環境に配慮するなら、できる限りプラごみを減らしたいところ。食器洗いにも、天然由来の素材でできたスポンジ・たわしを取り入れてみてはいかがだろう。プラ製スポンジでは流出してしまう細かなプラ繊維も防げるから、毎日の食器洗いが少し、地球にやさしいものになる。
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一般的な食器洗い用スポンジは、どれもプラスチックでできたものばかり。柔らかなスポンジ部分はポリウレタンフォームやポリエステル、貼り合わされている少し目の荒い部分はナイロン不織布。水だけで汚れを落とすと謳われるメラミンフォームも、洗剤不要で環境にやさしいともてはやされたアクリルたわしも、素材はプラスチックの一種だ。
プラスチック製のスポンジは、使っていくうちに少しずつ削れ、目に見えない大きさの細かな繊維が下水に流れ込んでしまう。人体への悪影響はまだ定かではないけれど、もともとは自然界になかったもの。さまざまな生物への影響も危惧されており、環境への負荷は無視できない。この際、削れても安心な、自然由来の素材でできたスポンジ・たわしに切り替えてはいかがだろう。
泡立ちや水切れのよさ、汚れの落としやすさという点では、たしかにプラスチック製スポンジは優秀で、使い勝手がいい。けれど、思いのほかすぐにヘタってしまったり、汚れが入り込んで衛生面が気になったり。
代替できるうえに、正しくメンテナンスすることでプラ製よりもモチがいい、そんな天然由来のアイテムも結構ある。なかには、使い終わったらコンポストや庭の土に入れて還すことができるエコなものも。
ここでは、セルロース、ヘチマ、コットンといった、100%自然由来の素材を使用した、おすすめの食器洗いスポンジ・たわしをご紹介。それぞれ、使い心地や適した使い方も解説していこう。
木材パルプを主原料にした、100%植物性繊維でつくられたスポンジ。強化繊維として綿などを含んでいるものも。耐久性と吸水性が高く、水を含むととても柔らかくなるのが特徴。泡立ちもよく、グラスや漆器、テフロン加工の鍋など、デリケートなものも安心して洗うことができる。
吸水性の高さゆえに、濡れた場所に置いておくと水気を吸って湿った状態のままに。使用後はよく濯いで絞り、乾いた場所や風通しのいいところで保管しよう。表面の無数の気孔により、スポンジ自体は簡単に絞れてカラカラに乾きやすい。使い倒したら、最後はコンポストや庭の土に埋めて土に還すことができる。
リサイクルした再生木材を主原料とした、フランス生まれのセルローススポンジ。程よい大きさと厚みがあり、握り心地は一般的なポリウレタンフォームの食器洗いスポンジと近い。水を含んだ状態で洗剤をつけるとフワフワになり、とても泡立ちがいいのが特徴だ。
オーガニック製品を認証する「エコサートナチュラル認証」を取得。売上の1%を貧しい人々を支援する「L'agence du Don en Nature(ラジャンス・デュ・ドン・エン・ナチュール)」に寄付している。
北欧テイストの熊が描かれた、セルロース100%の国産のスポンジ。水を含ませると約2cmの厚さに膨らむ。食器洗いにはもちろん、薄手で吸水力が高いので、布巾としても使い勝手がいい。食卓のたべこぼしやシンク周りのちょっとした水はね、コンロ周りの油はねをさっと拭きあげるのにも便利。
日本では昔から使われてきたヘチマのスポンジ。水やぬるま湯につけると柔らかくなり、食器をやさしく洗い上げてくれる。ヘチマの繊維が汚れを絡め落とすため、油汚れ以外のたいていの汚れは洗剤不使用で落とせる。耐久性もあり、使い方しだいでは3ヶ月以上もつことも。
