10月17日の「貧困撲滅のための国際デー」とは すべての人々の権利を尊重する世界へ向けて

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10月17日は貧困撲滅のための国際デーである。世界には貧困と飢餓の中で生活を強いられる人々が決して少なくはない。彼らの人権が普遍的に尊重される世界を目指し、我々ができることは何かを考えるきっかけの日にしよう。

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2022.08.25
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「貧困撲滅のための国際デー」とは

貧困撲滅のための国際デー(International Day for the Eradication of Poverty)とは、1992年12月22日の国連総会において制定された国際デーである。貧困や飢餓、暴力などに苦しむ人々の人権が強く意識されるべきこの日は、まもなく制定30年を迎えようとしている。

制定のきっかけは1987年までさかのぼる。1987年10月17日、フランス・パリのシャイヨ宮に世界各国から10万人もの人々がつどった。貧困や飢餓、不平等の是正をうったえるためであった。

この大規模な集会は人道と人権への意識を高めた。また、多数の国家においてすでに10月17日を「極貧に打ち克つための世界デー」と制定していた事実もあり、国連はこの日を「貧困撲滅のための国際デー」と定めたのである。

貧困撲滅のための国際デーでおこなわれた過去の取り組み

貧困撲滅のための国際デーが制定され、世界ではさまざまな取り組みがおこなわれるようになった。過去の一部の事例を紹介する。

「スタンド・アップ」 ギネス記録への挑戦で啓発

2006年10月15日と16日、「Stand Up Against Poverty(以下スタンド・アップ)」が開催された。世界中の人々が一斉に「立ち上がる」キャンペーンである。

立ち上がった人数をカウントしてギネス記録をつくり、世界へ向けて貧困撲滅とミレニアム開発目標(MDGs)の達成をアピールした。日本でも当時活動していたNPO団体が主導となり、ギネス記録に挑戦している。

国や人種、民族などの違いを超えておこなわれたこのキャンペーンは、当時の国連事務総長コフィー・アナン氏も強い関心と支持を寄せた。アナン氏はキャンペーンを通して「ミレニアム開発の重要性と目標達成を世界中の人々がサポートしている」との声明を出し、多くの層からキャンペーンへの注目を集めるにいたった。(※1)

フェアトレードの意義を憲章として発信

2018年9月25日、WFTO(世界フェアトレード機関)とFI(フェアトレード・インターナショナル)は「国際フェアトレード憲章」を発表した。貧困や不平等、環境破壊を是正し、公正で持続可能な国際貿易を実現するための価値観や活動内容が記載されている。(※2)

同年10月16日、日本ではこの国際フェアトレード憲章の和訳が発表された。一般社団法人日本フェアトレード・フォーラムとフェアトレード専門ブランドのピープルツリーが共同で手がけたものである。(※3)

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世界が抱える貧困問題

世界は驚くほど多くの人々が貧困問題に直面している。その問題は子どもにも大きな影響がおよんでおり、深刻に受け止められるべきだ。3つの事例を見てみよう。

3億5,600万人の子どもが極度の貧困状態に

2020年10月、ユニセフと世界銀行グループの調査によると、世界で3億5,600万人の子どもが極度の貧困状態の中で生活している状況が明らかになった。世界の子どもの6人に1人が1日1.90米ドル未満(1ドル135円のレートで256円)で生活している状況だ。(※4)

ことにサハラ以南のアフリカでは増加がいちじるしい。2017年には2億3,400万人が極度の貧困状態にあるとされ、2013年の1億7,000万人からじつに6,400万人もの増加が認められている。

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パンデミックが引き起こした新たな貧困問題

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、世界の多くの地域で新たな生活様式が生まれたことは記憶に新しい。しかしそれは深刻な景気後退を招く流れでもあった。

2020年、世界銀行は突然の景気後退で極度の貧困層が新たに生み出されるとの予測を発表した。その数は最大1億5000万人とされた。また、従来の貧困は農村地帯に見られるケースが多かったが、新たに誕生する貧困層は都市部にもおよぶとの見方もある。

戦争と貧困が招く飢餓

ロシアのウクライナ侵攻は貧困と飢餓を招いている。侵略行為が原因で輸送状況が厳しくなり、中東やアフリカ方面への穀物輸出が滞る事態に陥ったのだ。

すぐにアメリカ産やカナダ産に切り替えることは難しい。輸送コストや元価格がウクライナ産よりも高いのだ。ことに財政的に厳しく、比較的安価なウクライナ産の小麦依存度が高い地域では飢餓に直結する深刻な問題である。

該当地域では前例のない貧困と飢餓の波が起こり始めているとの報道もある。早急な解決が望まれる事例だ。

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貧困撲滅へ向けて私たちにできること

世界には実際に貧困や飢餓の中で生きている人々がいる。子どもの6人に1人は極度の貧困状態にあるとされ、喫緊の対策と援助が必要だ。社会保障の拡大や支援プログラムの充実が望まれる。

貧困と飢餓は人権をいちじるしく侵害する。その解消はSDGsの大きなゴールでもある。誰ひとり取り残されない社会の実現を意識し、貧困撲滅のための国際デーを機に、改めて私たちにできることを考えてみよう。

※掲載している情報は、2022年8月25日時点のものです。

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