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毎年8月19日は、国際デーのひとつである「世界人道デー」。制定の経緯や目的を解説する。2022年現在、世界は多くの人道問題を抱えている。こうした問題にあらためて注目し、いま私たちにできることは何か考えてみよう。
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世界人道デー(World Humanitarian Day)は、2003年の悲劇的なできごとをきっかけにつくられた国際デーである。国連総会によって、2008年に制定された。
世界人道デーの目的は、紛争や災害によって困難な生活を強いられている人々、そしてそんな人々を支援する人道支援関係者の双方に思いを寄せ、支援の輪を広げることだ。毎年8月19日には、世界各地で支援・啓もうを目的として、さまざまなイベントが催される。
世界人道デーが制定されるきっかけになったのは、2003年8月19日に発生したイラク・バグダッドの国連事務所本部爆撃事件である。イラクで人道支援を行っていた事務所本部が攻撃を受け22名が死亡、100名以上が負傷。その死亡者のなかには、当時の国連事務総長特別代表を務めていた、セルジオ・ビエイラ・デメロ氏も含まれていた。(※1)
世界各地で発生する紛争や災害の影響で、人道支援を必要とする人々の数は増えている。人道支援を行うエイド・ワーカーの必要性も増しているが、その活動は常に危険と隣り合わせだ。支援を必要とする人を1人でも少なくするため、またエイド・ワーカーたちが少しでも安全な環境で活動できるようにするために世界人道デーが果たす役割は、極めて大きい。
2021年の世界人道デーは、自然災害や気候変動がテーマとして扱われた。合言葉は「#TheHumanRace」。スポーツ界の著名人やそのほかの国連機関、非政府機関、気候変動活動家などと協力のもと、気候変動に抗うためのキャンペーンが実施された。参加者は世界人道デーの前後の期間、合計で100分間のアクティビティを実施。気候危機に対して、抗う姿勢を示した。
また、2017年に選定されたキーワードは「#NotATarget (標的にするな)」である。本来であれば、紛争地域においても、一般市民や人道支援要員の安全は確保されなければならない。国際法には、両者が保護されるルールが明確に定められているからだ。
しかし現実には、学校や病院といった施設がターゲットにされるケースも多い。2017年の世界人道デーには、こうした事態を防ぐためのキャンペーンが世界各地で実施された。
日本においては、神戸にてイベントを開催。講演会や討論会が開催されるとともに、神戸ポートタワーや錨山、モザイク大観覧車にフラワーロード、明石海峡大橋など、神戸を代表する人気スポットが“国連ブルー”にライトアップされた。(※2)
2022年の世界人道デーが間近に迫るいま、世界がどのような人道問題を抱えているのかあらためて注目してみよう。世界的にも注目度の高い、3つの人道問題を取り上げる。
2022年2月、ロシアがウクライナへの侵攻を開始したことで、発生したのがウクライナ危機である。2022年6月時点で、祖国を離れ、難民となったウクライナ国民は700万人を超えた。
ウクライナ国内では、市街地や民間施設への攻撃が激化。また安全な移動ルートが確保されていないため、被害地域から脱出できないまま、危険と隣り合わせの生活を送る国民も多い。とくに子どもや女性、高齢者に障がい者など、弱い立場に置かれた人々への人道支援が急務となっている。
ウクライナ危機に対して、いま我々にできることや求められているアクションは以下の記事を参考にしてみてほしい。
2022年現在、ウクライナ危機以外にも、世界が抱える人道問題は多い。ウクライナ危機や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の陰に隠れ、報道されない問題は「サイレントクライシス」と呼ばれる。エチオピアやケニア、ソマリアで発生している大規模な干ばつ被害も、その一つだ。
この地域ではここ数年、雨季に十分な水を確保できなかったため、干ばつ被害が拡大。作物が壊滅的な被害を受け、1,300万人以上が深刻な飢餓問題に直面している。餓死被害や紛争リスクを低減させるためにも、早急な支援が求められている。
2021年8月に、武装勢力・タリバンによる政権交代という歴史的な転換期を迎えたアフガニスタン。2022年現在も国内の状況は極めて不安定である。情勢悪化により、国内の経済と医療は崩壊の危機に陥っている。今後、人口の半数以上が食糧危機に直面する恐れがあるとされているのだ。
また安定しない状況のなか、子どもたちの保護や権利にも重大なリスクが迫っている。児童労働や児童婚を強いられる子どもの数が増えると予測されており、こちらも早急な支援が必要だ。
世界人道デーを前に、いま私たちに何ができるのか、あらためて考えてみよう。世界が抱える人道問題に興味・関心を寄せ、注目し続けることも、状況を変えるための重要な一歩である。国際社会が無関心にならないことは、何よりも重要な支援と言えるだろう。
また国連UNHCR協会や日本ユニセフ協会では、寄付を募っている。継続的な支援についても、ぜひ一度検討してみてほしい。
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