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サーフィンや釣りなど、海のレジャーを楽しむ人たちが中心になって始めた「ビーチクリーン」。私たちが出すごみが、海の生き物や自然環境に与える悪影響を直接見ることは、ごみ問題や環境問題を考えるきっかになる。ビーチクリーンに参加する意義や注意点のほか、全国のビーチクリーン団体を紹介する。
ELEMINIST Editor
エレミニスト編集部
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Photo by Brian Yurasits on unsplash
ビーチクリーンとは、海岸でのごみ拾い活動のことを指す。1985年、「海洋自然保護センター」(本部:サンフランシスコ)が実施したことが始まりだ。
日本では、1991年に海洋自然保護センターの働きかけで「クリーンアップ全国事務局 (JEAN)」が参画。ビーチクリーン活動は、海をキレイにすることや、ごみを減らすことの大切さを、自然と子どもの頃から身につけられるエコイベントであるとしている。
Photo by Brian Yurasits on unsplash
ビーチクリーンが求められる背景に、海洋ごみ問題がある。人間が出した無数のごみが海へと流出し、海洋汚染が深刻化しているのだ。
近年、年間800万トンものプラスチックごみが海に流れ着き、海洋生物の生態系の破壊や人体にも影響を与えるマイクロプラスチック問題などが、世界的な課題となっている。
ビーチクリーンに参加することには、大きな意義やメリットがある。以下のような効果も期待される。
海に流れ着くごみを実際に見ることや拾うことで、海洋汚染の現実を知り、環境問題への関心や意識が高まる。生態系の破壊を防ぐことにもつながっていく。
波の音や潮風、自然の風景を満喫することは、それだけで気持ちいい。リフレッシュ効果とともに、環境への配慮や海をもっとキレイにすべきという意識が自然に湧いてくるだろう。
地上で回収しきれなかったごみの最終地点が、海だ。SDGsへの関心の高まりとともに、海岸を清掃すること=海洋ごみについて考える場としての役割も強くなっている。
ビーチクリーンは、SDGsの目標11「住み続けられるまちづくり」のほか、海や海洋資源を持続的に利用するために、私たちが具体的にするべきことを示した目標14「海の豊かさを守ろう」に関連。
誰もが気軽に、効果的に、海洋汚染問題に取り組める手段がビーチクリーン活動なのだ。
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海岸のごみ拾いは個人でもできるが、準備やごみの処理方法など、いくつかのポイントやルールがある。ビーチクリーン初心者は、あらかじめ注意が必要だ。
清掃活動を体験してみたいが、なかなかきっかけがつかめないという場合には、日本にも数多く存在するボランティア団体や、ビーチクリーン専門のグループに登録する方法もある。
イベント主催者のウェブサイトやSNSなどから、自分の住むエリアのビーチクリーン開催日や参加方法などを簡単に入手できるだけでなく、新たな出会いや刺激も生まれるだろう。
Photo by Brian Yurasits on unsplash
ビーチクリーンで拾うごみには、鋭利なものや衛生面が気になるものが含まれることがあるため、軍手を必ず用意しよう。
清掃を行う砂浜や岩場、波打ち際など、足元が不安定な場所も多い。足をガードでき、水にも強い長靴を履くのが望ましい。
ビーチクリーンは、当然ながら屋外で行われる。長時間におよぶ場合もあり、熱中症予防のために帽子を被ったり、日焼け止めをぬって紫外線対策することが必要になる。
ビーチクリーンは、身体を動かす活動。水分補給が欠かせない。ごみにならないよう、エコボトルを持参しよう。
ビーチクリーンで拾ったごみは、適切に処理しなければ意味がない。地域やイベントごとに決められたごみ袋を用意し、仕分けにはとくに気をつけたい。
初心者はビーチクリーンに参加する前に、各団体のウェブサイトやSNSをチェックして、ごみ袋や仕分けの方法のみならず、あらゆる注意事項を必ず確認しておこう。
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バイオマスプラスチック配合ごみ袋(10枚入り)
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Photo by OCG Saving The Ocean on unsplash
現在日本では、美しい海や砂浜を守り、海洋の生態系を維持する目的で、多くのビーチクリーンが行われている。「do well by doing good.」サイトによると、22年7月1日から31日までの期間中には、国内300か所以上でビーチクリーンイベントが開催されたという。以下に、代表的な団体を紹介したい。
「海さくら」とは、日本全国でビーチクリーン活動を行っている団体の一つ。海に遊びに行く感覚で気軽に参加できるビーチクリーンイベントを開催している。
神奈川県と相模湾沿岸の13市町などにより設立された、日本で唯一の海岸清掃を専門とする公益財団法人「かながわ海岸美化財団」。
神奈川県の150キロの海岸を通年清掃しているだけでなく、年間16万人を超えるビーチクリーンボランティアに、ごみ袋とごみの回収を無償でサポートしている。海ごみの組成や原因なども調査し、海岸ごみデータも発信している。
「沖縄クリーンコーストネットワーク(OCCN)」は、沖縄県内でのごみ拾いやビーチクリーン活動を行っている団体の情報を提供している。
「私たちの青い海、白い砂浜など沖縄の豊かな自然を守っていきたい」と願う人たち(行政、各種法人、ボランティア団体、マリンレジャー団体)が集まったネットワークだ。
Hondaグループが一丸となって展開する「Hondaビーチクリーン活動」は、砂浜の清掃活動を行うイベント。2006年から始まり、全国300か所以上で実施されている。
砂浜を清掃するためのマシン「Hondaビーチクリーナー」を開発し、手拾いが済んだエリアでごみと砂を分類し回収する。
Hondaビーチクリーン活動のスケジュールは、Honda公式サイトで確認することができる。
日本全国でビーチクリーンイベントを展開する「NSA 一般社団法人日本サーフィン連盟」は、各支部が中心となり「NSA SURFERS BEACH CLEAN ACT」を開催。
ごみのないビーチ、ごみを捨てないビーチの働きかけと、海の大切さや大自然のすばらしさを再認識する機会を設けている。
Photo by Lopez Robin on unsplash
ビーチクリーンは、誰でも気軽にできる活動。手足を動かし、自然を楽しみながら行うごみ拾いは、環境だけでなく心と体もキレイにする。
ただし、ごみの回収や処理には守らねばならないルールがある。ボランティア団体やコミュニティ、ビーチクリーンアップ専門のグループが発信している情報をしっかりチェックしてもらいたい。
ごみの現実を目の当たりにすることや、環境問題に関心を持つ仲間と交流することで、大人も子どもも、自分の生活でどのようにごみを減らすことができるかを考えるきっかけになるはずだ。
マイボトルやマイカトラリーなど、環境にやさしい選択が自然とできるようになるかもしれない。
単なる海岸のごみ拾いだけでなく、音楽ライブや食事の提供などエンターテインメントな要素を取り入れたフェスタや海外イベントなど、ビーチクリーン活動の形は多様に変化している。より自分に合う方法を見つけてほしい。
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