メキシコ・第二の都市グアダラハラに拠点を置く「Adrian and Marte」は、サボテンを利用したヴィーガンレザー「Desserto」の開発を通して、環境問題を解決しようとしている。今後はバッグやシューズなどのアパレル製品を展開する予定だという。
小嶋正太郎
農家 / 編集者
元ELEMINIST副編集長。2021年7月に東京から瀬戸内海に浮かぶ因島へと拠点を移す。高齢化で運営困難になった八朔・安政柑農園を事業継承し、農家として活動中。
「Adrian and Marte(エイドリアン アンド マルテ)」は、メキシコ・第二の都市グアダラハラに拠点を置く、ヴィーガンレザー「Desserto(デザート)」の製造を手がける企業だ。原料に使用しているのはサボテン。約2年間の試行錯誤を繰り返し、環境に優しいフェイクレザーの開発に成功した。
「Desserto」は触り心地や見た目も本革に似ていて、色も厚さも必要に応じて変えることができる。耐久性も十分にあり、計算上は10年ももつそうだ。
エイドリアン・ロペスベラルデさん(写真左) マルテ・カザレスさん(写真右)
「Adrian and Marte」を立ち上げたのは、二人の男性。自動車業界とファッション業界で革を取り扱っていた経験のある、エイドリアン・ロペスベラルデさんとマルテ・カザレスさんだ。
彼らは自身たちが働く業界が環境汚染の一因になっていることを知り、その解決策を考えるべく辞職。サステナブルな原料を探していたところ、やっとの思いでサボテンに出会った。
メキシコではいたるところにサボテンが自生していて、栽培をする際には水やりもほぼ不要。二酸化炭素も多く吸収するという。
「Desserto」を製造する際には、成熟したサボテンの葉を収穫し、それをすりつぶしたものを3日間天日干しにし、特殊加工を施す。すべての工程で天然由来成分しか使用していないため、ゴミとなってしまっても生分解が可能だ。動物性製品ではないため、動物実験も行う必要がない。
「Desserto」はハンドバッグやシューズ、アパレル製品などに採用される予定とのこと。すべては地球にやさしいプロダクトを増やし、環境問題を解決するためだ。
動物愛護の観点からもフェイクレザーに注目が集まっているが、サボテンからつくられたサステナブルなヴィーガンレザーは、業界内でもその地位をしっかりと確立するに違いない。
参照元/Adrian and Marte
https://desserto.com.mx/
文/小嶋正太郎、編集/ELEMINIST編集部
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