三井不動産レジデンシャル等が現在行っている「くらしのサス活」キャンペーンとELEMINISTがコラボレーションしてトークショーを開催。竹歯ブラシを開発したMiYO ORGANIC(ミヨオーガニック)代表の山本美代氏が登壇して、くらしのなかでできるCO2削減のアイデアについてにぎやかなトークを繰り広げた。
ELEMINIST Editor
エレミニスト編集部
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地球環境に配慮した生活と聞くと、「我慢するのでは?」「窮屈な生活になる……」などとネガティブなイメージを持つかもしれないが、決してそんなことはない。「くらしのサス活」キャンペーンは、ふだんの生活のなかで取り組めるアクションで、CO2を削減していこうと呼びかけるものだ。
これは、毎日のくらしに小さな工夫をプラスして、「楽しくエシカル&サステナブルなくらしを送ろう」というELEMINISTと共通する。
そんな思いが重なり、「くらしのサス活」とELEMINISTがコラボレーション。今回のトークショーを開催することとなった。当日集まったのは、およそ30名の人々。なごやかな空間とリラックスした雰囲気でのイベントとなった。
最初に、三井不動産レジデンシャルの代田裕起氏が登壇し、三井不動産レジデンシャルの取り組みについて紹介が行われた。
代田氏が紹介したのは、日本で排出されるCO2の約15%が家庭から排出されていること。三井不動産レジデンシャルではこの事実に着目し、電気やガスの使用量を抑える取り組みを実施。家自体を高断熱にすることで冷暖房や床暖房の使用量を抑えることを目指しているほか、太陽光パネルをマンションや戸建てに導入するなど、省エネ性が高い設備を住宅に導入している。
そのほか、マンションの共用部に不用品回収サービスのボックスを設置して、ごみを減らす取り組みを支援している。また、電気やガスの使用量からCO2排出量がわかるアプリを現在開発中だという。目には見えないCO2について、どのくらい排出しているか見える化する試みだ。さらに、一般家庭よりCO2排出量が少なければポイントを付与し、ポイントに応じて豪華特典を提供することで、楽しみながら省エネ行動をできるようなサービスを目指しているという。
三井不動産レジデンシャルが2023年5月より始めた不要品回収サービス「くらしのサス活Circular Action」。
ただ、「いくら省エネ設備を取り入れた住宅に住んだとしても、電気やガスを多く使っていては、残念ですよね」と代田氏。そこで、「すまいだけでなく、くらしにおいてもお客様と一緒に楽しみながらC02を減らせるように取り組んでいきたい」と生まれたのが、「くらしのサス活」キャンペーンだ。
CO2削減と聞くと「面倒くさい」「我慢しなければいけない」といったネガティブなイメージを思い浮かべる人が多いかもしれないが、「そのイメージを少しでも変えるきっかけになれば」という思いから、キャンペーン実施に至ったそうだ。キャンペーンを通じて、CO2を減らす“サス活”を実践する人が増えるのはもちろん、その輪がさらに広がっていくことが楽しみだ。
次に登壇したのは、MiYO ORGANIC代表の山本氏。竹できた歯ブラシやヘアコーム、ペーパー状の歯磨き粉といった、くらしのなかに取り入れやすく、なおかつ環境にやさしい素材の商品を開発している山本氏は、ブランド立ち上げのきっかけや、自身が取り入れているサス活について紹介し、くらしを楽しむヒントを教えてくれた。
MiYO ORGANIC誕生のきっかけは、2018年、山本氏自身が出張先のホテルで見た使い捨ての歯ブラシだった。「『このホテルで、そして日本中で毎日何本の歯ブラシのごみが出るのだろう』って突然考えてしまったんです」と山本氏。そして、当時の日本では環境にやさしい歯ブラシを見つけることができず、「ないならつくろう!」と一念発起。環境にやさしい素材を調べていくなかで出合ったのが、竹だったという。
しかし、竹歯ブラシの実現は簡単なことではなかったそう。「インターネットで『歯ブラシ 工場』と検索して、“出てきた工場に電話する、そして断られる”の繰り返しでした」といい、「日本で一番歯ブラシをつくっているのが大阪の八尾市ということを知ったときも、まず現地に足を運びました。そして断られました」と笑いながら当時を振り返った。
安くて大量に安定した商品をつくれるプラスチック製歯ブラシが主流のなか、不均一で値段が高く、不良品が出やすい自然の素材を扱ってくれる工場を見つけるのはかなりハードルが高かったという。それでも、こうして実現に至り、多くの人に共感される商品をつくり上げることができたのは、「当たり前を変えたい!」という強い思いと行動力があったからだ。
自身で実践しているサス活について聞かれると、「食べ物は必要な分だけ買って無駄を出さない」「コンビニでコーヒーを買うときはプラスチックのフタをもらわない」「水を出しすぎない」「電気をつけっぱなしにしない」など、習慣化していることを紹介した。
さらに、「サステナブルな生活をしていると、食卓が質素に見えてしまうことが多いなと感じています。そんなときは、食器やカトラリー、テーブルクロス、花などをアレンジすることで、すごく華やかになりますよ」と、食器ソムリエの経歴をもつ山本氏ならではの工夫を教えてくれた。
「去年のクリスマスは、南天の実とクリスマス感のある木を買いましたが、お正月も同じものをアレンジして食卓に飾りました。その後もドライにして一年中飾っているので、まったく無駄になりません」と実際の写真を会場に映し出した。サステナブルな生活の楽しさや豊かさといったポジティブな面を、視覚的に受け取れるのが新鮮だった。
