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各国の経済力を測るために用いられる、「ビッグマック指数」。本記事では、ビッグマック指数とは具体的に何を指すのか、また何がわかるのかについて解説。2024年7月に発表された最新のデータをもとに、日本をはじめとする各国の順位や数値を紹介していく。
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「ビッグマック指数」とは、マクドナルドのハンバーガー「ビッグマック」の世界各国の米ドル建て価格を物価の基準として比較し、為替レートなどの水準を推計する指標のことを指す。
ビッグマック指数は、英国の経済誌「The Economist(エコノミスト)」が考案し、毎年同誌で発表している(※1)。
ビッグマック指数が、“為替レートなどの水準を推計する指標のこと”と伝えたが、ここでいう「為替レート」とは、「外国為替相場」のことを指す。
外国為替相場とは、異なる国の通貨の交換比率(相場)のこと。この外国為替相場は、外国為替市場における需要と供給のバランスによって決まる(※2)。
ビッグマック指数は、「ビッグマックは世界各国でほぼ同じ原材料でつくられており、各国の物価の比較にふさわしい」という考えに基づいた指標である。
米国とそのほかの国におけるマクドナルドのハンバーガーの価格を比較することで、それらの国の通貨の購買力格差を把握することができるといわれている(※3)。
では実際に、イギリスの経済専門誌「The Economist(エコノミスト)」から2024年7月に発表された、最新のビッグマック指数を見ていこう(※4)。
順位 | 国名 | 指数 | 価格(USドル) | 価格(円) | 現地通貨名 | 前年2023年7月比(順位) |
---|---|---|---|---|---|---|
1位 | スイス | 41.8 | 8.07 | 1,214 | スイス・フラン | 1位 |
2位 | ウルグアイ | 24.3 | 7.07 | 1,064 | ウルグアイ・ペソ | 3位 |
3位 | ノルウェー | 18.9 | 6.77 | 1,018 | ノルウェー・クローネ | 2位 |
4位 | アルゼンチン | 15.0 | 6.55 | 985 | アルゼンチン・ペソ | 4位 |
5位 | ユーロ圏 | 6.5 | 6.06 | 912 | ユーロ | 5位 |
6位 | イギリス | 3.6 | 5.9 | 887 | イギリス・ポンド | 11位 |
7位 | アメリカ | 0.00 | 5.69 | 856 | USドル | 8位 |
8位 | デンマーク | −0.6 | 5.66 | 851 | デンマーク・クローネ | 7位 |
9位 | コスタリカ | −1.1 | 5.62 | 846 | コスタリカ・コロン | 10位 |
10位 | スウェーデン | −1.6 | 5.6 | 842 | スウェーデン・クローナ | 6位 |
11位 | カナダ | −3.1 | 5.52 | 830 | カナダ・ドル | 12位 |
12位 | ポーランド | −7.4 | 5.27 | 792 | ズウォティ | 18位 |
13位 | レバノン | −9.7 | 5.14 | 773 | レバノン・ポンド | 16位 |
14位 | メキシコ | −10.4 | 5.1 | 767 | メキシコ・ペソ | 13位 |
15位 | サウジアラビア | −11.0 | 5.06 | 762 | サウジアラビア・リヤル | 14位 |
16位 | オーストラリア | −11.1 | 5.06 | 761 | オーストラリア・ドル | 17位 |
17位 | ニュージーランド | −12.3 | 4.99 | 751 | ニュージーランド・ドル | 15位 |
18位 | シンガポール | −12.6 | 4.97 | 748 | シンガポール・ドル | 21位 |
19位 | ベネズエラ | −12.7 | 4.97 | 747 | ボリバル | - |
20位 | コロンビア | −13.8 | 4.9 | 738 | コロンビア・ペソ | 20位 |
21位 | アラブ首長国連邦 | −13.9 | 4.9 | 737 | UAEディルハム | 19位 |
22位 | トルコ | −17.7 | 4.68 | 704 | トルコ・リラ | 38位 |
23位 | チェコ | −18.6 | 4.63 | 697 | チェコ・コルナ | 22位 |
24位 | クウェート | −19.5 | 4.58 | 689 | クウェート・ディナール | 26位 |
25位 | ペルー | −20.1 | 4.55 | 684 | ヌエボ・ソル | 30位 |
26位 | チリ | −20.2 | 4.54 | 683 | チリ・ペソ | 24位 |
27位 | イスラエル | −20.6 | 4.52 | 680 | 新シェケル | 25位 |
28位 | バーレーン | −20.8 | 4.51 | 678 | バーレーン・ディナール | 27位 |
29位 | ニカラグア | −23.7 | 4.34 | 653 | コルドバ・オロ | 28位 |
30位 | ブラジル | −25.7 | 4.23 | 636 | ブラジル・レアル | 23位 |
31位 | ホンジュラス | −27.7 | 4.11 | 619 | レンピラ | 29位 |
