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イギリス発のフィンテック「TreeCard(ツリーカード)」は、支払うたびに植樹に貢献できるデビットカードを展開している。エコ検索エンジン「Ecosia(エコシア)」と提携し、2020年から現在までに20万本を植樹。先日、約31億円の出資を受け、グローバル展開が期待されている。
神本萌 |Moe Kamimoto
フリーランスライター
大学時代に南アジア文化を学んだことをきっかけに、環境や人権の問題に関心を持つ。それ以降、より自分と地球にやさしい暮らしを目指して勉強中。趣味は写真。
環境保全のために自分にできることは何かと悩むことはないだろうか。日常生活のなかで無理なく取り組めることもたくさんある。そのひとつとして、いまアメリカやヨーロッパでは、支払いをするだけで植樹に貢献できるデビットカードが話題だ。
発案したのは、2020年にロンドンで生まれたフィンテック「TreeCard(ツリーカード)」。加盟店から集められた手数料のうち80%を植樹活動にあてている。カードを持っている人が約60ドル(約8,000円)支払うごとに1本の木が植えられる計算で、すでに20万本が植樹されてきた。資金が化石燃料や森林破壊のために使われることもないという。
多くのクレジットカードと同様、オンラインで申し込みをすれば後日カードが手元に届く。既存の銀行口座と紐付けて使用できるため、新しく口座を開設する必要もない。月会費などの費用は一切かからず、専用のアプリもあり、日常使いもしやすそうだ。
カードそのものもエコ仕様で、プラスチックの使用を減らすため、木材とリサイクルペットボトルからつくられている。伐採を気にするかもしれないが、桜の木1本から約30万枚のカードをつくれるため、植樹する本数が伐採する数をはるかに上回るのだという。
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ツリーカードは、エコ検索エンジン「Ecosia(エコシア)」と提携して植樹活動を行っている。エコシアは広告収入の約8割を植樹にあてており、ユーザーは検索するだけで環境保全に貢献できる仕組みだ。2009年の創設から現在までで、世界60か国以上の植樹活動を支援。1億2,500万本以上もの木を植えているというから驚きだ。
一方で、覚えておきたいのは、無計画な植樹はその土地の生態系を乱すことになりかねないこと。その点、エコシアは現地の生態系に最大限に配慮。従来の自然を取り戻すため、基本的に在来種を選び、歴史的に樹木があった伐採地にのみ植樹している。
ツリーカードは現在アメリカ在住者のみが利用できるが、先日、活動に賛同した複数の企業から2,300万ドル(約31億円)の出資を受け、今後ヨーロッパでも事業を展開する予定だ。
ツリーカードがアメリカにおける金融機関のトップクラス並みの規模に成長すれば、毎年30億本の植樹も可能だという。ツリーカードやエコシアの活動を応援するとともに、同様のサービスが生まれていくことに期待したい。
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