化学メーカーである株式会社カネカから、2023年3月に発売された「ピュアナチュール™ オーガニックヨーグルト」。「芳醇な香り」「チーズみたいに濃厚」「コクがあって本当においしい!」など、さっそくおいしさの虜になる人が多い。そのおいしさの秘密は、有機循環型酪農や愛ある牛との向き合い方にある。ここでは、カネカが酪農にかける想いとともに、こだわりのポイントを紹介する。
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エレミニスト編集部
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カネカが乳製品事業を立ち上げたのは、2018年4月のこと。その後、2020年6月には北海道別海町に、カネカグループが運営する牧場として「別海ウェルネスファーム」を設立した。有機専用牧場として動き出し、2022年12月には念願だった有機JAS認証を取得。5年の構想の末、別海ウェルネスファームのオーガニック生乳を使用した商品として遂に誕生したのが、「ピュアナチュール™ オーガニックヨーグルト」だ。
「カガクでネガイをカナエル会社」のキャッチフレーズでおなじみのカネカは、化学の力で社会をより良くすべく、さまざまな素材を開発してきた。中でも、食品事業を展開するなかで目の当たりにしたのが、酪農業を取り巻く深刻な状況だった。
後継者不足や離農により、日本では酪農家の数が減少。1981年には10万戸を超えていたが、2023年にはわずか12,600戸と、過去約40年で90%近くも減っている(※)。あわせて生乳の生産量も減少傾向にあるのだ。カネカでは、そんな問題を根本的に解決するために酪農業に取り組むことを決めた。
カネカが持続可能な酪農のかたちとして選んだのが、有機循環型酪農。それにより生乳の付加価値を上げ、6次化することでこだわりをそのまま消費者に届けられる。
「ピュアナチュール™ オーガニック」のブランドマネージャーの森下氏は「私たちの目的は、商品を売ることだけではなく、持続的な酪農のかたちを作ることで、日本の酪農界が抱える社会課題を解決することなんです」と話す。
カネカが掲げる最終的なゴールは、より魅力のある酪農のかたちをつくること。そして未来へつなげていくことだ。
別海ウェルネスファームの敷地は、東京ドーム20個分以上。広大な敷地のなかで、およそ120頭の牛がのびのびと暮らす。ここではベルギーの有機酪農家のあり方をヒントに、有機循環型酪農が実践されている。愛を持って牛に向き合うことがおいしい生乳につながるという思想のもと、「牛・人・環境にやさしい」さまざまな取り組みが行われている。
別海ウェルネスファームでは、牛が主体。放牧飼育に加えて、牛を牛舎につながないフリーストール飼育を導入しているため、牛は牛舎内でも自由に動き回れる。好きなタイミングで寝て、食べて、マイペースに生活できる。さらに、フリーアクセス牛舎を採用。牛舎と牧草地を牛の意思で行き来できるのがポイントだ。
北海道の牧場のうち約60%はつなぎ飼いで、フリーストールを導入している牧場は約30%、放牧飼育は5〜10%。フリーストール飼育と放牧飼育を掛け合わせた飼育方法は全国でも希少な飼育形態だ。
また、牛舎の屋根や床にはカネカ製の断熱材が使用され、牛にとって快適な環境が整っている。
別海ウェルネスファームでは、牛が健康で幸せに過ごせることが大切。牛にストレスがかからない環境づくりを心がけている。
牧場はわずか3人で運営しているというが、それを可能にしているのが自動搾乳機だ。自動搾乳機の導入は、酪農現場でとくに重労働とされる搾乳作業の省力化を実現した。牛が近づくと自動で搾乳する仕組みで、牛は搾乳してほしいタイミングで自ら機械に入っていくのだとか。
さらに、搾乳と同時に、乳量や乳房の炎症などを記録できる。健康上のリスクを予知しやすく、牛の健康管理に大いに役立っているのだ。
搾乳の時間を大幅に削減することで、酪農家自身は牛一頭一頭を丁寧にケアできる。酪農家の働き方や牛への愛情の向け方に大きく関わってくる。
