チャリティの意味は? ボランティアとの違いや参加できるイベント・キャンペーンの事例紹介

「チャリティコンサート」や「チャリティイベント」、「チャリティキャンペーン」などで耳にする"チャリティ"。その本来の意味と"ボランティア"との違いを改めて解説。また、"チャリティ"に関わりたいときはどのような方法があるのか、イベントやキャンペーンの具体例とともにみていこう。

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2024.01.18
SOCIETY
学び

イベントや商品の魅力を広げる エシカルインフルエンサーマーケティング

チャリティの意味とは

ハートマークを2つの手が一緒に持っている様子

Photo by Kelly Sikkema on Unsplash

チャリティ(英字表記:charity)とは、日本語で「慈善」の意味を持つ言葉で、主に慈愛や博愛、慈善の精神に基づいた公益的な救済活動や行為のことをさす。"チャリティイベント"や"チャリティキャンペーン"といった名前でその言葉を耳にする人も多いだろう。これらはイベントの参加費やキャンペーンで得た売り上げ金を慈善団体などに寄付したり、社会貢献活動費として使用することを目的としたものが多い。

一方「ボランティア」は、一般的に"自発的な意志に基づき他人や社会に貢献する行為"を指し、ポイントとして「自主性(主体性)」と「社会性(連帯性)」、「無償性(無給性)」があげられる(※1)。

いずれも社会貢献的な活動・行為に対して使われ、明確な違いは定義されにくいが、強いて言うならば、「ボランティ」は個人による"自発的な意思"によって行う社会貢献活動全般に用いられ、「チャリティ」は団体やコミュニティなどによる"慈善・慈愛の精神に基づいた公益的な活動"に用いられるケースが多い。

寄付や慈善活動費の捻出を目的として開催されるイベントやキャンペーンは"チャリティ"であり、その運営に無償で自発的にスタッフとして参加することは"ボランティア"と呼ぶことができるだろう。

「ボランティア」の語源とは? 本当の意味はラテン語の“意志”  

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チャリティイベントの種類と目的

"チャリティ"の代表的な方法には、"チャリティイベント"と"チャリティキャンペーン"が挙げられる。まずはチャリティイベントについてみていこう。

収益の一部もしくはすべてを寄付や支援物資の購入、慈善活動費などに充てる目的で開催されるチャリティイベント。主なものと、収益の獲得の手段や参加方法、開催方法を紹介。

チャリティコンサート

チャリティコンサートの会場の様子

Photo by Anthony DELANOIX on Unsplash

著名なミュージシャンや楽団、演奏家が参加して開かれる慈善興行のことを指し、英語では"チャリティショー"や"チャリティパフォーマンス"とも呼ばれる。一般的にチケットの販売やグッズ販売、会場での募金活動により得た収益を寄付や公益的な活動に使用することを目的に開かれる。出演者も慈善活動の一環として参加することが多く、出演料をわずか、またはまったくもらわないケースもある。

一方、収益を目的としたものではなく、日頃コンサートに行くことができない人たちに向けて参加費無料のコンサートを開催するという方法もある。代表例としては、重度の病気で長い入院生活を強いられた患者に向けた院内コンサートが挙げられる。生の演奏を目の前で聞くことで少しでも心を癒してもらい、非日常的な時間を楽しんでもらうことが目的だ。

参加方法

チャリティコンサートでは、来場者としてチケットやグッズを購入することでチャリティに参加できる。院内コンサートでは、一般人やアマチュア参加型のものであれば、演者側で出演するという方法もある。

チャリティスポーツ

チャリティランの大会の様子

Photo by Mārtiņš Zemlickis on Unsplash

"チャリティラン"など、スポーツをしながらチャリティに参加できるイベントのこと。スポーツ選手やスポーツチームが中心になって開催されるものや、一般の参加者を募り、その参加費が寄付や公益的な活動費に充てられるものがある。例として3つのイベントを紹介。

世界の子どもを児童労働から守るために活動する国際協力団体、ACE(エース)が2002年から毎年開催している「チャリティフットサル大会」では、大会を開催することで得られる収益や寄付を子どもたちの教育支援などに充てている。

NGO団体の日本YMCAでは、障がいのある子どもたちを支援するとともに、”障がい”への社会的な理解と関心を高めることを目的とした駅伝大会「YMCAインターナショナル・チャリティーラン」を毎年開催。ランナーの参加費や寄附をすべて、YMCAが全国で展開する「子どもたちの支援プログラム」に充てている。

国連WFP(国連世界食糧計画)が開催する「WFPウォーク・ザ・ワールド」は、途上国の子どもたちの飢餓をなくすためのチャリティーウォーク。参加費の一部が国連WFPの学校給食支援に充てられる。2023年度は、6,068人が参加し、およそ18万3千人の子どもたちに給食を届けることができた(※)。

スポーツチャリティイベントのメリットは、スポーツが好きな人とチャリティに関心が高い人を繋げるコミュニティの場となること。そして、チャリティに参加したいと思っていてもなかなか行動に移せなかった人にとって、スポーツを楽しむことで結果的にチャリティに参加できる、いいきっかけの場となることだ。

