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近年、スキンケアアイテムとして注目を集めている「ホホバオイル」。名前を聞いたことはあるけれど、実際に使ったことはないという人も少なくないはず。全身に使えて肌質を選ばないから、オイルケア初心者にもおすすめだ。その魅力や選び方、使い方、おすすめアイテムをご紹介。
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ホホバオイルとは、ホホバの種から搾油されるオイルのこと。ホホバの原産地はアメリカ・メキシコに広がるソノラ砂漠で、砂漠のような過酷な乾燥地でもたくましく育つ、強い生命力を持つ植物だ。アメリカの先住民は古くから、ホホバオイルを肌の乾燥防止や傷の治癒などさまざまな用途で使用していたと言われている。そんなホホバオイルが持つ特徴とその魅力について、大きく2つに分けて解説。
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製品化されているホホバオイルには無農薬栽培のホホバが使用されたものが多く、環境にも肌にもやさしい。
自然由来成分100%でつくられているホホバオイルは、排水後の生分解性も高く、環境負荷が軽減されるというメリットも。
乾燥に強いホホバは砂漠で育成ができる貴重な存在。商業目的で砂漠でホホバを栽培することは、砂漠を緑化しながらホホバオイルの売り上げによる利益が生み出せる、両得でサステナブルなビジネスモデルとして期待される。(※1)
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鉱物油や防腐剤をはじめ、合成着色料、合成香料、エタノール、界面活性剤などの合成成分を使用していないホホバオイルは100%植物由来のピュアオイルであるため、肌にも安心・安全なスキンケアアイテム。
ホホバオイルは多くの植物オイルの中で唯一「液状ワックスエステル」を含有していると言われている(※1)。「ワックスエステル」は人間の皮膚の皮脂成分の一つであり、その構造とホホバオイルの成分の構造が似ていることから、肌へのなじみがよく浸透しやすいため、優れた保湿力がある。皮脂のバランスを調整する働きも持ち合わせているため、肌質を選ばずに使用できるのもうれしいポイント。
全身の保湿だけでなく、角質ケアや入浴後のトリートメント、頭皮マッサージ、クレンジングなど、さまざまなシーンでマルチに活用することができる。
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顔や体、髪などマルチに使用できるホホバオイル。実際にどのような使い方ができるのか、11通りの使い方を部分別に紹介する。
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化粧水でしっかりと肌にうるおいを与え、ホホバオイルをやさしくマッサージしながらなじませていくことで、肌の角層まで浸透し、保湿してくれる。乾燥が気になる場合は、オイルの後にクリームで仕上げをすることで、しっかりとうるおいを閉じ込めることができるのでおすすめ。
「オイルパック」をおこなうことで、普通にオイルを顔につけるよりも浸透率が70%以上アップすると言われている(※2)。ホホバオイルを顔にやさしくなじませた状態で入浴することで、お風呂の蒸気で保湿され、オイルの浸透を助けてくれる。洗顔後に行う場合は、オイルを顔に塗った上にホットタオルをのせることで肌をしっかりと保湿することができるので、ぜひ試してみて。
油性のメイクとオイルはなじみやすく、毛穴の奥に詰まった汚れも浮かせて落としてくれる。やさしくなでるようにオイルを肌になじませ、乳化して白くなった頃にぬるま湯で洗い流そう。その後洗顔をしてオイルを落とせば完了。ウォータープルーフやポイントメイクは専用のリムーバーで事前に落とすのが◎。
小鼻の周りなど、気になる部分の毛穴の黒ずみや角栓に集中してなじませ、マッサージをすることで汚れ落ちが良くなる。マッサージをしていくうちにざらつきを感じたら、角栓が取れた証。
