日本にも影響を与えるユーロ7とは?開始の時期や主な変更点について解説

硬貨と植物

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ユーロ7(Euro7)は、欧州で新たに始まる自動車の排出ガス規制である。従来のユーロ6と比較し、あらゆる面で革新的なルールが取り入れられており、世界から注目が集まっている。この記事ではユーロ7について具体的に解説し、何が変化したのかを紹介する。

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2024.05.18
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欧州における排出ガス規制「ユーロ7」とは

欧州旗

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ユーロ7(Euro7)は、欧州委員会によって提案された新車製造における大気汚染物質排出基準だ。最初の規制となるユーロ1が1992年に始まり、2014年のユーロ6まで段階的に条件が引き上げられてきた。ユーロ7ではそれらよりもさらに厳格な基準で、乗用車から大型車まであらゆる種類の車両に適用される。

ユーロ7が導入されることで、自動車からの排ガスやマイクロプラスチックの排出量がさらに削減され、欧州で問題となっている大気汚染や環境負荷の改善が見込まれる。

また、世界で初めての規制内容が盛り込まれるなど、注目を集めている点もユーロ7の特徴だ。今後、他国でも追随した規制が設けられる可能性も高く、日本においても今後の検討事項としてすでに挙げられている。日本にも影響を与えるユーロ7について、詳しくみていこう。

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ユーロ7が策定された背景

テールランプがひかる自動車

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ユーロ7は、欧州委員会の気候変動対策の一環として策定された。2019年発表の欧州グリーンディールでは、2050年までに欧州を世界で最初の気候中立大陸にすることを目指している。その実現のため2030年までに温室効果ガスの排出を55%削減することを目標としており、その政策の一つがユーロ7である。

ユーロ7の主なポイントは

EV車スタンド

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ここではユーロ7の改訂にあたり、ユーロ6からどのような点が変わったのか主なポイントを解説していく。

電気自動車(EV)を含むすべての車両で一律の基準

これまでは自動車・バン向けとトラック・バスなど大型車両向けで別々の基準が定められていた。ユーロ7規格では、すべての車両に対して燃料や技術に関係なく同じ排出制限が適用される。ガソリン、ディーゼル、電気ドライブトレイン、または代替燃料を使用する車両が含まれており、そのほかあらゆる車種に統一された規制が適用される。これにより、トラックやバスの規制が大幅に強化される。

一酸化二窒素(N2O)も規制対象に

ユーロ7では、ユーロ6で規制されていなかった一酸化二窒素(N2O)などの汚染物質の排出制限が導入される。この規制では、トラックやバスなどの大型車両からのN2Oの排出量が対象となる。亜酸化窒素は、二酸化炭素以上に地球温暖化への影響が懸念されている物質だ。亜酸化窒素の放出が制限されることで、欧州で問題となっている大気品質の向上が期待される。

マイクロプラスチックの規制基準の導入

ユーロ7では、ブレーキからの粒子状物質の排出やタイヤからのマイクロプラスチック排出に関する規制基準が導入される。マイクロプラスチックに関する規制はユーロ6では定められておらず、世界で初めての導入だ。

バッテリーの耐久性に基準を設置

ユーロ7では新たに、電気自動車に搭載されるバッテリーの耐久性に関する基準が設置される。バッテリーの寿命が延長されることで早期の交換を防ぎ、消費される資源の削減を目指す。

デジタル技術の活用

ユーロ7では、車両内のセンサーを使用して車両の排出量を測定するデジタル技術を活用する。改ざんや不正を防ぎ、規則が正しく実施されているか管理を行う。

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ユーロ7はいつから開始されるのか

新聞紙

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ユーロ7は当初、乗用車とバンを2025年から、大型車を2027年からの開始見込みで提案されていた。しかし修正見解により実施時期が遅れ、第2次立法から3年後となる見込みだ。そのため、早くともユーロ7基準は2028年以降に適用されることになる。

提案された基準と、開始までの期間が現実的に難しいという自動車業界や一部のEU加盟国からの反発もあり、調整が行われた。

日本における排出ガス規制

東京タワーと街並み

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ユーロ7をはじめ、持続可能な社会の実現に向けて各国で排出ガス規制が行われている。ここでは、私たちが住む日本における排出ガス規制への取り組みを紹介する。

自動車 NOx・PM 法

日本の排出ガス規制では、大都市地域での大気汚染を緩和するためにトラックやバス、ディーゼル乗用車に対する特別な排出ガス規制が行われている。主にNOx(窒素酸化物)やSPM(粒子状物質)の排出量を規制し、東京都、愛知県、大阪府などの大都市地域において適用される(※1)。

オフロード法

公道を走行しない特殊自動車に対する排出ガス規制が「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律(オフロード法)」だ。2006年4月に施行された。対象は工事現場で使用されるブルドーザやショベルカー、農作業に使われるコンバインや荷物を運ぶフォークリフトなど。一定の基準をクリアし、基準適合表示を有するものでなければ日本国内で使用することができない(※2)。

日本における低公害車普及の政策

さらに、日本では走行時にCO2を排出しない、環境配慮形自動車の普及も推し進めている。ここでは2つの政策を紹介。

ゼロカーボン・ドライブ補助制度

ゼロカーボン・ドライブとは、再生可能エネルギー電力と電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)または燃料電池自動車(FCV)を活用したドライブのこと。いずれも走行時のCO2排出量がゼロという特徴がある。政府はこれらの車両を購入する個人や地方公共団体、中小企業などに対し最大80万円の補助をする制度を導入している。補助の対象になるにはモニターに参加するなど、一定の条件をクリアする必要がある(※3)

商用車の電動化促進事業

環境省では、商用車の電動化促進事業を推進。このプログラムでは、商用車の電動化を推進するために補助金が提供され、商用車の電動化や充電設備の導入を進めている。自家用車だけではなく、商用車の運行による温室効果ガスの削減を目指し、さらにはエコな分野の競争力を向上させることが目的とされている。(※4)

ユーロ7を進める欧州の動向に注目

ネットニュース

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ユーロ7は、欧州で深刻化する大気汚染や環境破壊の改善を目指し、さらなる厳格な排出基準が設けられた。マイクロプラスチックの規制など、これまでに見られない排出規制も盛り込まれ、世界的に注目されている。今後、他国でも同様の規制がなされる可能性が高く、日本においても今後の検討事項としてすでに挙げられている。

経済活動との両立や準備期間の短さから自動車業界や一部EU諸国からの反発を受け、開始時期が延びる見通しのユーロ7。今後の欧州の動向に注目し、私たちにできることを考えていきたい。

※掲載している情報は、2024年5月18日時点のものです。

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