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2022年夏、世界中で記録的な猛暑が続いている。各地で40℃を超える気温を観測。異例の猛暑にともない、山火事や急速な氷河の溶け出しによる土砂災害なども起こっている。気候変動との関連性や、日本をはじめ猛暑に見舞われている世界の国々の状況を紹介する。
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知識をもって体験することで地球を変える|ELEMINIST Followersのビーチクリーンレポート
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気象庁は、最高気温が30℃以上の日を「真夏日」、35℃以上を「猛暑日」と定義している。2022年夏、日本では6月下旬から猛暑日が続いているが、40℃を超える高温を観測する地域が世界各国で続出している。
国立環境研究所のレポートによると、2018年の記録的な猛暑について「人為的な温室効果ガスの排出にともなう地球温暖化がなければ、これほどの猛暑にはならなかった」という。
現在、100年で0.7℃の割合で世界の平均気温が上昇している。平均気温が2度上がると、日本国内では猛暑日の年間発生回数は1.8倍になると予測されている。温暖化による平均気温の上昇は、異例の猛暑をもたらし、自然災害や農作物の生産量減少など人々の生活に影響を与えている。
本記事では、2022年8月初旬までで猛暑に見舞われた世界の国々を紹介しよう。
ヨーロッパ一帯が猛烈な熱波に襲われ、各地で記録的な猛暑が続いている。フランスでは冷房中の建物のドアを閉め、街の照明が制限されるなど、エネルギー制限を行う国も相次いでいる。
7月中旬、イギリスの気温は40℃を超えた。イギリスで40℃を超えるのは観測史上初めて。イギリス最大の空港のひとつ、ロンドン・ルートン空港では、高温により滑走路の一部が隆起し、フライトを一時的に停止せざるを得ない状況に。熱により鉄道の線路にもゆがみが見られ、一部の運行が休止された。今後も41℃に達する危険があるという。
6月以降スペインでは、一部地域で平均気温より10℃も高い異例の暑さが続いている。7月には南部で47.5℃を記録。各地で40℃を超える日が続いており、30カ所以上で山火事が発生しているという。なかでも東部では山火事が住宅地近くまで広がり、住民は避難を余儀なくされた。猛暑の影響で死者も出ており、状況は深刻だ。
スペイン政府は2022年8月8日から2023年11月まで、公共の建物の冷房を27℃以下に設定することを禁止している。
ポルトガル中部のロウザンで、7月中旬、観測史上最高の46.3℃に達し、首都リスボンでも41.4℃を観測。乾燥と高い気温により各地で山火事が相次ぎ、1,500人を超える消防士が消火活動に奮闘している。これらの山火事により、2022年に入ってから約300平方kmが焼失。これは、約100人が死亡した2017年夏の山火事以来、ポルトガルでは最悪の被害だという。
イタリア・ローマでは6月末に、40.7度と観測史上最高気温タイを記録。同時期の平均気温を10℃近く上回る日が続いていた。さらに干ばつも深刻。国内最長のポー川は大幅に水位が下がり、一部は干上がってしまうほど。この深刻な状況により、政府はポー川の周辺地域一帯に非常事態宣言を発令した。また欧州の他国と同様、イタリアでも山火事が多数発生している。
ハンガリーでは、7月下旬に最高レベルの猛暑警報が発令された。高い気温と乾燥により干ばつが起こり、農作物へ大きな被害がおよんでいる。ハンガリー農業会議所の推計によると、小麦やとうもろこしの生産量が20%以上も減少する可能性があるという。この被害により、食糧危機の加速も懸念されている。
ロシアによる侵攻が続くウクライナも猛暑に見舞われている。欧州に襲来した熱波が影響しているという。同国でも、猛暑と乾燥により火災が発生しやすい状態が続いている。州や行政区の半数以上の地域で、高温による火災警報も発令された。近隣諸国で猛暑による森林火災が相次いでいることもあり、いつ起きてもおかしくないという不安を抱える人も多いはずだ。
7月、中国全域で猛暑日が続いた。国内にある71カ所の気象観測所で、過去最高気温を記録。河北省と雲南省の一部地域では、気温が44℃にも達したという。さらに、国境付近の山岳地帯では氷河の溶けるスペースが加速し、土砂崩れや鉄砲水などの自然災害も起こっている。中国の平均気温は、他国よりも早いペースで上昇している。
7月、首都ワシントンや大都市ニューヨークのある北東部から中南部を中心に猛暑が続いている。約9,000万人以上を対象に、猛暑警報も発令。最高気温が40℃を超える日も見られた。冷房の使用が増えたことで、7月24日には、ボストンの約7,500軒もの一部地域で停電が発生。同市は、停電防止とエアコンのない家庭のため、市民プールや図書館、冷房センターを開放し、住民に利用を呼びかけている。
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6月下旬から猛暑日が続く日本。全国12カ所で年間の最高気温を超える気温が観測された。7月1日には、埼玉県の熊谷市をはじめ6カ所で40℃を超え、東京都は8月3日に2022年で13日目の猛暑日を数え、過去最多記録に並んだ。
8月以降は、とくに日本海側の地域で気温が急上昇している。強い日差しと、山の上から熱く乾いた風が吹き下りる「フェーン現象」によるものだという。
連日、多数の地域で熱中症警戒アラートも発令。夜間も25℃以上の気温が続く熱帯夜も各地で見られている。室内でも気づかないうちに熱中症になっていることもある。こまめに水分補給し、夜間はエアコンのタイマー機能や扇風機の併用など電力消費を抑える工夫をとりいれながら、室温を調整しよう。
猛暑に見舞われている国を見ると、一部の国に限った話ではなく、世界中に及んでいることがわかるだろう。もはや地球全体が熱波に襲われていると言っても過言ではないかもしれない。そしてこの気候変動や異常気象を引き起こしているのは、まぎれもなく私たち自身だ。
猛暑をはじめとした異常気象・気候変動を少しでも食い止めるため、小さくても私たちにできることはたくさんある。
プラスチックなどのごみを減らしリユース・リサイクルしたり、電力会社を見直したり。インフラや空調設備が整っていない国での対策や人々にも想いを馳せ、フェアトレードなものづくりの商品を手に取ることも、小さくとも大きな影響としてつながっている。またこの猛暑を耐える動植物を支えるアクションはないか考え、森林資源を大切に巡らせていくために、多くのものを使い捨てず、使いすぎず、無駄にせず過ごす。
こうしたすべてのアクションがきっと翌年の夏につながっていく。今から出来ることを、はじめていこう。
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