「ひらけ、カカオ。」 カカオの可能性が未来を拓く 〈明治〉と若者が考えるサステナブルアクション

二つに割ったカカオの実の写真

Photo by 明治

2006年よりカカオ農家支援活動を続けている明治。今年からはカカオを通じたサステナブルなアクションをより広げるためのプロジェクト「ひらけ、カカオ。」を開始。先日開催された「カカオ、ひらく。LAB」のイベントレポートとともに、明治がカカオを通じて未来を切り拓く取り組みを紹介する。

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2022.09.29
Promotion: 明治

「ひらけ、カカオ。」が2022年スタート チョコレートだけじゃないカカオの可能性を広げる

ひらけ、カカオ。のサイトサムネイル link

Photo by 明治

今年の3月にスタートした「ひらけ、カカオ。」プロジェクト。公式サイトでは、明治がこれまで行ってきた生産国との取り組みや、サステナブルカカオの未来を切り拓く、明治の新たな挑戦を動画コンテンツで観ることができる。

明治は2006年からカカオ農家が安心して農業を継続でき、高品質なカカオ豆を安定的に調達できるよう、継続的にカカオ農家支援活動に取り組んできた。

そして2022年3月、ホールカカオ活用を目指すプロジェクト「ひらけ、カカオ。」をスタート。プロジェクトを通して、チョコレートの原材料としてのカカオだけではなく、食品としての新たな可能性や栄養・食べ方の研究、食品以外の使い方など「新しい活用方法」を模索している。

チョコレートの主原料となるカカオ豆は、実はフルーツであり豆以外の部分もあることを知っている人は少ないだろう。豆以外の部分である果肉や殻はほとんど活用されておらず、全体の10%ほどしか利用されていないのが現状だ。そんなカカオの残り90%に詰まっている“カカオの可能性を一つひとつ拓いていきたい”という想いが本プロジェクトには込められている。

「ひらけ、カカオ。」のプロジェクトが生まれた背景にはいくつもの理由がある。上記のようにカカオ豆全体をまだまだ活用しきれていないことに加え、カカオに含まれるカカオポリフェノールの健康価値が年々注目を集めていること、そしてカカオの利用方法が増えるほど、カカオ農家の支援につながることなどが挙げられる。

カカオの部位別の利用可能性を図解した図

Photo by 明治

カカオ豆の中で、現状のビジネスで利用している部位や開発中の新素材、アップサイクル化が期待されている部位などを図解したパネル。「ひらけ、カカオ。」では現状のビジネスで活用されていない部位の可能性にフォーカスを当てている。

近年カカオポリフェノールの健康価値に注目が集まっている

一般的なチョコレートと比べてカカオの含有量が多い、高カカオチョコレート商品の需要は10年間で約13倍に増え、とくに高カカオチョコレートに含まれるカカオポリフェノールの健康価値が近年注目を集めている。

ポリフェノールは動脈効果予防や、肌老化の原因のひとつである「活性酸素」が引き起こすトラブルを防ぐことが期待されるなど、数多くの研究を通してその多彩な機能が次々と明らかにされており、ポリフェノールが含まれた食べ物は緑茶や赤ワインなどいろいろと知られている。ただ、自然食品から摂取することは意外と難しいという。その点カカオ豆に含まれるカカオポリフェノールは、比較的効率よく摂取できるそうだ。

2006年からベトナムのカカオ農家と組んで研究開発をスタート

明治は2006年からベトナムのカカオ農家とタッグを組み、さまざまな研究開発を行っている。研究を進める中で、ベトナム産のカカオにはポリフェノールを多く含む品種があることがわかり、チョコレート以外の形でポリフェノールを摂取するための研究がスタートした。

そしてこの共同研究の中で、カカオポリフェノールを多く含む、“カカオフラバノール”や“カカオグラニュール”といったカカオの新素材が生まれた。これらの新素材を活用したドリンクやタブレットなどの製品の発売に向け、現在調整段階に入っているという。

こういったベトナムでの取り組みは、カカオ農家の負担を増やさずにカカオの経済価値を増やすことで、農家の生活を豊かにする可能性がある。また、北半球を中心としたカカオの消費国は高齢化が進んでいるため、カカオポリフェノールをチョコレート以外の食品から摂取できるようになることで、生活者の健康的な食生活に貢献することができる。