山本氏の正月の食卓。南天の実は、クリスマスにも飾ったそう。
サス活について話す表情や明るい声色から、サステナブルな生活を心から楽しんでいることが伝わる山本氏。「たとえば、タンブラーを持ち歩いたりマイカトラリーを持ち歩いたり、サステナブルな生活をすることで、荷物はちょっと重くなるかもしれないけれど、心は軽くなるんです」と話す。
「ものに愛着を持てたり、持っているとちょっと自己肯定感が上がったり。そういう意味で心が軽いですね」と語り、参加者も深く頷きながら共感を示していた。
その後の質疑応答で、山本氏が好きなサステナブルなブランドについて聞かれると、いろいろあるとした上で、「くらしのサス活」キャンペーンの賞品でもある、「LFCコンポスト」やシリコン製バッグの「stasher(スタッシャー)」をあげた。
LFCコンポストについては「使ってみて、野菜くずがごみにならないことが衝撃的でした。みんなが実践するようになれば、大きな力になると感じましたね」と話す。スタッシャーについても「使い始めて生活が変わったのを実感しています。日常的に使うものだからこそ、サステナブルであることは本当に大事ですよね」と伝えた。
最後に改めて、「サス活は楽しくやるのが一番!」と語った山本氏。イベント中、笑顔を絶やさずキラキラした眼差しで自身の取り組みについて話していた山本氏が発したその言葉は、何よりも説得力があった。自身のブランドについては、「サーキュラーで環境にやさしく、使い心地がいいアイテムをどんどんつくっていきたい」と意欲を見せ、「つくる側と使う側、一緒に協力してサステナブルな活動に取り組んでいけたら嬉しいです」と締め括った。
山本氏だからこそのエピソードの数々は、会場を訪れた人々の心に響き、サス活へのモチベーションアップにつながっていたようだ。
サス活に興味がない方々に興味を持ってもらうためのアクションをしていくことが大事だなと感じました。押し付けるのは良くないので、「それいいね!」って共感してもらえることから家族や友人を巻き込んで、輪を広げていきたいです。
美代さんのお話にあった、食器を活用するサス活は目から鱗でした。食器をサステナブルなものと意識したことはありませんでしたが、当たり前のように繰り返し使うものなので、サステナブルですよね。活用して食卓を彩り、使い捨てのパッケージをどんどん減らしていきたいですね。
三井不動産レジデンシャルのような大きな会社が、新しいアプリの開発など、すごく前向きにサステナブルな取り組みをされているのがステキだなと思いました。次に家を選ぶことがあったら、断熱なども意識したいと思います。
サステナブルは“我慢”という印象を持たれがちというお話がありましたが、環境にやさしいことはもちろん、自分にとって便利だったり快適だったり、メリットがあるアクションもたくさんあります。そういうアクションを見つけることで、多くの人が楽しみながら取り組めるのかなと思いました。
三井不動産レジデンシャルの取り組みは、日常に溶け込むものばかり。しかもみんなが楽しんでCO2削減できるような仕組みになっているのが、今の時代にすごくフィットしているなと感じました。大企業だからこそインパクトも大きいですし、すごくいいですよね。
私自身はサス活をする上で、無理せず楽しんでやることを大切にしています。MiYO ORGANICの竹歯ブラシも使っていますが、プラスチックと比べても違和感やストレスがなく、むしろ心地いいです。毎日使うものなので、サステナブルなアクションを始めるきっかけとしてもおすすめです。
大企業でありながら、マンションのエントランスに不用品回収ボックスを置いているなど、くらしに溶け込んだ取り組みをされていることがいいなと感じました。山本さんがご紹介されていた、食器を使ったサス活のように、生活のルーティンに取り入れられることが、無理なく楽しむうえで大切だなと改めて感じました。
一人ひとりの地道な行動でしか世界は変えられないのだなと改めて感じました。サス活キャンペーンの16のリストをみて、まだやっていないアクションもあったので、自分が当たり前にしている行動が本当に環境にやさしいかどうか疑いながら、新しい当たり前をつくっていきたいです。また、仲間と一緒に取り組むことで楽しくサス活が継続できると思うので、もっともっとこの輪が広がっていけばいいなと思います。
会場には、「くらしのサス活」キャンペーンの賞品であるELEMINISTのアイテム16点を展示。参加者は、各アイテムの説明パネルをじっくりと読みながら写真を撮るなど、関心の高さや熱量の高さがうかがえた。
イベント内でも話が出たように、まだまだサステナブルに対するネガティブなイメージを持つ方は少なくない。そのような方々に見てもらいたいと思うほど、参加者の表情は明るくいきいきとしていて、会場にはポジティブなエネルギーが溢れていた。ぜひ、「くらしのサス活」をきっかけに、こんな楽しいサステナ生活を送ってはどうだろう。
「くらしのサス活」キャンペーンは、2024年1月31日まで開催中。CO2を削減できる簡単な16のアクションのうち、いずれかを行って写真に撮るだけで、誰でも応募できる。鳥取で環境保全について学べる特別ツアーや、ELEMINIST SHOPの人気グッズなどが賞品であたる。ぜひ、この機会をお見逃しなく!
応募期間:2023年12月1日(金)~2024年1月31日(水)
応募方法:「くらしのサス活」を実践して、写真を応募フォームから送るだけ。
応募条件:「くらしのサス活」のうち、どれかひとつでも実践した方なら、どなたでも、何回でもOK。
取材・執筆/永原彩代、編集/佐藤まきこ(ELEMINIST編集部)
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