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オランダのハールレム市が食肉広告を禁止する。畜産業が気候変動に大きな影響を与えることから、公共の場で肉関連の広告が排除される。このような禁止令は、世界で初めてという。
今西香月
環境&美容系フリーライター
慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中
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人口16万人を擁するオランダのハールレム市は、食肉関連の広告を禁止する、世界で初となる思い切った決定を下した。これは畜産業が気候変動に与える影響を考慮したもので、ハーレム市内のバス停や避難所などすべての公共の場で、肉に関する広告表示を禁止する内容だ。
対象となるのは、スーパーマーケットで販売されている牛・豚・鶏などの肉類から、ファーストフードの肉メニューまであらゆる肉製品。ただし、持続可能な方法でつくられた食肉製品の取り扱いについては現時点で未定となっている。
今回の禁止令に対して、市議会や食肉業界のなかには「表現の自由を奪う」として反発する人もいる。しかし、食肉広告を禁止する同法案を提案したフルンリンクス党のジギー・クラゼス議員はこう語っている。
「人々が肉を食べ続けたいと思っているなら、それでいい。しかし、気候危機にあることは人々に伝えるべきで、その原因の一部となっている食肉製品の購入を推奨することはできない。この決定が全国的に取り上げられれば、それは非常に素晴らしいことだ」
この食肉広告禁止法の施行は、早ければ2024年に実施される予定。さらに、休日の飛行機やガソリン車の利用、化石燃料の使用などについても対象になるという。
近年発表された調査データによると、世界の食料生産による温室効果ガスの排出量は、地球全体で排出される量の約3分の1を占めると推定される。 さらに食肉生産で排出される温室効果ガスの量は、植物性食品の場合のおよそ2倍であることが明らかとなっている。
また、家畜の放牧のために二酸化炭素を吸収する森林が伐採され、家畜の飼料となる肥料は窒素を多く含み、大気や水質の汚染などにつながることなども指摘されている。
そのような背景から、植物性食品を支持する人々が増加しており、今回のオランダ・ハーレム市の決断もそのような動きの一環だ。
食肉広告の禁止は、人々の表現の自由を制限し、畜産農家に影響を与える可能性がある。一方で、人々が従来の肉ではなく、植物由来食品により目を向けるための有益なステップでもある。今後は世界各国で、このような動きがさらに加速していくのではないだろうか。
※参考
Dutch city becomes world’s first to ban meat adverts in public|Guardian
A Dutch city has become the world's first to ban ads for meat in public places over climate concerns|Insider
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