気でサステナビリティに向き合っているというメッセージは、世界中の数億人にものぼる熱心なファンを通じて、驚異的な熱量と速度で世界中に届くと期待できるだろう。
子どもたちはスタジアムで食品廃棄物の少ない運営を「当たり前」として育ち、大人たちは「あのリバプールがやっているなら」と、日頃の行動を見直すきっかけを得る。スポーツ界においては、ほかのビッグクラブも追随せざるを得ない空気感が生まれ、全体の標準を底上げする。
リバプールFCの挑戦は、スポーツが持つ巨大な影響力を地球の未来のために使うという“宣言”。試合結果だけでなく、クラブが選ぶ食材、廃棄物の行方、地域との関わり方——「ピッチ外の顔」に注目することは、スポーツの新しい応援スタイルになるかもしれない。
※参考
Liverpool FC Sets Global Benchmark With Food Sustainability Certification Across Operations|ESGNEWS
The Sustainable Restaurant Association
FIFA
HOW MANY FANS DO LIVERPOOL HAVE? A GLOBAL AUDIT OF THE REDS' AUDIENCE AND ITS COMMERCIAL POWER IN 2025|footballgroundmap
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