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貧困家庭とは、国民の年間所得の中央値の50%に満たない所得水準の人々のことを示す言葉。この記事では貧困家庭の定義や日本の現状、貧困家庭が増加する理由やその対応策についてまとめている。
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日本における貧困家庭とは、国民の年間所得の中央値の50%に満たない所得水準の人々のこと。厚生労働省の調査によると、2018年の貧困線は127万円、相対的貧困率は15.4%となっている(※1)。
貧困を示す指標には、「絶対的貧困」と「相対的貧困」があり、日本で用いられる貧困率は「相対的貧困」に当たる。各指標の定義は以下の通り。
絶対的貧困とは、衣食住など人間の基本的な生存条件を満たすための最低限の資源にアクセスできない状態を示す指標のこと。食料品が確保できず飢餓や栄養不足に陥ったり、安全な居住環境や医療サービスにアクセスできなかったりと、人間らしい暮らしを送ることが難しい状態にあることを示している。
相対的貧困とは、自身が所属する社会の多数派よりも経済的に貧弱な状態にあることを示す指標のこと。 先進国で用いられることが多く、日本における貧困は「相対的貧困」のことを指している。
OECDによると、相対的貧困とは「世帯の所得がその国の等価可処分所得(手取り収入を世帯人数の平方根で割って調整した額)の中央値の半分(貧困線)に満たない人々の割合」と定義づけられている。
先述の通り、日本の貧困は2018年時点で貧困線が127万円、相対的貧困率は15.4%であり、この調査結果は日本の人口約6人に1人が相対的な貧困状態にあることを示している。
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豊かな国のように思える日本でも、経済格差が広がっており貧困が問題視されている。
日本の貧困のなかでも、子どもの貧困は深刻な問題となっている。OECDによると、日本の子どもの貧困率は高い水準にあり、約6人に1人が貧困状態にあるとされている。これは、基本的な生活必需品や教育が不十分であることを意味している。
日本におけるひとり親家庭の相対的貧困率はとくに高い傾向がある。経済的負担が大きく、一人で家計を支えなければならないひとり親家庭は、貧困状態になりやすい。
日本の離婚率は増加傾向にあり、離婚後、母親が子どもを引き取る場合が多く見られる。母子家庭では、子育てと仕事を両立するために非正規雇用を選択することもあり、経済的な困難が起こりやすい。
貧困家庭に育つ子どもたちは、教育格差が生まれやすい環境にさらされている。教育環境において、塾や習い事など経済的に負担がかかることも多い。経済的格差があることで、教育機会が不平等になることが考えられる。
日本においても貧困状態にある家庭は少なくない。貧困家庭が増加する理由は多岐にわたり、そのなかでも以下の3つの事柄が大きな影響を与えていると考えられている。
非正規雇用や失業の増加は、貧困家庭が増加する主要な課題の1つ。正規雇用よりも低い賃金や労働条件で働くことが多く、貧困のリスクが生じやすい。
ひとり親家庭の増加も貧困家庭の増加の要因と考えられている。離婚や未婚の親が子どもを単独で育てるケースが多くあり、ひとり親が家計を支える責任を一身に背負うことが多い。
とくに母子家庭の場合は、子育てと仕事を両立することが難しく、労働環境に制限が生じやすいため、貧困率が高い傾向にある。
経済状況の悪化は、貧困家庭の増加に直接影響を与えている。経済的な不景気や大幅な物価上昇など、経済状況の悪化は収入を減少させ、生活を圧迫させる。貧困家庭は、経済状況の影響を受けやすい。
経済状況や雇用問題など、これらの課題は相互に関連しており、貧困家庭の増加は社会的な問題として深刻化している。政府、非営利団体、企業の協力により、雇用機会の確保、社会的なサポートの強化が求められている。
貧困問題を解決することは、SDGs目標1「貧困をなくそう」の達成につながる。貧困に苦しむ家庭を対象に補償や生活支援を提供することで、生計を安定化させ、収入や生活条件の向上につながる。雇用の創出と経済成長を奨励し、貧困家庭に雇用機会を提供することが求められる。
また教育の普及と質の向上も重要なポイント。貧困家庭の子どもたちにも平等な教育機会を提供することが重要視されている。機会が確保されることで、貧困のスパイラルを防ぐことができ、将来的なリスクが軽減される。
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急な病気やケガ、離婚などさまざまな要因により、一度貧困状態に陥るとその環境から抜け出すことは難しくなる。ここでは貧困状態を防ぐための対応策を紹介する。
手当や支援制度は、貧困家庭に対する経済的なサポートを提供する重要な手段である。 一時的に給付金や生活保護を提供することで、生計を立てる手助けをおこなえる。これにより、基本的な生活費を賄うのに役立てられる。
また子どもを養育する家庭に対して、子ども手当や児童手当のような給付金を支給することで、子どもの基本的な生活費を補助し、子育てにおけるリスクを軽減することも可能だ。
住宅や雇用など、生活を維持するための支援も効果的。住宅支援では低所得者向けの住宅支援プログラムや住宅補助をとおして安定した居住環境を提供している。雇用プログラムでは再就職支援や職業訓練を提供し、持続可能な雇用機会を創出している。
貧困家庭の子どもたちに対する学習支援は、教育格差を縮小し、将来の機会均等を確保するために必要不可欠である。奨学金や学資支援は、高等教育へのアクセスを向上させる効果が期待されている。
学習資材やコンピューターなどの教育資源を提供して、貧困家庭の子どもたちが学業を遂行しやすくすることも効果的。学校外の時間にアフタースクールプログラムを提供し、学習サポートやスキルの習得を支援している。
貧困家庭に対する生活支援は、基本的な生活必需品やサービスへのアクセスを確保し、生活状況の向上を促進する。食料支援:では、食品バンクや給食プログラムを通して、貧困家庭に食料を提供している。
医療・健康ケアでは、医療費の補助や無料の健康診断を提供して、健康状態の管理をサポート。子育て世帯の貧困家庭には、保育サービスや育児休暇の提供、適切な職場環境の確保を支援している。
貧困家庭とは、国民の年間所得の中央値の50%に満たない所得水準の人々のこと。日本の相対的貧困率は15.4%であり、約6人に1人が相対的な貧困状態にある。
貧困家庭になる要因はさまざまだが、雇用や経済状況に影響されることが多い。貧困問題の解消はSDGs目標の達成にもつながる。身近に潜む貧困問題だが、多様な支援を活用することで、生活に困難を感じている人の環境を改善できるのではないだろうか。
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