もうひとつの居場所を見つけた 地域が、わたしが、豊かになる「旅アカデミー」 ローカル副業入門【現地編】

香川県三豊市 JALの旅アカデミー

JALグループより始まった新しい旅のカタチ「旅アカデミー」。観光ではなく“学び”を目的にした地域体験プログラムで、事前に2~3回の座学プログラムを受けたうえで、現地プログラムで実際に地域を訪れる。毎回さまざまなテーマが設定され、今回ELEMINIST FollowersのTsukiさんが「地域で自分を生かす“ローカル副業”入門」に参加した。座学プログラム編に続き、香川県三豊市での現地プログラムの様子をお伝えする。【読者プレゼント付き】

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2025.01.07
Promotion: JAL

ローカルビジネスの現場を巡る1泊2日の旅

香川県三豊市 JALの旅アカデミー

今回の旅の舞台は、香川県三豊市(みとよし)。ここはいま、ローカルスタートアップの中心地だという。地元の若手経営者と外部から訪れたイノベーターがタッグを組み、次々と新しいビジネスが生まれている。ここ約3年で実に80以上のプロジェクトが立ち上がっているというから驚きだ。

香川県三豊市の海

参加者は事前に3回の座学プログラムを受けており、そこで講師を務めた3名も現地ツアーに帯同する。3名とも東京で仕事していたものの、三豊市で自らのビジネスを起こした人物。さらに現地で同様にビジネスを起こした人のプレゼンテーションもあり、ローカルビジネスの現場を巡りながら、三豊市のローカルビジネスの最前線にいる人々の体験を知ることができる、実に濃厚な内容だ。

旅の始まりに、今回の講師で三豊市でビジネスを起こした古田秘馬氏から参加者への期待が語られた。「旅アカデミーをターニングトラベル人生のきっかけになるような旅にしてほしい」。そこには、地域にもう一歩踏み込んでくれる関係人口を増やしたいという狙いがある。

ローカルビジネスを起こした経験者から生の声を聞く「プレイヤープレゼン」

香川県三豊市のコミュニケーションコーヒーショップ「宗一郎珈琲」創業者

「地域と共に生き、共に栄え、共に滅びる」と地域愛を語る今川宗一郎氏。コミュニケーションコーヒーショップ「宗一郎珈琲」を始めた人物だ。

今回のテーマにおける現地プログラムの醍醐味のひとつが、現地で実際にローカルビジネスを起こした人々によるプレゼンテーションで、生の声を聞けることにある。なぜビジネスを始めたのか、三豊でのローカルビジネスにはどんな特徴があるのか。合計6名の現地プレイヤーが登場した。

そのなかの一人、今川宗一郎氏は地域密着型スーパーマーケット「今川」の3代目。実家の“スーパー”を越えようと自身の会社「ウルトラ今川」を立ち上げた。“地域のやりたい心に火をつける”をミッションに、地元企業へ出資も行う。いまのような働き方になった転機は、父母ヶ浜(ちちぶがはま)のランドマーク的存在であり、観光客と地域をつなぐコミュニケーションコーヒー「宗一郎珈琲」だ。

当初は誰もが知る有名コーヒーチェーンの誘致を目論んだが、今回の講師を務める古田氏や原田氏から反対に合う。「日本中が同じ町になってしまう。自分たちでつくろう」。当時はその理由がわからなかったが、いまならわかるという。「あのコーヒーチェーンがあったら経済効果はあったかもしれないが、地元のプライドが失われていた」。そして、オリジナリティあふれるコーヒーショップをつくったのだ。

写真・映像制作の会社「Fizm」藤岡優氏、「宗一郎珈琲」の今川氏

左から、写真・映像制作の会社「Fizm」藤岡優氏、「宗一郎珈琲」の今川氏。

さらに、現在は三豊市に商店街をつくる取り組みに力を入れる。古着屋、雑貨屋、天ぷら屋など、町にないショップをオープンさせたいと意気込む。出資に対して配当金は求めず、「暮らしに楽しみが増える、株主になって応援できるのが楽しい」と言う。やっていることは「地元にほしい暮らしを描き、そこにビジネスを当て込んでいるだけ」と言い切る。

例えば、三豊市にある唯一のスナック「カラオケ PUB ニュー新橋」は、地元のメンバー9人が出資をしてつくったもの。課題解決ではなく、「飲んで歌って歩いて帰れる場所がほしい」という理想の暮らしから生まれたものだ。

今川氏のほか、「三豊市の歴史は俺が撮る!」という覚悟を持って写真・映像会社を営む「Fizm」の藤岡優氏、放課後から教育を変えようと、子どもたちが育った地域で探求する「みとよ探究部」を運営する小玉祥平氏、三豊市の空き家や放棄地問題に取り組む島田真吾氏などが、自らの体験を語った。

香川県三豊市のインテリア雑貨&ショールーム「DEMI1/2(デミ)」

喜田建材の島田氏が手がけた、インテリア雑貨&ショールーム「DEMI1/2(デミ)」。建材屋ならではのネットワークを活かし、宿泊施設の管理や移住相談なども行っている。

