Photo by ALSTOM SA 2023
ゼロエミッションの水素列車が、2023年6月より、カナダのケベック州で運行を開始する。運行するのは、フランスの鉄道車両製造大手のアルストム社。これまでドイツなどで水素列車の運行を開始してきたが、今回は北米での初の運行となる。
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Photo by ALSTOM SA 2021. Tommy Hvitfeldt | Coradia iLint™
フランスの鉄道車両製造大手のアルストム社は、2023年夏、カナダで水素列車「コラディア・アイリント(Coradia iLint)」の運行を開始することを発表した。
水素列車が走るのは、カナダのケベック州にあるシュート・モンモランシー公園やべー・サン・ポールなどを結ぶ、約90分のルート。ユネスコの生物圏保護区にあたるエリアだ。
Photo by ALSTOM
スウェーデンを運行する水素列車の車内の様子。
アルストムは2018年以降、水素を燃料とする列車を開発。ドイツを皮切りに、ヨーロッパ8カ国で運行を行っている。列車は水素燃料電池を搭載しており、水素と酸素が結合することで動力を得ている。運転中に排出されるのは水蒸気のみで、二酸化炭素を排出しない。さらに騒音もなく静かで、最高速度は時速140kmに達し、無給油で1,175km走行した記録がある。
アルストムは2023年初め、カナダのケベック州政府の協力のもと、カナダでの試験運転を実施。2023年6月17日からの運行開始を先日、発表した。北米で初の水素列車の運行となる。
Photo by ALSTOM
水素燃料電池。タンク1つで600マイル(約965㎞)以上走行可能だという。
ヨーロッパではとくに、電気自動車がガソリン車に代わる持続可能な選択肢として一般的になっている。また、昨今のエネルギー危機を受けて、自動車ではなく公共交通機関の利用を推進する国・地域も多い。そのような背景から、ゼロエミッションの水素列車はますます世界各国に拡大していくと期待される。
ちなみに、ケベック州では、水素列車に乗車して地元の持続可能な醸造所をまわるエコツアーも企画されているそうだ。
※参考
Alstom’s Coradia iLint, the world’s first hydrogen-powered passenger
train, will demonstrate green traction in Quebec|Alstom
North America’s First Hydrogen-Powered Train Will Debut This Summer|Smithsonian Magazine
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