速乾性に優れているので、使用後はきれいに洗い流し、乾燥させて保管を。使い倒したあとは、細かく切って庭やコンポストの土に埋めれば土に還る。
富山の自社農場で無農薬栽培された国産ヘチマを使用。”ヘチマの魅力を後世に残していきたい”という生産者の思いから生まれたブランド。無農薬にこだわり、40年間、ヘチマを種から育て、栽培・収穫・加工・製造販売まで一貫した製品づくりを行なっている。
長さが約11cmあるので、使いやすい大きさにカットしての使用がおすすめ。食器洗いにはもちろん、ソープ置きとして、またはお風呂場でのボディスポンジとしても使える。
ヘチマとセルロースが2層になった、100%植物由来のキッチンスポンジ。吸収力が高く、少量の洗剤でも汚れを落とすことができる。表裏で洗い心地が違うのも便利なポイント。繊維質なヘチマの面はこびりついた汚れを落とすのに、柔らかいセルロースの面はデリケートなガラスやお皿などの汚れを落とすのに最適。
使いはじめは水に30秒以上浸し、ヘチマにしっかりと水分を含ませるのがポイント。揉みほぐすことでさらに柔らかくなる。
日本の昔ながらの紡績機、”ガラ紡”で紡がれた糸で織られた、木綿のふきんも食器洗いスポンジの代わりになる。デコボコとしたガラ紡糸が油や汚れを取り込み、洗い流してくれる。過度な油汚れでなければ、洗剤を使わずお湯のみで洗い上げることができる。
ふわふわと柔らかで肌あたりがやさしく、手に馴染むので、さまざまな形状の食器も洗いやすい。また、乾きやすい性質のため、使用後はよく濯いで干しておくだけで衛生的に使い続けられる。汚れてきたら、重曹を入れたお湯で煮沸を。汚れも匂いもすっきりと落ち、また気持ちよく使えるように。
”丁寧につくって、大切に使って、なるべく捨てずに自然に還す”をモットーに、糸と布のモノづくりを行っている益久染織研究所のガラ紡ふきん。農薬や肥料を一度も使ったことがない土壌で栽培したコットンを使用している。赤ちゃんの産毛のように柔らかく、肌あたりがいいため、身体洗い用としても使える。
洗剤に含まれるリンによって琵琶湖が汚染されたことをきっかけに、洗剤を使わずに洗い物ができるようにと開発されたびわこふきん。ギトギト油の食器でなければ、お湯のみで拭き流すだけ。指で擦るとキュッキュと音がなるほどすっきりと仕上がる。濯いで絞り、干しておくだけでカラリと乾くので衛生的。
ヤシ科の植物・棕櫚(シュロ)の皮の繊維でつくられたたわし。適度な硬さとしなやかさがあり、ガラスや陶器といったデリケートな食器の洗浄にも使うことができる。そのしなやかさは、野菜の泥落としにも使えるほど。表面を傷つけることなく、細めの繊維が入り込んで、汚れや泥を掻き出してくれる。
細かな食べ物カスなどが繊維の隙間に入り込んだら、たわし同士を擦り洗いすると簡単に落とせる。油汚れが気になるときは、熱湯をかけて。熱にも強く、お手入れもしやすい。
職人がひとつひとつ手作業でつくる、日本のたわし専門店のシュロたわし。一般的なたわしの形を見直し、金具が食器に当たらず、手にしっくりと収まる握り心地を実現。持ち方によってさまざまな形の食器にフィットする構造になっている。グラスの飲み口やデコボコの多い野菜など、幅広く活用できる。
こちらは棒状のブラシタイプ。面状になった繊維で汚れを掻き落とすのが特徴。アイテム名のささらとは、もともとは中華鍋のこげ落としなどに使われていた、竹でできた棒状ブラシのこと。しなやかな素材である棕櫚でつくられたこちらは、より柔らかくコシがあり、テフロン加工のフライパンや鍋なども傷つけずに洗い上げられる。