三豊市で次々とローカルビジネスが生まれる理由について、外部からの新しいアイデアに「面白い!」と言える‟外向的ローカル”がいるかがポイントだ。三豊市には、地域の内外をつなぐローカルプレイヤーが多く、その結果、地元だけではなし得なかった新しいプロジェクトが誕生する土壌ができたのだという。

香川県三豊市の「おむすび座」

農家の母屋をリノベーションした「おむすび座」。子どもを連れたママが気兼ねなく集まれるようにと、地元の起業家たち8人でつくられた。

また、三豊市の家賃の低さも、ローカルビジネスのハードルを低くしている。30坪の家賃はわずか月5000円ほど。それだけ固定費が安いと、二拠点や副業でも挑戦できる可能性が見えてくるし、若者が飛び込んでくるというのも納得だ。

ローカルビジネスの現場を巡る 各地の施設見学

香川県三豊市の宿泊施設「積凪(つむなぎ)」

海のすぐそばにある宿泊施設「積凪(つむなぎ)」。地元では価値を見出すのが難しいと思われた荒地だったが、「穏やかな瀬戸内海に臨む、海が見えるゲストハウス」のコンセプトで成功した事例のひとつ。

今回の現地プログラムでは、ローカルビジネスの現場をいくつも訪れた。三豊市の魅力のひとつ、美しい瀬戸内の景色も楽しんでほしい。

地域循環型のビジネスモデル「URASHIMA VILLAGE」

香川県三豊市の宿泊施設

「ヨガリトリートにも活用できそう!」とTsukiさんも気に入った宿泊施設。プライベートビーチにサウナと魅力的な設備を完備。

瀬戸内海を望む一棟貸しの宿「URASHIMA VILLAGE(ウラシマビレッジ)」は、三豊市のローカルビジネスには欠かせない “共助”で生まれたプロジェクトだ。原田佳南子氏が代表を務める瀬戸内ワークスをはじめ、地元の100年続く優良企業11社が共同出資をしてつくりあげた。土地探しから施工、建材の調達はもちろん、宿の運営、リネンクリーニング、食事まで、すべて地元企業でまかなわれている。「地域の経済循環を、外ではなく中で回していきたかった」と原田氏は話す。

2021年に開業した「URASHIMA VILLAGE」だが、現在、新たな取り組みで注目を集める。宿を所有する「瀬戸内ビレッジ」から不動産部分だけをファンドに売却し、広くオーナーを募るという。

宿の運営はそのままに、不動産のみを借り受ける方式に切り替える。これにより不動産売却益が出るため、「瀬戸内ビレッジ」として新たなプロジェクトを生み出すことができる。投資を通して地域に関わってくれる“株主人口”を増やせるという利点もある。

地域と観光客をつなぐ場に SNSで話題の「父母ヶ浜」

香川県三豊市の父母ヶ浜(ちちぶがはま)

天空の鏡になるのは干潮時の夕暮れ。風のない時間帯がベストとか。この日はあいにく風が強かった。

「日本のウユニ塩湖みたい!」とSNSで話題になっているのが、父母ヶ浜(ちちぶがはま)だ。2016年には年間5000人ほどだった観光客が、いまや50万人にまで激増した。宿泊施設「URASHIMA VILLAGE」をつくったのも、観光客の受け入れ体制を増やす必要があったからだ。

父母ヶ浜にはもともとごみが多く、埋め立ての話も出たほどだった。だが、地元の有志が30年以上も海岸清掃を続けたことで、この美しい海岸は守られた。そこから観光客と地域の人をつなごうと、飲食店や総合案内所など、浜辺の整備がすすむ。担当するのは行政ではなく指定管理者となった地元企業だ。ここにも“共助”の仕組みが存在する。

現地の人・講師・参加者同士でつながる

香川県三豊市クラフトビール専門店「みんなでブルワリー」

旅アカデミーの参加者は限られた人数で、しかも事前の座学プログラムを経て、現地プログラムの2日間をともにすごす。そのため、講師も含め、自然とそれぞれとの距離が縮まり交流が広がることも魅力のひとつだ。

1日目の夜は、今回の講師のひとりである三浦功喜氏が店主を務めるクラフトビール専門店「みんなでブルワリー」で、懇親会が開催された。古民家をリノベーションしたブルワリー併設のビアバーだ。

ローカルビジネスに興味を持つ人々が集まった、今回の旅アカデミー。「自分でビジネスを始めたい」「地方でできることを模索したい」など、共通点を持った人々同士だからこそ、自然と熱のこもったトークが繰り広げられた。こんなコミュニケーションの場から面白い三豊市のプロジェクトが誕生し、ここでつながった人脈も大きな財産となっていくだろう。

旅アカデミーに参加して

3回の座学プログラムと、2日間の現地プログラムを体験して、参加した人はどう感じたのだろう?

