アメリカが食品寄付法を改正 食品ロス・飢餓の削減に向けて

まな板にのったじゃがいも、ニンニクなどの野菜

Photo by Anne Preble on Unsplash

アメリカで食品寄付法が改正された。これは1996年に制定されたビル・エマーソン食品寄付法を改正するもので、食品ロスと飢餓問題を両軸から解決に導くことを狙いとしている。

今西香月

環境&美容系フリーライター

慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中

2023.02.27
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食品寄付の促進で食品ロスや飢餓問題を解決

アメリカのバイデン大統領は、飢餓や食糧難の人々へ食品の寄付を行う企業や団体を保護し、食品の寄付を容易にする「食品寄付法改正 (FDIA/Food Donation Improvement Act) 」に署名した。

これは、1996年に制定された通称「ビル・エマーソン法(Bill Emerson Good Samaritan Food Donation Act)」を一部改正したものである。エマーソン法は、より多くの食品寄付を奨励するよう制定されたが、使用されている文言に不明瞭な点があった。そのため、企業が責任保護の対象かどうかを明確に把握できないという課題があった。

また、善意で寄付した安全な食品の品質や状態などから生じる民事または刑事的な責任を問わないものとしている。その一方で、貧困な個人に直接提供される寄付については対象外であるため、法的な影響を恐れて、まだ食べられる食品を廃棄する方が安全と考える企業が多かった。

そのような課題の打開策として、今回の改善法では、食品小売店、卸売業者、農業生産者、レストラン、ケータリング業者、学校給食機関などが、まだ安全に食べられる食品を飢餓に苦しむ個人に直接届けられるよう修正。同時に、寄付した団体や人が保護されるように、寄付された食品の品質と表示基準を明確にするように米国農務省(USDA)に要請している。

この改正により、余剰食品の廃棄を防ぎ、企業からの食品寄付を促進する狙いがある。食品の寄付を検討している団体の保護を拡大し、法的責任を軽減するのに役立ち、企業、製造業者、小売業者、農家、レストランによる余剰食品の寄付をより適切にサポートする。

「あまった食品は寄付する」のが当たり前の文化に

世界的なレベルでの食品ロスは、毎年14億トンにもおよぶ。世界の温室効果ガス排出量の11%と高い比率を占めているが、とりわけアメリカは世界トップクラスに食品廃棄物が多い国だ。その量は毎年4,000万トンに達し、生産される食品の30%〜40%相当と推定される。

その一方、パンデミックを契機に、多くのアメリカ人が食糧不安を抱えていることが浮き彫りとなっている。世界では飢餓に苦しむ人々も数多くいるうえ、世界的な食糧不足が懸念されているなか、こうした矛盾点の解決に向けて、食品関連の企業や生産者、農場、サービス業者が積極的に余剰食品を寄付できる環境づくりが求められている。

※掲載している情報は、2023年2月27日時点のものです。

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