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ヨーロッパ、インド、パキスタンなどで、40℃を超える厳しい暑さに見舞われた。森林火災や干ばつも懸念されている。フィリピンやオーストラリアでも、季節外れの自然災害が発生。世界各地で異例の事態が起こっている。2022年4月から6月にかけて起きた、気候変動による被害を紹介する。
神本萌 |Moe Kamimoto
フリーランスライター
大学時代に南アジア文化を学んだことをきっかけに、環境や人権の問題に関心を持つ。それ以降、より自分と地球にやさしい暮らしを目指して勉強中。趣味は写真。
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6月中旬、ヨーロッパは例年よりも早く猛暑に見舞われた。なかでも、スペインとフランスの一部地域では、同時期の平均気温を10℃も上回った。スペインでは、連日40℃を超えるという異例の事態。フランス気象庁ではと、1947年以降もっとも早く猛暑日を迎えたと発表した。
ヨーロッパ西部では、しばらく目立った降雨の予想がなく、深刻な干ばつが起こる可能性もあるという。これから本格的な夏を迎えるため、水不足も懸念されている。
インドとパキスタンではさらに一足早く、4月下旬に猛暑に見舞われた。インド気象局は、一部の地域で最高気温が46℃に達したと発表。パキスタンでも同様の高い気温が続き、日中は平年より5℃から8℃ほど高くなると予想された。
山岳地帯では雪どけが急速に進んでおり、氷河湖の洪水や鉄砲水が発生する可能性も指摘されている。同地域は、モンスーン時期前の5月に猛暑となることが多い。しかし、以前よりも気温が高く、かつ頻度も増え、時期も早まっているという。
5月中旬、米国ニューメキシコ州で2つの大規模な森林火災が発生した。これらの火災は同州内の歴史上、もっとも大規模な火災だという。この火災により、あわせて29万エーカー(約1173平方km)もの森林が焼失した。
原因は、異常な乾燥と強風。広範囲に火がまわり、1ヶ月以上も燃え続けている。米国の干ばつモニターによると、同州の約半分の地域が最高レベルの干ばつに見舞われているという。森林火災だけでなく、水不足にも対応しなければならない状況だ。
フィリピンでは4月上旬、季節外れの熱帯性低気圧が発生した。熱帯性低気圧「メギ」の豪雨で地滑りや洪水に巻き込まれ、約25名が死亡。学校や道路、家屋も水没し、多くの人に影響がおよんだ。
フィリピンで熱帯低気圧はよく見られるが、一般的には7月から11月までの雨季に発生する。乾季に大規模な台風が発生するのは、極めて珍しいという。
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オーストラリアでは5月、複数の地域で豪雨と洪水が発生した。3月にも洪水が起こったクイーンズランド州では、とくに被害も大きく死者もでた。この被害は農家にもおよび、同国の一部地域では野菜や果物の価格が高騰。レタスが1個12ドル(約1,100円)など、通常の2倍から4倍の価格で販売されているものもある。
この季節外れの豪雨は、ラニーニャ現象が原因とみられる。オーストラリアでは2020年と2021年に2年連続でラニーニャ現象が発生しており、これに続いて2022年も3年連続で起きることは稀だという。
各地で例年とは異なる自然現象が起こり、私たちの生活にも影響をおよぼしている。事態がさらに深刻化する前に、環境負荷を減らすためにできることを少しずつはじめていこう。
※掲載写真はすべてイメージです。
※参考
‘Surprise’ early heatwave in Europe, harbinger of things to come|United Nations
Extreme heat impacting millions across India and Pakistan|United Nations
Black Fire becomes New Mexico's 2nd largest fire in the state's history|CNN
At least 25 dead in landslides, floods after tropical storm Megi hits Philippines|CNN News
Queensland floods: rain easing but major flood warnings remain|The Guardians
La Niña has ended but there’s a 50-50 chance another will form by the Australian summer|The Guardians
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