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保湿力にすぐれたホホバオイルは、全身の保湿に最適。皮膚を柔らかくする作用も期待できるため、ホホバオイルを使用したケアはお肌をふっくらと柔らかくし、ハリやツヤを引き出してくれる効果も。
足全体のマッサージはもちろん、かかとの角質のお手入れ後や、爪の周囲や甘皮部分にオイルをなじませてマッサージすることで、肌を柔らかく健やかな状態に保ってくれる。
入浴後、体が温まっている状態でホホバオイルをたっぷり用いてマッサージ。全身を包み込むように丁寧にマッサージすることで皮膚を柔らかく保ち、代謝促進の効果も期待できる。
ピュアオイルは低刺激で肌にやさしいため、繊細な赤ちゃんの肌にも使用可能。適量を手のひらで温め、なでるようにマッサージすることで肌をやさしくケアできる。ただし、使用前は必ずパッチテストを行い、かぶれや炎症が起きないことを確かめよう。
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シャンプー前の乾いた髪と地肌にオイルをなじませクレンジングを行うことで、頭皮も髪も健やかに保つことができる。頭皮全体のマッサージを終えたら、お湯で十分にすすいでシャンプーをしよう。オイルのベタつきが気になる場合は、2度シャンプーを行うといい。
温めたホホバオイルを使用したトリートメントもおすすめ。髪の毛に均等に塗布したあと、シャワーキャップを被り、その上からホットタオルで頭をくるみ、20分〜30分程度放置。乾燥した髪や傷ついた髪に艶を与え、まとまりやすくなるなどの効果が。ダメージが気になりやすい毛先から塗っていくのがポイント。
入浴後に髪の毛をタオルドライし、毛先を中心に少量のホホバオイルを揉み込みブラッシングを。ドライヤーによる熱と乾燥を防ぎ、しっとりとコシのある髪に仕上がる。
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前述したように、環境にも肌にもやさしいホホバオイルは、体や髪などあらゆる部位にマルチに使用できる優れもの。人気の高まりも相まってたくさんのアイテムが登場しているなか、どのように選べばいいのか。そのポイントがこちら。
同じホホバオイルでも色や値段が異なる背景には、抽出方法の違いがある。高温で加熱してオイルを搾り取る製法が「高温圧搾法」。採油効率が上がり大量生産できるため、価格を抑えることができるが、高温にすることでオイルが持つ栄養分まで失ってしまうというデメリットがある。
一方、熱を加えずに圧力をかけてオイルを搾り取る方法が「低温圧搾(コールドプレス)法」。押しつぶしたり、すり潰してから圧力をかけて搾るため、採油効率が高くなく、高価になりがち。ただし種子の栄養素やビタミンなどを壊さず搾ることができ、できたオイルは上質で栄養価も高くなる。
前述の抽出方法に加え、未精製か精製されたものかも確認しよう。「精製」オイルは脱臭や脱色、濾過を行った透明なもの。香りが少なく、酸化しづらいのが特徴。敏感肌の人にとってはアレルギーのリスクが下がるというメリットもある。ただし、精製処理の段階で植物が持つ栄養が損なわれてしまうこと、化学薬品を使用する場合があることも念頭に入れておこう。
一方、「未精製」のホホバオイルは”ゴールデンホホバオイル”と呼ばれ、黄金色をしている。植物が持つ成分をそのまま抽出しており、栄養価が高いのが特徴だ。
環境にも肌にもやさしいものを選択するのであれば見逃せないポイント。農薬や化学肥料を使用しない有機栽培ならば、環境への負荷が軽減される。と同時に、肌にも安心して使うことができる。選ぶ際には認証の取得も参考に。代表的なものにはアメリカの農務省が定めた認証制度「USDAオーガニック認証」やオーガニックコスメの品質を認証する国際的な制度「コスモス認証(COSMOS認証)」などがある。
ホホバオイル100%のものやビタミンなどの栄養素をプラスしているものなど、さまざまなタイプのホホバオイルがある。自然由来の成分のみが使われているならば安心だが、合成香料や合成着色料、防腐剤などの合成成分が含まれているものは要注意。ブランドや企業サイトの説明を確認しよう。