このようなカカオ農家のみなさんとの取り組みを世界の食のプロフェッショナルに評価してもらうため、2023年1月にフランスのリヨンで開催される、世界的な食の見本市「SIRHA」への出展に向けて現在準備をしているという。

若者世代と明治社員がディスカッション 「カカオ、ひらく。LAB」を開催

登壇する明治社員の方の説明を聞く参加者たち

明治大学商学部所康弘ゼミ、京都芸術大学マンガ学科やサステナビリティに関心の高い大学生たち約30名が参加した。

9月上旬、約30名のゲストと明治社員がカカオを通じたサステナブルな未来について考える「カカオ、ひらく。LAB」が開催された。招かれたのはいわゆるZ世代と呼ばれる約30名の大学生たち。「社会課題への感度と発信力が高い若者のみなさんと考えていきたい」という想いが、今回のイベント実施につながったという。その背景には、企業の自己満足ではないカカオの持続可能性を実現するためには、カカオの新しい"栄養や食べ方"の価値を持続的に広げていく方法について、生活者や社会全体を巻き込んでいくことが大事だという考えがある。

まずはカカオの歴史や明治の研究開発について学ぶ

カカオベルトについて説明をする明治の木原さん

カカオベルトについて説明をする明治の木原さん。カカオは高温多湿な環境を好む植物で、北緯20度〜南緯20度の限られた地域でしか育てることができないという。「カカオを生産している地域と消費している地域(主に北半球)では、お互いのことを知る機会がない」というお話が印象的だった。

二部構成で行われた今回のイベントは「ひらけ、カカオ。」プロジェクトのなかでもとくに“カカオの食品としての新たな可能性”に着目。イベント前半ではカカオマーケティング部 CXSグループ長の木原純さんが、カカオの基礎知識や明治とカカオ農家のこれまでの取り組み、進行中の研究開発について紹介をした。

例えばカカオは歴史のほとんどを飲み物として食されていたこと、メキシコではいまでもカカオ豆でつくった団子状のものを昼食として仕事場に持って行き、水に溶いてごはん代わりにしていること、カカオと一括りに呼んでいても地域によって味わいや風味が違うことなど、一般的にはあまり知られていないエピソードが次々と語られ、参加者たちはメモを取りながら熱心に耳を傾けていた。

後半はワークショップ。若い世代らしい新鮮なアイデアが飛び交う

ホワイトボードにアイデアを書いている参加者

発表用のホワイトボードにアイデアをまとめていく。こちらのチーム名はカカオを逆から読んだ“オカカ”チーム。

後半はいよいよワークショップがスタート。5つのグループにわかれて「カカオの新しい栄養や食べ方の価値や可能性を持続的に広げていくには?」をテーマにさまざまなアイデア出しやディスカッションが行われた。グループには参加者と近い世代の明治社員のみなさんも加わり、限られた時間の中、付箋やホワイトボードに次々と、カカオの可能性のかけらが綴られていく。

いよいよ発表! 生産者と消費者をつなげるためのアイデアが多く生まれた

発表をする参加者の女性

交換日記というアイデアが印象的だった“ガルボ”チームの発表の様子。

最後はチームごとのプレゼンタイム。実家が農家というメンバーの意見が反映されたアイデアや、生産者と消費者をつなげるためにSNSのハッシュタグで交換日記をするというアイデアなど、柔軟な発想から生まれた案が次々と発表されていった。

サプライズゲストとしてアーティストの石井竜也さんが登場!

石井竜也さんがお話ししている写真

Photo by 明治

明治の方々の熱い想いや情熱に感動して、できるだけ早い段階のデモを聞いてもらうことにしたという石井さん。曲づくりだけでなく、カカオをテーマにしたアート作品も制作され、イベントでは作品も披露された。

全グループの発表が終わり、ホッとした雰囲気の中、イベントのラストを飾るサプライズゲストとしてアーティストの石井竜也さんが登場! アーティスト活動以外に、故郷の北茨城や首里城の復興支援などの社会課題解決に積極的に携わっている石井さん。明治のカカオに対する姿勢や取り組みに共感し、「ひらけ、カカオ。」の応援ソングを作詞作曲したという。応援ソングの制作裏話のほか、カカオをテーマにしたアート作品も紹介。石井さんからの「失敗を恐れないでほしい」というメッセージに深く頷く参加者たちも。

