物流業界の2024年問題とは 内容をわかりやすく解説・影響は?

トラック

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行以降、ネットショップの需要が高まっており物流業界は忙しい状況が続いている。そんななか、2024年問題が話題だ。2024年問題とは何なのだろう?この記事では2024年問題の原因や解決策について解説する。

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2024.04.15

物流における「2024年問題」とは

カラフルなコンテナ

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「2024年問題」とは、働き方改革法案によりトラックドライバーの労働時間に上限が課されることで生じるさまざまな問題を指す。2024年4月から年960時間の上限規制が適用されることで、労働時間が制限される。トラックドライバーは荷物を運べる時間が制限され、物流が停滞する可能性が示唆されている。

消費者庁によると、何も対策を行わなければ、従来と比較して2024年度には14%、2030年度には34%の輸送力が不足する可能性も指摘されている。(※1)しかし一方で宅配便の数は、新型コロナウイルス禍のネットショッピングの利用数急増によって、増加。2021年までで過去5年間で宅配便個数が23.1%も増加しているのだ。(※2)

輸送力の低下と、それに反する需要の増加に付随して起こるあらゆる課題を「2024年問題」として扱っており、対策の必要性が叫ばれている。

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2024年問題が物流業界に与える影響

高速道路を走るトラック

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2024年問題では、高まる宅配便需要と輸送力の低下によるあらゆる影響が指摘されている。具体的に予測されている問題について紹介していく。

ドライバーの不足

労働時間の制限によりトラックドライバーの労働時間が減少し、それに伴って収入も減少することが予想される。トラックドライバーの長時間労働や待遇は以前から問題となっており、新たな働き手がいないという問題が起こっている。実際に、運送業者のなかには仕事があっても人手不足により黒字倒産せざるを得ない会社も出てくる可能性があり、収入が減ることでさらなるトラックドライバーの不足が懸念されている。

荷物の配送遅延

トラックドライバーの不足や労働時間の制限により、物流業界では荷物の遅延が発生する可能性がある。長距離の運送を行うトラックドライバーが、これまでのように働けなくなることで、配送先への荷物の到着が遅れることが考えられる。また企業は効率化をはかるために従来の配送方法を見直す必要があり、全体的な配送スケジュールにも影響を与える。

物流コストの上昇

2024年問題により、労働時間の制限にともなう運送効率の低下やドライバーの不足による需要と供給のバランスが崩れることが予想されている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行以降、インターネットショッピングの需要が高まり、運送業もこれまで以上に必要とされるようになった。しかし2024年問題により供給が減少することで、物流業者は労働力の確保や運行の効率化のために追加の費用をかけざるを得なくなり、物流コストが上昇する可能性がある。

地域間の格差

大きな影響を受けるのは、長距離ドライバーだけではない。働き手が不足することで、各地域における労働環境と需要の違いがより明らかになり、地域ごとに物流のスムーズさやサービス品質の格差が拡大する可能性がある。現時点でも、働き手の多い都心部においては翌日や早ければ当日の内に荷物が到着する。一方で地方のドライバーの確保が難しい地域では、荷物の遅延やサービスの品質低下が顕著になるであろう。

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2024年問題を解決するために必要な取り組み

広い倉庫

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2024年問題を解決するためには、どのようなアプローチがあるのだろうか。根本的な課題を解決するために必要となることを考えていく。

ドライバーの確保

労働時間の制限によりドライバーの労働時間が減少し、収入がいま以上に下がることで働き手が不足することが予想されている。この問題に対処するためには、労働条件や労働環境の改善が必要だ。賃金や労働者の負担の見直しを行い、トラックドライバーにとって価値の高い職場環境を提供する必要がある。また、新たなドライバーの確保も急務だ。

デジタル技術の活用

人手を増やせといっても、企業にとって新たな求人の確保は大きな投資である。そのため、既存の人的リソースを活用するべくデジタル技術の導入が進められている。

AIやIoTを活用したシステムや自動化技術の導入により、業務の効率化が実現する。例えばトラックの予約受付管理システム導入による荷待ち時間短縮、車両管理システム導入によるトラックの稼働率向上などが考えられる。そのほかにも従業員のヘルスチェックやシフト管理など、IT活用による事業の効率化は可能である。

2024年問題解決のために私たちにできること

広いスーパー

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2024年問題を解決するのは、企業や運送業者だけのアクションではない。国土交通省では、宅配便の利用者である私たち一人ひとりにもできる『宅配便を利用するときのアクション』を呼びかけている。(※3)ここでは、日常の宅配便の利用方法を一度見直してみたい。

まとめ買いを心がける

インターネットで買い物をするとき、個別に購入せず日用品などの買い物をまとめて行えば、物流の効率化に貢献できる。まとめ買いすることで、配達回数や車両の移動回数が減少し、効率的な荷物の運搬が実現する。ドライバーの効率的な稼働を助けることで、2024年問題の影響を少なくできるだろう。

受け取り日時を指定する

再配達はドライバーにとって非常に大きな負担となっており、非効率な業務の一つである。私たちはネットショッピングなどで注文する際に、受け取り可能な日時や家にいることが多い時間帯を指定することで、再配達や配達の遅延を防げる。再配達がなくなることが、物流の滞りを防ぐことにつながる。自分以外の相手に送る場合でも、相手が一度の配達で確実に荷物を受け取れるような日時の指定を行おう。

置き配や宅配ボックスを活用する

仕事や予定があって不在にしなければいけないときでも、宅配ボックス、宅配バッグ、置き配などを活用することで再配達をなくせる。ドライバーの負担が軽くなるだけでなく、私たちも必要な商品をいち早く手にでき、双方にとってメリットがある。

コンビニ受け取りを利用する

ドライバーが各家庭を回るのが、配送効率を下げる一因となっている。最寄りのコンビニや駅の宅配ロッカーを受け取り場所に指定することで、ドライバーの負担軽減につなげられる。またコンビニ受け取りは、外出先で荷物を受け取るのにも便利だ。自治体によっては、駅に宅配ロッカーを設置しているところもある。通勤や買い物のついでに受け取ることも可能だ。

不要なときは「急ぎ便」を使わない

急ぎ便は、必要なときだけに限って利用しよう。もしそれほど急いで手元に届ける必要がないものなら、通常の配達便で送ることも考えるといいだろう。

送り先の住所を正しく記入する

送り先の住所を誤ってしまうと、ドライバーが誤った場所に荷物を届けることになったり、正しい場所を調べたり、よけいな時間がかかってしまう。正しい住所を記入しよう。

一人ひとりの力で2024年問題を解決に

2024年問題のきっかけとなる働き方改革法案は、あくまでドライバーの労働環境を守ることを目的としている。注文すると翌日には届く現在の配送システムは便利だが、私たちのニーズが過剰なサービスをドライバーたちに強いているという現実も忘れてはいけない。

宅配便を利用する私たち一人ひとりが、配送に対する価値やサービスを見直すことで、ドライバーの負担を軽減し、2024年問題の解決につながっていくはずだ。

※掲載している情報は、2024年4月15日時点のものです。

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