Tsukiさん「本当にやりたいことを思い出す旅 人生観が変わった」

ヨガ講師Tsukiさん

ヨガの講師として指導歴11年のキャリアを持つTsukiさん。自らビジネスを行っているため、今回の旅アカデミーのテーマに興味を持ったという。

Tsukiさんは、リトリートのようで人生観が変わったと話す。「課題解決ではなく『みんながほしい日常をみんなでつくる』というお話が印象的でした。そして三豊市にはステキな大人がたくさんいました。彼らが仕事も人生も楽しんでいる様子が若い世代に伝わって、柔軟なアイデアや行動につながっているんですね。自分のやりたいことを素直に表現できる環境も、三豊市の魅力だと思いました」

本当にやりたいことを思い出していくそんな旅になったような気がするという。「いまの自分や環境を変えたい」、「いまの仕事やライフスタイルを変えたい」、そう思っている人に、三豊市や旅アカデミーの唯一無二のツアーをおすすめしたいと感じたそうだ。

他の参加者からは「現場を見てほしいと言われた理由がわかった」「課題解決から入る大企業のやり方がまったく通用しないことを実感した」「“共助”の仕組みが自然発生的に起きることに驚いた」などの感想が聞かれた。三豊市の魅力にはまり、また訪れたいと思った参加者も多かったようだ。

古田秘馬氏「地域に関わる方法は無数にある」

古田秘馬氏

古田秘馬氏は、東京の「丸の内朝大学」、讃岐うどん文化を伝える三豊市の宿「UDON HOUSE」など、数多くのブランディングに携わってきた。

三豊市の数々のローカルビジネスに携わり、今回の旅アカデミーでも中心的な存在となった古田秘馬氏は、地域との関わり方について、「本業でしっかり生活費を稼ぎながら、地域に関わる方法は無数にある」と話す。

いきなり事業を始めるのはハードルが高いが、例えば地域に不動産を持つのも一つの手だ。地域のプロジェクトに出資をするのもいいだろう。「副業というと、時間を使って何か違う仕事をすることだと思い込んでいる人が多い。だが、地域に投資をして収益を上げることも副業だ」とアドバイスしてくれた。

原田佳南子氏「三豊で仲間ができたことが自分の資産」

原田佳南子氏

楽天で地方創生などの事業に9年間携わった後、退社。2018年に三豊市に移住し「UDON HOUSE」を立ち上げる。「URASHIMA VILLAGE」をオープンするなど、三豊市での地域ビジネスを積極的に進める。

東京から三豊市に移り住んだ原田佳南子氏は、三豊市に来て家族のような仲間ができたことが資産だという。地元の人との関係性の築き方について聞くと、「関係性とはお互いの話。こちらも一歩踏み出す必要がある」という。

「URASHIMA VILLAGE」を立ち上げたことによって、飲み仲間から同志という感覚になった。地域での役割、居場所の見つけ方も同じだ。「地域コミュニティでは、何ができるかより、どんな人なのかが問われる」。まずは信頼と共感を得ることが重要なのかもしれない。

三浦功喜氏「何もしないで終わるより1回やってみよう」

三浦功喜氏

三浦氏は、経理財務の仕事を通して、都心より人件費や家賃などが安いことから、地方ビジネスの可能性に気づいたそうだ。

東京で生まれ育ち、27年間のサラリーマン経験の後、アラフィフで移住を決めた三浦功喜氏。三豊市で起業した思い切りの良さは関心の的だ。失敗への恐れはなかったのか聞いてみると「年齢的なものもあるが、何もしないで終わるよりは1回やってみようと思った」と話す。

本業での稼ぎもあるため、借り入れも少なく、起業へのハードルも低かったという。「失敗したら人生終わりといった感じではない。だめなら帰ればいい」。一歩が踏み出せない人は、ぜひこの姿勢を見習いたい。

JALの「旅アカデミー」で新たな学びの旅へ出かけよう

JALの旅アカデミー、香川県三豊市

自由な発想で「自分たちがほしいものを、自分たちがつくる」土壌ができあがってきた三豊市。これまでの概念とは一線を画す、新しい地方創生のあり方と言えるかもしれない。ローカルビジネスや副業に興味のある人が集まり、それが結果として地域の貢献につながっているようだ。

「旅アカデミー」では、今回のローカル副業入門のほかに、毎回さまざまなテーマが設けられている。地域とつながり、新たな価値観に出会う旅へ、ぜひ出かけてみてはいかがだろう。

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●ご応募期間:2025年2月6日(木)まで
●ご応募方法:下記のアンケートにご回答のうえ、必須項目にご入力ください。
●当選連絡:当選者には、2025年2月下旬にELEMINIST編集部(edit@eleminist.com) よりメールにてご連絡させていただきます。

撮影/岡田ナツ子 取材・執筆/村田理江 編集/佐藤まきこ(ELEMINIST編集部)

※掲載している情報は、2025年1月7日時点のものです。

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