サイザル麻とは、メキシコやブラジルなどの熱帯地方に生息するリュウゼツラン属の植物からとれる繊維。麻と付くが関連はない。他のたわしのようなツンツンとした硬さがなく、とても柔らかいのが特徴。ゆえに、こびりついた汚れを掻き落とすような使い方ではなく、たわし全体で拭き取るような使い方が適している。
油を弾く性質から、べっとりとしたソース汚れなども少量の洗剤で洗い落とすことができる。水を含ませるとしっとりと手に吸い付くような触り心地。食器やシンク洗い、さらにはグラスやテフロン加工のフライパン、鍋なども安心して洗うことができる。
コロンとした丸いフォルムが特徴のこちら。”現代のキッチンにおしゃれに馴染む”ことをコンセプトにつくられた。大・小2つのサイズ展開で、鍋やフライパンには大を、グラスや食器には小がおすすめ。サイザル麻特有の柔らかさで吸水性が高いが、ドーナツ型で水切れがいいのが嬉しいポイント。
シンプルかつ無駄なごみを出さない暮らしを提案するショップ、「マナオーガニックリビング」 のアイテム。本体部分は竹、ブラシ部分はサイザル麻を使用。適切に管理された森林から切り出された木材に与えられる認証制度「FSC(Forest Stewardship Council、森林管理協議会」の認証を得た竹を使っている。
握りやすいフォルムと程よいサイズ感で、小ぶりのお皿から鍋までささっと洗い流せる。先述の「白いたわし サイザル麻」より繊維がやや硬め。油分の多いフライパンや平皿の予洗いや洗浄に重宝する。
”たわし”と聞いて真っ先に思い浮かべるであろう小判形のものは、こちらのパームを使ったたわし。ココナッツの殻の繊維からできており、先述のシュロやサイザル麻よりも繊維が硬い。繊維の先端で汚れをしっかり掻きだす、こすり出す洗浄が得意。鉄鍋やザル、根菜の土や薄皮を落とす用途に適している。
100年以上も続くたわしの老舗の定番アイテム。厳選したパームをふんだんに使い、繊維の密度が高いのが特徴。4サイズ展開のうち、手のひらにちょうど収まる絶妙なサイズがこちらの1号。手の小さい人でも使いやすいよう開発された大きさ。
使用時に金具があたるストレスを解消するためにつくられたタイプ。どの面も気にせず使え、さらに細長い形状なので握りやすく、力が入りやすい。ブラウンとホワイトの2色展開で、ホワイトはブラウンを脱色したもの。明るい色調のキッチンや、キッチンツールを淡い色で揃えている人には、統一感を崩さないこちらがおすすめ。
イネ科の植物、カルカヤの根っこを使用。繊維が硬くコシがあり、油を吸収しないのが特徴。鉄鍋やスキレットの焦げ付きやこびりつきの洗浄に適している。カルカヤ自体にも汚れがつきにくく、水はけもいいので衛生的に長く使うことができる。
カルカヤたわしと言えばこちら。握りやすいスティック状で、スキレットなどの熱した面に触れずに洗うことができる。先端が摩耗して短くなってきたら、束ねているステンレスの留め具を端から外すことで使い続けられる、サステナブルなアイテム。大・小2つのサイズで展開。
使い勝手がよく安価なプラスチック製の食器洗いスポンジから天然素材のものに替えるのは、少し覚悟がいること。けれど、キッチンアイテムは毎日使う身近なもの。少しでも地球の負担にならない暮らしをしたいと思う人は、自分の食器洗いスタイルに適した天然素材のスポンジ・たわしを手にとってみてはいかがだろう。
すぐにヘタってしまいがちなプラ製スポンジよりも長く使えるものも多く、トータルのコストパフォーマンスがあがるというメリットも。さらに、丁寧に手入れをしながら大切に扱うことで、そのモノへの愛着も沸く。そんなアイテムを使って行う日々の食器洗いは、機械的に行っていたときよりも、少しだけ楽しいものになるかも。
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