サラッとした使用感のものからオイル感が比較的強いものまで、アイテムによってテクスチャーはまちまち。また、未精製タイプのものはやや香りが残っていたり、まれに不純物が混入しており肌荒れの原因になることも。肌が敏感な人はパッチテストをおこなったり、お店で試すことができる場合は事前に使用感を確認して。
ここでは、無農薬栽培やオーガニック栽培のホホバ種子を使用し、低温圧搾法で丁寧につくられたアイテムを厳選してご紹介。
イギリス・ロンドンでナチュラルアポセカリー(自然療法薬局)としてスタートしたトータルケアブランド「NEAL'S YARD REMEDIE」のホホバオイル。土壌や環境、栽培方法など、厳格な規定をもつ英国の「ソイル・アソシエーション・サーティフィケーション認証」を取得したホホバを100%使用している。なめらかに伸び、スッとすばやく肌に馴染む使用感で、みずみずしい肌へと導いてくれる。
アロマ業界の先駆者として1986年にドイツで誕生した「PRIMAVERA」。オーガニックアロマ製品やナチュラルスキンケア製品をつくり続けて約35年、現在では400を超えるアイテムを世界35か国以上で販売している。すべての製品が100%自然由来成分でできており、エッセンシャルオイルの72%はオーガニック栽培のもの。
マルチに活用できるホホバbioは浸透力や保湿力が高く、肌のターンオーバーを促してくれる。化粧品の開発や製造にあたって動物実験を行わない「IHTK認証」、オーガニック化粧品認証制度「NatTrue認証」を取得。
「SUNaturals」のプレミアムホホバオイルは、美容のために開発された特別な品種”KEIKO”を100%使用。毎年、アメリカ・アリゾナ州にある契約農園へ足を運び、自らの目と肌で品質を確かめるというこだわりようだ。
オーガニック栽培かつ一番搾りのみを使用した純度100%のピュアオイルなので、赤ちゃんから大人までどんな肌質の人にもおすすめ。「QAI(Quality Assurance International)」にてオーガニック認証を取得。
自然由来成分を95%以上使用し、そのうち植物原料の95%以上がオーガニック栽培によるものという徹底した自社基準を設けている、フランスのオーガニックコスメブランド「Melvita」。オーガニック原料へのこだわりはもちろん、環境や生態系の保護活動などに力を入れている企業だ。
低温圧搾法によるホホバオイルには、オーガニック由来のホホバ種子を使用。世界130ヶ国以上でオーガニック認証の審査等を行っている機関「エコサート(ECOCERT)」の認証を取得している。ビタミンEなどの栄養素をより肌に届けるため、トコフェロールとダイズ油を配合。
ヘッドスパ専門店「桧 spa hinoki」が展開するオリジナルブランド「spa hinoki」。低温圧搾法により抽出された未精製の高品質なゴールドホホバオイルは、肌の乾燥を防ぐだけでなく、髪にも使える万能な植物オイル。さらに世界基準の有機認証機関である「ECOCERT(エコサート)」による認証および「COSMOS(コスモス)認証」を受けている。
40年以上続く、ハーブ・アロマテラピー専門店「生活の木」。有機栽培で育ったホホバの種子を100%使用したホホバオイルは、スキンケアにはもちろん、マッサージオイルや手づくり化粧品の基材としてもおすすめ。低温圧搾法により抽出された未精製オイルは、植物が持つ成分がたっぷり。原料の色やほのかな香りがそのまま残っているところもバージンオイルならでは。
「インカオイル」のオーガニックホホバオイルは、アルゼンチンのなかでも厳選された土地で有機栽培された原料を100%使用している。IFOAM(国際有機農協運動連盟) に加盟するアルゼンチンのオーガニック認定機関「OIA」から認定を取得している。
低温圧搾法で抽出された一番搾りのホホバオイルは未精製のため、美しいイエローカラーが特徴。加工に手を加えておらず、ホホバオイル独特の芳醇な香りがする。