そして、有機循環型酪農のスタイルそのものが、環境への配慮となる。牛の排泄物は発酵、熟成させ、堆肥として活用。牛舎に併設する広大な畑では、堆肥を使った有機飼料としてトウモロコシが育てられている。飼料は農薬を用いて効率的に育てたり、海外からの輸入飼料に頼ったりもできるなか、あえて自ら育てることを選んだ。
「別海ウェルネスファームが有機JAS認証を取得するということは、牛が食べている飼料にも農薬や化学肥料を使えません。初年度は、有機飼料をつくる過程のなかで畑が雑草だらけになり、何を育てているのかわからないような状態になったこともありました。北海道大学の先生方や親交のある酪農家さんにもアドバイスをいただきながら試行錯誤し、ようやく自前で有機飼料を育てることができるようになりました。周りの方々の協力や知見があってこそです」と森下氏。
こうして育てられた無農薬の飼料を食べて育った牛が、おいしい生乳をつくってくれるのだ。
「牧場がある別海町には、日本一透明度が高いとされる摩周湖の伏流水が流れ込んでいます。飼料にもこだわっているのですが、牛たちが飲む水も良質。これも、おいしい生乳につながっていると思います」とも話す。
東京ドーム20個分の敷地には、牛舎や牧草地のほか、太陽光パネルを設置するスペースや飼料の栽培地もある。
ほかにも、環境への配慮として、カネカ製の太陽光パネルを設置。牧場で発生する電力を、できる限り賄っている。別海ウェルネスファームでは、酪農家が健やかに働き、牛がのびのびと過ごし、かつ環境にやさしい仕組みが構築されている。
だからこそ、付加価値の高いおいしいオーガニック生乳がつくられ、それがヨーグルトの味わいにも存分に生きるのだ。まさに、持続可能な酪農のかたちだろう。
「ピュアナチュール™ オーガニックヨーグルト」は、このような別海ウェルネスファームで生産された良質の有機生乳が使われていることに加え、もうひとつの特徴がある。
それは、オーストラリアやニュージーランドを中心に、世界で大きな広がりを見せる「A2ミルク」が使われていることだ。タンパク質に含まれる「βカゼイン」にはA1とA2の2つのタイプがあり、A2タイプの乳牛が出すミルクのことをA2ミルクという。グローバルではスタンダードになりつつある存在で、健康意識の高まりから、近年は日本でも注目されている。
別海ウェルネスファームでは、A2ミルクを出す牛のみを飼育。つまり、「ピュアナチュール™ オーガニックヨーグルト」は、A2ミルク100%の生乳を使ってつくられている。身体にうれしいポイントだ。
愛情たっぷりで育てられた牛のオーガニック生乳を95%以上使用した「ピュアナチュール™ オーガニックヨーグルト」は、おいしさの評判も上々。
技術提携を行っているベルギーの乳製品メーカー「Pur Natur(ピュアナチュール)社」の100年以上続く伝統製法に基づいてつくられている。
スプーンですくうと、生クリームのように濃厚なとろみがあるのは、2回に分けてじっくりと発酵させる「2段階発酵」でできた特長。チーズを彷彿させる芳醇な風味やコクは、「ピュアナチュール™ オーガニックヨーグルト」だけの味わい。手間をたっぷりかけて丁寧に仕上げられるヨーグルトは、唯一無二のおいしさだ。
フレーバーは、生乳本来の味を存分に堪能できる「プレーン」と、凝縮された甘味を楽しめる「ブルーベリー」の2種類。ブルーベリーには、オーガニック認証を受けた北米産のワイルドブルーベリーが使われている。ヨーグルトだけでなく、コンフィチュールもオーガニックにこだわる徹底ぶり。どちらも有機JAS認証取得商品で、子どもから大人まで安心して食べられるヨーグルトだ。
おいしくて酪農を元気にする「ピュアナチュール™ オーガニックヨーグルト」は、まさに未来へつながるヨーグルト。牛への愛があってこその、こだわりの味わいをぜひ体感してみてほしい。
【ピュアナチュール™ オーガニックヨーグルト販売先】オーガニック専門店、スーパーマーケット、宅配サービス、カネカオンラインショップ等
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