イベントの様子を描いたグラフィックレコーディングも

グラフィックレコーディングの画像

Photo by 明治

第一部の内容や各チームのすてきなアイデアなど、イベント全体の内容が盛り込まれたグラフィックレコーディング。イベントの楽しい様子が生き生きと伝わってくる。

今回の「カカオ、ひらく。LAB」では、全編を通してイラストレーターによるグラフィックレコーディングを実施。イベント終盤には、イベントの様子や各チームのプレゼン内容が描かれた作品がスクリーンに映し出された。各チームが考えたカカオの可能性のかけらが視覚化されることで、どのチームからも「生産者とともに未来を拓く」という共通のアイデアが浮かび上がってきた。

参加者の声をいくつかピックアップ

参加者の方々の中から4名に、「カカオ、ひらく。LAB」の感想を聞いてみた。

「カカオの新しい使い道について、他の大学などの人と話す機会はふだんなかなかないので、新しい価値観や新しい案を共有できてとても充実した時間でした。他のチームの発表を聞きながら、自分たちが思い付かなかったような案も出ていて、勉強になりました」(川添さん)

「発表全体を通して感じたのは、生産者と消費者のつながりをすごく大切にしている発表が多いなということです。“顔が見える”だったり“コミュニケーションを取ること”だったり。生産者の方にもきちんと対価を与えたいという想いは、みんなが大事にしているトピックなんだなと感じました」(大江さん)

「イベントの中ではワークショップがいちばん魅力的でした。カカオはいま、ほとんど豆の部分しか使われていなくて、90%以上の部分が廃棄だったり肥料に使われるくらいしか使い道がないということで、それに対してみんなでいろんなアイデアを考えていけたところがよかったです」(小出さん)

「グループのなかに農家の娘さんがいらっしゃったので、“私たちがふだん食べているものが、そういった想いでつくられているんだ”という、生産者の方側の視点を知ることができました。これからはより意識して食材に向き合うことができるかなと思います」(平松さん)

「カカオ、ひらく。LAB」を開催してみて感じたこと

お話中の木原さんのポートレート

「チームのなかに入っていた明治メンバーも、おそらくいろんな意見を聴く姿勢でワークショップに参加してくれたから、さまざまな意見が出たんだろうなと思います」

イベント終了後、今回登壇された明治 カカオマーケティング部の木原さんにイベントの感想を伺った。

「われわれ明治という会社は歴史も古く、毎日買っていただいている商品や、歴史と伝統が長い商品も多いのですが、そのぶん新しいことに対して少し腰が重い部分もあったのではと思っています。また、ロングセラー商品になればなるほど若い世代のみなさんへの認知が広まりづらい、というところも課題として持っていました。そういった背景もあり、若い世代の方々といろいろと意見交換をしながら、われわれの次の100年を目指すような取り組みを一緒に考えたいなと思って、今回のイベントを開催させてもらいました。

今回のイベントを通してたくさんの意見をいただきましたが、『サステナビリティな観点を重視して商品を買ったり消費をする、というのではなく、自分たちの生活のなかに当たり前にサステナビリティな取り組みが行われている商品があり、それを消費できるといいな』というお話は本当にその通りだなと思っています。

また、“つながりたい”ということに対して、いくつかのアプローチをいただいたと思っています。これはSNSでのコミュニケーションが日常にある若い世代にとって当たり前の感覚なのかもしれませんね。石井竜也さんもおっしゃっていましたが、こんなに便利になっているいまの時代でも、つながることができないという現実があるんだなということに改めて気づきました。それは地理的な遠さとか相手側のインフラ設備の問題だったり。

そういった中で出てきたアイデアが“交換日記”という、デジタルとアナログが融合した案で、すごく新しいなあ、逆にこういったアプローチがいまの若い世代には届いやすいのかな、と、いろんな気づきをもらいました。

きちんと前に進んでいるということをみなさまの目で見ていただき、どんな小さな一歩でも進度があることをオープンにしていくことが大事だと思っているので、規模の大小はわかりませんが、なんらかの形で「カカオ、ひらく。LAB」を継続して、第2回、第3回と続けていきたいと考えております」