チャリティオークション

チャリティオークションは、商品や出品物を売ることで得られた利益を寄付や公益的な活動費に充てることを目的としたイベント。

企業や団体・著名人のプレミアムなアイテムがオークション対象となることが多く、スポーツ選手のサイン入りユニフォームやボール、試合で実際に使ったバッドやスパイク、芸能人の私物や自らが描いた作品、企業のプレミアム商品などが出品物によくみられる。それらは慈善活動の一環として無償で提供される場合が多い。

また、オークションと聞くと会場で競り落とすイメージだが、現在ではオンライン上でも開催されていることから、参加のハードルは高くない。オークションWEBサイトの「モバオク」や「Yahoo!オークション」では、法人や団体に限り、オンライン上でチャリティオークションが開催できるサービスを提供している。

チャリティバザー

チャリティバザーの会場の様子

Photo by Moralis Tsai on Unsplash

一般人の出品はややハードルが高いチャリティオークションに対し、チャリティバザーは個人で出店できたり、自分で手づくりしたものや不要になったものなどを気軽に出品することができる。

チャリティバザーは大小さまざまな規模で開催されており、会場は公園や学校などの広場、主催は自治体やNPO・NGO団体、大使館など多岐にわたる。

参加方法

主催する団体の公式WEBサイトや「ジモティー」などの情報集約サイトで開催情報をチェックしよう。来場者として商品を購入することでチャリティに参加する方法と、出品者として商品を無償で提供することでチャリティに参加する方法がある。

また、出品者としては、個人や仲間とチャリティバザーを開催する方法もある。住んでいる地域の公園を会場として利用できる場合があるので、各自治体のHPで申請方法を調べてみて。

SNSを活用した"チャリティキャンペーン"の事例

スマートフォンにSNSのアイコンが表示されている

Photo by claudio schwarz on Unsplash

"チャリティ"の代表的な手段のもうひとつ、"チャリティキャンペーン"は、企業や団体がCSR(企業の社会的責任)活動の一貫として行うものが多い。一般人がキャンペーンに参加し、指定された何かしらのアクションをすることで結果的に寄付金の捻出につながり、公益活動費や寄付として提供されるという仕組み。ここでは、SNSを活用し参加者を集めた"チャリティキャンペーン"の事例を紹介。

TABLE FOR TWO「おにぎりアクション」

ひとつ目の事例は、世界の食料問題の解決に取り組む特定非営利活動法人「TABLE FOR TWO International」が2016年から開催しているキャンペーン「おにぎりアクション」。

毎年、国連が定めた10月16日「世界食料デー」(世界中の人が食べ物や食料問題について考える日)を記念して前後約1ヶ月半開催されるもので、おにぎりの写真をSNSまたは特設サイトに「#OnigiriAction」とともに投稿すると、参加者に代わり協賛企業・支援者が1枚につき100円を寄付し、アフリカ・アジアに給食5食を贈るという取り組み。

"日本の身近な食を通じて世界を変える取り組み"だとSNS上で共感の輪が広がり、SNSを中心に広く拡散。初開催の2016年には10万枚超の写真が集まった。以来、2022年までに累計約150万枚の写真が投稿され、約836万食の給食を届けている(※2)。

世界の子どもにワクチンを 日本委員会「小さな幸せ、ひとつのワクチン」

途上国の子どもたちにワクチンを届け、彼らの命と未来を守る活動「子どもワクチン支援」を行う民間の国際支援団体、「世界の子どもにワクチンを 日本委員会(JCV)」が行うキャンペーン。

9月5日の「国際チャリティーデー」に合わせて開催され、身の回りの"ハート"を撮影し、「#ハートアクション」とともにInstagramに投稿すると、1投稿につき1人分の感染症を防ぐワクチンが途上国の子どもたちに贈られるというもの。

2023年の開催では、投稿数と同数の1万7,326人分のワクチンが、支援国4カ国、ミャンマー、ラオス、ブータン、バヌアツの子どもたちに贈られた(※3)。

9月5日の「国際チャリティー・デー」とは? 目的や取り組みの内容を知って一歩を踏み出そう

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チャリティの意味や目的を理解して参加しよう

チャリティイベントやチャリティキャンペーンの目的の多くは、寄付金や義援金、慈善活動費を集めること。コンサートやスポーツ大会のチケット代や参加費、オークションやバザーの収益、会場での募金活動で集めたお金がそれらに使われる。

魅力的なイベントやキャンペーンを楽しみながら、かつ結果的にチャリティにも参加できるのは魅力的だ。これまでチャリティや慈善活動に興味を持ちながらも行動に移せなかった人にとっては、ハードルもそれほど高くなく、参加しやすいところもメリット。

参加にあたって気をつけたいのは、運営団体に問題がないか、チャリティイベントの目的は何か、集まったお金の用途は正しいか、というところまでしっかり確認すること。そのうえで納得し、賛同できるイベントやキャンペーンがあれば、参加してみてはいかがだろう。

※掲載している情報は、2024年1月18日時点のものです。

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