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出生率は経済的・社会的に大きな影響があり、毎年注目されるファクターだ。近年の日本では出生率低下が問題視されているが、先進国をはじめとした世界ではどうなのだろうか。2022年上半期の日本の出産率・合計特殊出産率や世界の出生率について考えてみよう。
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社会保障の多くは税金を財源にしている。その税金を納める大きな柱になるのは労働人口だ。出生率が減少し続ければ、いずれ労働人口も現在以上に減少する。納められる税金も大幅な減少を覚悟しなくてはならないだろう。そのいっぽうでは高齢者が増え、いわゆる少子高齢化の状況がいま以上に深刻度を増す。
前述の通り、2045年には15歳未満の割合が10.7%になる予想だ。いっぽう、65歳以上の割合は36.8%になると試算されている。社会保障が必要な65歳以上に対し、それを支える年代があまりにも少ない。
資産通りの少子高齢化が進めば、税金で支えられている社会保障の基盤が大きく揺らぐ。高齢者や生活が困難な人々を支える制度に大きな支障が出てしまいかねない。そのような状況では厳しい増税の可能性も否定できず、労働人口のなかにも苦しい生活を強いられる人が増加するかもしれない。
都道府県ごとに出生率を見れば、地域ごとに差があることがわかる。都市部への人口の移動をあわせて考えると、いずれ高齢者のみで構成された地域が増加する可能性がある。限界集落化も充分にあり得る事態だ。
日本では2019年に全国の集落の今後に関する調査をおこなった。その結果、今後10年以内に消滅する可能性がある集落は454集落(0.7%)、いずれ消滅する可能性がある集落は2,743集落(4.3%)と報告されている。(※7)
消滅に直面していないとしても、地域人口の減少はインフラや社会サービスの維持が困難になりかねない。各地への対策が望まれる問題だ。
出生率の低下のなかで生まれた子どもには一人っ子も珍しくない。将来的に親の介護が必要になったとき、発生する負担をひとりで背負うことになる。老人福祉関連の社会保障の充実があればまだ救われるが、少子高齢化による社会基盤の脆弱化が懸念される現状、困難を感じる可能性は払拭できないだろう。
日本の合計特殊出生率は2024年までに1.33まで下がると言われていたが、その数値は2020年に現実のものとなってしまった。2060年には1.35まで上がると予想されているが、ドイツやフランスのような上昇傾向とはほど遠い。
現在、日本政府は少子化対策を打ち出している。実際には1994年のエンゼルプラン発足、1999年からの少子化対策推進基本方針をはじめとした政策など長年の対応を続けているが、その成果はかんばしいとは言いがたい。
しかし、時代を経て少子高齢化問題が深刻度を増すにしたがい、国内での「働き方改革」をはじめとした育児環境の構築や、子ども・子育て支援法の充実などが続けられている。
2020年12月には「新子育て安心プラン」の公表があり、2021年2月には「子ども・子育て支援法および児童手当法の一部を改正する法律案」が国会に提出された。
出生率の増加の政策は、ドイツやフランスのように成功した例もある。日本も見習うべきエレメントは積極的に取り入れ、出生率の減少に歯止めをかけたいところだ。
※1 人口動態統計月報(概数)(7ページ目)|厚生労働省
※2 Fertility rate, total (births per woman)|THE WORLD BANK
※3 統計表・グラフ表示|e-Stat
※4 第3表-2 人口動態総覧(率),都道府県(特別区-指定都市再掲)(1ページ目)|厚生労働省
※5 第3章 人口・経済・地域社会をめぐる現状と課題|内閣府
※6 Fertility rates|OECD
※7 過疎地域における 集落の現状把握調査(中間報告)(12ページ目)|総務省
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