カカオに関わる人みんなの幸せのために 2006年から続けてきた明治のアクション

木になるカカオ豆を見て微笑む少年

Photo by 明治

「メイジ・カカオ・サポート」では実際に研究員が産地に足を運び、現地に数ヶ月滞在する。こういったサポートを続けることは実際簡単なことではないが、明治はこのサポートを中断することなく15年間続けることによって、質のよいカカオ豆を確保できるようになったという。

2015年にSDGsが採択されたが、明治では2006年よりサステナビリティに取り組んできた。元々カカオ豆の生産地域や農家はさまざまな課題を抱えている。児童労働や強制労働、森林破壊、栽培技術の周知不足など、多くの問題が重なり合いカカオの持続可能性が危ぶまれているという背景がある。

明治が16年前から続けている「メイジ・カカオ・サポート」とは

カカオ豆を半分に割った様子

Photo by 明治

収穫したばかりのカカオ豆。カカオ産地での発酵や乾燥作業を経てからカカオ豆を輸入するため、カカオ農家による作業が味わいを左右するという。

明治は2005年にカカオ基礎研究グループを発足し、メンバーをカカオ豆の産地国へ派遣。カカオ農家のさまざまな問題を目の当たりにする中で、「チョコレートの原料となるカカオの持続的な生産には、農家の方たちが抱える課題を一緒に解決することが必要」と考え、2006年に「メイジ・カカオ・サポート」という、独自のカカオ農家支援活動プロジェクトをスタートさせた。

例えばベネズエラでは苗木配布や明治の発酵技術を指導したり、ペルーでは発酵箱の寄贈や農機具バンクを設立するなど、「メイジ・カカオ・サポート」では、それぞれの産地の課題に合わせてサポートを行っている。ほかにも肥料配布や学校支援、井戸の寄贈などサポートは多岐に渡り、現在支援先は9カ国に広がっている。

産地によってサポート内容を変えていることがわかる説明図。

Photo by 明治

中南米エリアを切り取っても、産地ごとに課題はさまざま。例えばドミニカ共和国には発酵法の導入や子どもたちへの学用品寄贈、エクアドルには道具の寄贈など、その産地が必要としているサポートを提供。

「明治 ザ・チョコレート」はカカオ農家支援活動から生まれた

リニューアル後の「ザ・チョコレート」

リニューアルした「明治 ザ・チョコレート」。チョコレートは香りが命であるため、産地ごとの魅力的な香りをできる限り逃さず、できたてと同じ状態でお届けするために1枚1枚密封包装を採用。商品の魅力をきちんとユーザーに届けることで商品価値が上がり、結果的に産地への還元につながる。

「メイジ・カカオ・サポート」の取り組みにより、単一産地で安定的にカカオ豆を調達できるようになり、2016年には「明治 ザ・チョコレート」という製品が発売された。「明治 ザ・チョコレート」には農家支援を実施した地域で生産されたカカオ豆が使用されており、産地ごとの風味の違いを楽しむことができる。

「明治 ザ・チョコレート」は明治が販売する一般的な板チョコと比較すると高価格帯の商品にもかかわらず、発売から1年もたたないうちに3,000万枚以上を売り上げるヒット商品に。スタイリッシュなパッケージはSNSでも話題になった。

リニューアルした「明治 ザ・チョコレート」のパッケージ画像 link

Photo by 明治

リニューアルした「明治 ザ・チョコレート」は1パック12ピース入り。産地ごとの食べ比べを楽しむのもおすすめ。

この「明治 ザ・チョコレート」が2022年9月20日より大幅にリニューアル! ひとくちサイズの新形状に変更するなどさまざまな工夫を重ね、カカオ産地それぞれの香りや風味をより感じられるようになったという。

「メイジ・カカオ・サポート」という地道な活動をきっかけに、いままでもさまざまな取り組みを行ってきた明治。その取り組みは「ひらけ、カカオ。」プロジェクトによって、さらに大きく飛躍しようとしている。カカオの新しい食べ方の開発や「明治 ザ・チョコレート」のリニューアルによる2026年までの支援目標の設定、「カカオ、ひらく。LAB」の開催など、次々と実行される明治のサステナブルアクション。新たなカカオの可能性を拓くための明治の挑戦にこれからも注目していきたい。

写真提供/明治 撮影/岡田ナツ子 取材・執筆・編集/堂坂由香

※掲載している情報は、2022年9月29日時点のものです。

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