他国のプラ廃棄物はもう輸入しない タイ・インドネシア・マレーシアなどが続々禁止

廃棄物やごみが集まった街

Photo by Muhammad Numan on Unsplash

ヨーロッパ諸国やアメリカ、日本などは、自国で出たごみを世界の国々へ輸入してきた。しかし、そのような廃棄物を受け入れてきた国でいま、輸入を禁止する動きが出てきた。2025年は、タイ、インドネシア、マレーシアなどが廃棄物の輸入禁止の方針を明らかにした。

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2025.11.20

世界最大だった廃棄物輸入国・中国が2018年より禁止に

世界最大の家庭ごみ市場と言われたのが、中国である。中国は世界各国の廃棄物の輸入を行ってきた。だが、2018年から廃棄物の輸入禁止品目を追加してきた。日本も中国に廃棄物を輸入してきた国のひとつだ。

そして中国が廃棄物の輸入禁止を行ったことで、それ以外で廃棄物の受け入れを行ってきた国の輸入量が増加しており、それらの国々でも輸入禁止に踏み切るところが増えている。

タイ

タイは2025年1月、有毒汚染への懸念から、プラスチック廃棄物の輸入を全面的に禁止した。中国が廃棄物の輸入を禁止してから、タイが輸入する廃棄物の量が増加しており、タイ税関当局によると、2018年から2021年の間に110万トン以上のプラスチック廃棄物を輸入。日本からも年間5000万kgも送られていたという。しかし、タイ国内での不適切な処理や焼却が横行し、健康被害が深刻化。今回の禁止に至った。

インドネシア

インドネシアも2025年1月より、タイと同様にプラスチック廃棄物の輸入を禁止した。インドネシアは長年にわたり、とくに欧州連合(EU)からのリサイクル廃棄物を受け入れてきた。ユーロスタットのデータによると、EUは2023年に紙、プラスチック、ガラスなどのリサイクル可能な廃棄物を、2022年の640万トンから34%増となる約850万トンを世界の国々へ輸出している。

マレーシア

マレーシアでは2025年7月より、プラスチック廃棄物の輸入に関して厳しい規制を敷いている。有害廃棄物の輸出入について定めたバーゼル条約の遵守を義務付けたことで、米国など、バーゼル条約に締約していない国からはプラスチック廃棄物の輸入はできないこととなった。

ケニア(製造から12年以上の電子・電気機器の輸入禁止を検討)

ケニアではいま、製造から12年以上経過した電子機器・電気機器の輸入を禁止する計画を進めている。ケニアは電子機器の約70%を海外から輸入しており、その多くは中古品または寿命を迎えたものであり、年間約5万トン以上の電子廃棄物が発生しているという。そのような国内で増加する電子廃棄物の蔓延を食い止めることが目的だ。テレビ、冷蔵庫、コンピューター、携帯電話、産業機械など、幅広い製品が対象となる見込み。

「ごみの輸出」について考えよう

日本を含め、多くの国が自分の国で出たごみを途上国などに輸出してきた。しかしそれらを受け入れる国では、廃棄物を処理する仕組みなどがそもそも整っていないことも多く、ごみの山となって、地域の大気汚染や有害物質流出などの問題を引き起こしてきた。

例えば、ケニアは先進国の売れ残り品や店頭で回収された服を輸入してきた。だがその大半は、実際にはもう売れない・着れないもので、現地で埋め立てられているという。それが「服の墓場」とまで言われている理由だ。

衣類回収ボックスの先で起こっていること ケニア・ギコンバの現状を鎌田安里紗がレポート

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一方、日本ではごみの最終処分場が23.5年後には無くなる可能性があることが、環境省のデータでわかっている。つまり、日本ではもうごみを捨てる場所がなくなってしまうということだ。

もうごみが捨てられないかもしれない 最終処分場のいま

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これまで、不要になったものは、とくに意識することなくごみ箱に捨てていたかもしれない。しかし、ごみをそもそも少なくすることが欠かせない。再利用できるものは、再び資源として活用する。そんな小さな心がけを一人でも多くの人が続けていくことが大切ではないだろうか。

※掲載している情報は、2025年11月20日時点のものです。

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