プラナロム社の正規日本輸入代理店である「健草医学舎」。輸入元のメーカー任せにせず、日本国内再検査を行い、安全性を確保している。
自然に近い形で栽培された無農薬のホホバオイルを使用。あらゆるタイプの肌に合うが、とくに乾燥しがちな肌質の人におすすめ。10~15度以下になると固化し白濁するが、暖かい場所に戻すと液状に戻る。
アロマオイル専門店の「NAGOMI AROMA」は、“自分たちの子どもに与えられないようなモノは商品化しない”をモットーに商品開発を行っている。ホホバオイルには「COSMOS ORGANIC認証」を取得した原料を使用。アルゼンチンのホホバオイル生産者から直接購入しているため価格を抑えることができている。
未精製のこちらのピュアオイルは浸透力に優れ、さらりとして少量でよく伸びる。かすかに独特な甘い香りがするのが特徴。
「マンデイムーン」は、2005年、創業者がアトピーで悩む子どものために手づくりした石鹸から始まった。正式なオーガニック認証機関が設けている基準をクリアした原料のみを使用。こちらのオイルは「USDA認証」を取得。また途上国と公平なフェアトレードを行うことを大切にし、一部の原料は生産者と直接取引を行っている。
低温圧搾製法でつくられた未精製のオーガニックホホバオイルは、ビタミン各種がたっぷり。全身や乾燥が気になる部分にそのまま使用するほか、精油を加えてマッサージオイルとして、クリームやリップなどオリジナルコスメの原料として、多様な使い方を推奨している。同ブランドの公式サイトには手づくりコスメのレシピが紹介されている。
京都生まれのフレグランス・アロマテラピーの専門店「MIEUXSELECTION」。100%天然原料やオーガニック原料にこだわり、国内外の生産者から直接仕入れている。オーガニックキャリアオイルは、サラッとした質感で伸びが良く、肌によく浸透するため顔や体など、ボディマッサージに最適。
国産オーガニックコスメブランド「reMio」は、世界各地の伝統的手法で育まれた植物の恵みをそのまま活かしたアイテムづくりが特徴。”ピュアであること、シンプルであることが真の贅沢”だという考えに基づいている。
ホホバの種子から抽出された100%ナチュラルなオーガニックホホバオイルは、精製タイプであらゆる肌質に使うことができ、なじみやすい。化学薬剤を一切使用せず、不純物を極力取り除き、有用成分を残せるよう特殊な行程で精製している。「USDA認証」を取得。
スイスの精油・オーガニックコスメブランド「farfalla」。化学合成された原料を使用せず100%ナチュラルであること、フェアトレードの実践を行うこと、エコロジーエネルギーを100%使用するなど環境への配慮を行うこと、そして動物実験を行なわず、動物由来の原料を配合しないヴィーガン製品であることを大切にしているブランド。
オーガニック栽培のホホバ種子から低温で丁寧に圧搾抽出されたホホバオイルは未精製。植物の持つ力が最大限に活かされている。
1997年に東京で誕生した「piyoko」。“世のなかに受け入れられる価値のあるものを誠実につくり、華美な宣伝や過剰包装、売れ残りによる廃棄などのムダを出さず、安定した経営を続ける”という信念のもと、社会貢献への活動も行う。
ローズインホホバセラムオイルは、有機認定のホホバオイルに、同じく有機認定されたダマスクローズを510輪も配合した贅沢な美容液。オイルとは思えないサラッとした質感で、肌を引き締め柔らかくしてくれる。高い浸透性と被膜性で、乳液やクリームは不要。
環境に配慮され、安全かつ肌なじみのよい優秀な保湿剤である「ホホバオイル」。顔や体、髪などマルチに使用することができ、あらゆる肌質の人に対応できるのはホホバオイルならではの魅力。
どのような製法でつくられているのか、オーガニックであるのかなどのポイントを押さえながら、自分に合ったホホバオイルを見つけてみてはいかがだろうか。
※1 大阪大学「砂漠からの不思議な油 ホホバオイルの生産と利用」
※2 メルヴィータ「顔にも身体にも使える!ホホバオイル活用のすすめ」
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