32位 | グアテマラ | −29.7 | 4.00 | 602 | ケツァル | 36位 |
33位 | 韓国 | −29.8 | 3.99 | 601 | 韓国ウォン | 31位 |
34位 | オマーン | −30.2 | 3.97 | 598 | オマーン・リアル | 35位 |
35位 | ハンガリー | −31.5 | 3.9 | 587 | フォリント | 32位 |
36位 | カタール | −32.4 | 3.85 | 579 | カタール・リヤル | 33位 |
37位 | パキスタン | −32.9 | 3.82 | 575 | パキスタン・ルピー | 42位 |
38位 | タイ | −33.4 | 3.79 | 570 | タイ・バーツ | 34位 |
39位 | アゼルバイジャン | −36.4 | 3.62 | 544 | アゼルバイジャン・マナト | 41位 |
40位 | モルドバ | −37.2 | 3.57 | 538 | モルドバ・レウ | 37位 |
41位 | ルーマニア | −37.9 | 3.53 | 531 | ルーマニア・レウ | 43位 |
42位 | 中国 | −38.0 | 3.53 | 531 | 人民元 | 40位 |
43位 | ヨルダン | −38.0 | 3.53 | 531 | ヨルダン・ディナール | 39位 |
44位 | 日本 | −43.9 | 3.19 | 480 | 円 | 44位 |
45位 | ベトナム | −47.1 | 3.01 | 453 | ドン | 45位 |
46位 | 香港 | −48.3 | 2.94 | 443 | 香港ドル | 46位 |
47位 | ウクライナ | −49.5 | 2.87 | 433 | フリヴニャ | 48位 |
48位 | マレーシア | −49.7 | 2.86 | 431 | リンギット | 47位 |
49位 | フィリピン | −49.7 | 2.86 | 430 | フィリピン・ペソ | 49位 |
50位 | 南アフリカ | −49.9 | 2.85 | 429 | 南アフリカ・ランド | 50位 |
ビッグマック指数のランキングをもとに、世界の動向についてみていこう。
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2015年1月から2024年7月までに発表されたビッグマック指数で、ずっと1位をキープしているのが世界でもっとも物価が高い国のひとつともいわれるスイスだ。
スイスのビッグマックの価格は日本円で1,214円。日本のビッグマックの倍以上の価格となっている。
スイスの物価が高い理由の背景のひとつが、高賃金であること。2023年の世界主要国の平均年収国際比較統計・ランキングで、スイスは1位を記録している(※5)。
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1年前のランキングと比較してほとんどの国に順位の変化がないなか、前年の38位から今年22位と大きく上昇したのがトルコだ。
トルコのビッグマックの価格は、前年501円(ドル円の為替レートは2023年7月時点の1ドル=142.08円で計算)に対して、今年は704円と200円も値上がりしている。
ビッグマック指数が上昇していることは、必ずしも国が豊かになっていることを表しているわけではない。この背景には、止まらないトルコの通貨、リラ安による物価上昇がある。価格が上がっているのはビッグマックだけでなく、地下鉄やトラムなど公共交通機関の運賃やトルコアイス、トルコの食卓に欠かせないチーズなど多岐にわたる(※6)。
このような背景もありトルコ政府は、2024年1月1日以降の1日当たり最低賃金を666.75リラ(約3,200円、1月5日付換算レートで1リラ=約4.8円)に引き上げた。2023年1月の(333.6リラ)からは100%増となった(※7)。
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日本のビッグマック指数は、前年と変わらず44位。日本のビッグマックの価格はこの1年で上がったものの、円安や世界的な物価上昇の影響もありビッグマック指数のランキングに変化はない。
10年前のランキングでは23位に位置していたが、近年は下位に位置しており、円の価値が低い水準にあることがわかる。
世界の経済状況を知るには、さまざまな手段がある。しかし、専門的な言葉や数字がたくさん出てくると、理解するのがむずかしく感じることもあるだろう。
そんなときは、ビッグマック指数やランキング、日本円換算した価格などを参考に、“ビッグマックを通して”世界経済の現状や動きを見ることで、理解しやすくなるかもしれない。
※1 ビッグマック指数|野村證券
※2 為替とは|大和ネクスト銀行
※3 「ビッグマック指数」(1ページ目)|とうほう地域総合研究所
※4 Our Big Mac index shows how burger prices differ across borders|The Economist
※5 世界の平均年収 国別ランキング・推移|GLOBAL NOTE
※6 伸びるアイスも高騰 お金の価値が2年で1/3になった国 | NHK
※7 2024年の最低賃金は49%増(トルコ) |ジェトロ
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