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カナダ政府が、有害でリサイクルが難しい使い捨てプラスチックの製造・販売・輸入の禁止を発表した。2022年度末までに、レジ袋、カトラリー、食品容器、ストローといったアイテムが禁止される。
今西香月
環境&美容系フリーライター
慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中
利便性の良さで、私たちの生活に欠かせないプラスチック。しかし、周知の通り、プラスチックは自然分解されないうえ、焼却時に発生する温室効果ガス、さらに海洋汚染や生態系への影響が問題視されている。
そのような背景を受けて、カナダは環境汚染、気候変動と向き合う抜本的な取り組みとして、2022年末までに使い捨てプラスチックの製造と輸入を禁止する。医療用製品などの一部の例外を除いて、レジ袋やカトラリー、食品容器、ストローといったリサイクルが難しいアイテムが対象となる。
カナダ政府の統計によると、同国では毎年最大150億枚のレジ袋が使用されている。ストローに至っては、毎日約1,600万本が使用されており、カナダの海岸線で見つかるプラスチックごみの大半はこのような使い捨てプラスチックで占められているという。
政府は企業に対して、既存の在庫を使いきるまでの猶予期間を設け、対象となるプラスチック製品の販売禁止は2023年12月からとなる。また、世界のプラスチック汚染を防ぐために、2025年までに輸出を禁止する方針だ。
カナダのジャスティン・トルドー首相は、2019年にリサイクルが困難なプラスチックを段階的に廃止することを約束しており、今回の動きについて、気候変動への取り組みを後押しするものとして歓迎している。
「この禁止措置により、今後10年間で推定130万t以上のプラスチック廃棄物と2万2,000tを超えるプラスチック汚染を削減できる。これは、ごみ袋100万個分に相当する」と声明を発表している。
また、スティーブン・ギルボー環境・気候変動大臣も「今回の新しい規制によって、プラスチック汚染を減らし、私たちのコミュニティや愛する場所をきれいに維持するための歴史的な一歩を踏み出した」と述べている。
プラごみ削減に向けてカナダは大きく前進したが、環境保護団体の代表を務めるサラ・キング氏は「まだスタートラインに立っていない」と指摘。「カナダ政府は禁止リストを拡大し、プラスチック生産全体を削減することで、さらに動きを加速させる必要がある」とさらなる改善を訴える。
環境慈善団体シエラクラブカナダも、プラスチック汚染の流れを食い止めるため、迅速な行動をとるよう政府へ要求。 世論の圧力が高まっているとも述べ、対象製品に飲料用プラスチックカップ、タバコのフィルターなども含めるよう提案したという。
まだ課題は多いが、各国でプラスチック規制が進むなか、使い捨て製品の製造と輸入を国として禁止した今回の動きは、大きな意味を持つだろう。持続可能な社会の実現に向けて、経済成長と環境保全を両立させる、世界レベルでの協調やより厳格で効力のある政策対応が求められている。
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