アイスランド系デンマーク人アーティスト オラファー・エリアソンが開発に携わった子ども向けアプリ「Earth Speakr」がリリースされた。子どもたちが地球に存在する何かになりきって、未来への不安を録音すると、地図上に子どもたちの声がシャボン玉のかたちとなって表示されるという。
小嶋正太郎
農家 / 編集者
元ELEMINIST副編集長。2021年7月に東京から瀬戸内海に浮かぶ因島へと拠点を移す。高齢化で運営困難になった八朔・安政柑農園を事業継承し、農家として活動中。
9月27日まで東京都現代美術館で開催されている展覧会「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」で、オラファー・エリアソンは日本に暮らす多くの人の注目を集めている。10年ぶりとなる大規模展覧会なだけに、そちらにも目を向けたいのだが……今回は彼がリードして開発したアプリの話を紹介しよう。
大人たちが子どもたちの声を聞くように設計されている「Earth Speakr」だ。
オラファー・エリアソンといえば、自身のアートワークで人工太陽をつくりだしたことが有名であるように、自然に関するメッセージを訴えかける機会が多い。
「Earth Speakr」は、そんな彼らしい想いが込められたインタラクティブアートとしてのアプリ。子どもたちが地球に存在する何かになりきって、大人たちに向けて未来の不安を話すようになっている(視点の変え方も“らしさ”と表現していいのかもしれない)。
使い方は簡単。無料アプリをダウンロードして、「何になりたいのか」を考えて、発信したいメッセージを録音すればいい。スニーカーを選んで「もっとサステナブルな素材にしてほしいな」と吹き込む、といった具合に。
そうすれば、ウェブサイトやアプリに表示される地図上に、子どもたちの声がシャボン玉のようなかたちとなって視聴できるようになるのだ。オラファー・エリアソンは、アプリ開発の狙いをこう語っている。
「『Earth Speakr』は、子どもたちにアーティストになってもらう集合的なアートワークです。クリエイティビティやイマジネーションこそが、この作品の根幹となります。
想いでも、理想でも、不安でも、希望でも問題ありません。遊び心があっても、ふざけていても、真面目でも、詩的でも、正解や不正解はないので誰もが気軽に参加できるのです。自分の頭のなかにあることをメッセージにすることで、子どもたちと一緒に次世代の地球について考えたいと思います」
「Earth Speakr」はヨーロッパ諸国の24言語に対応している。よりEUが環境政策に力を入れるように働きかけるためだという。
大人たちに比べて、子どもたちの地球に暮らす時間が長くなるのは当然のこと。だからこそオラファー・エリアソンは、子どもたちの声に、地球の声に、少しでも多くの人が耳を傾けるように促しているのだ。
参照元/Earth Speakr
https://earthspeakr.art/en
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