靴底の93%は植物性 「土に還る」生分解性スニーカーをNZスタートアップが開発

ニュージーランドの「Orba」、生分解性スニーカーを開発

Photo by Orba

ニュージーランド発のスタートアップ「Orba(オルバ)」が、生分解性エコスニーカーを開発した。耐用年数が過ぎると完全に分解され、ごみや毒素で土壌を汚染しないサーキュラー型に設計されている。

今西香月

環境&美容系フリーライター

慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中

2022.03.30
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ニュージーランドのOrbaが発表したエコスニーカー

ニュージーランドの「Orba」が生分解性スニーカーを開発

Photo by Orba

世界では毎年、何十億足もの廃棄された靴が埋め立てられている。市販のシューズの多くは、靴底からアッパーまでプラスチックや合成繊維が使用され、完全に分解されるまで40年〜1,000年近くかかり、その過程で毒素や二酸化炭素を排出する可能性が高い。

こうした現状に対処すべく、ニュージーランドのスタートアップ企業「Orba(オルバ)」は、生分解性のスニーカーを開発。使用後に完全に分解されるエコシューズ「Ghost(ゴースト)」を発表した。販売価格は、メンズ・レディスとも149.50NZD(約12,500円)。

各パーツごとに、使用している素材や特徴を簡単に紹介しよう。

ソール(靴底)

生分解性エコスニーカー「Ghost」

Photo by Orba

ソールには、天然ゴム、米のもみ殻、ココナッツオイルなど、93%以上の植物性素材を使用。耐久性や快適性、パフォーマンス性を高めるために約4%の蜜蝋、2%以下の天然化合物とミネラルを配合している。

合成ゴムの製造には石英に含まれるシリカが必要だが、石英の採掘に起因する環境汚染が懸念されている。そのため同社では、シリカの代替品として米のもみ殻の灰を用いている。

アッパー

生分解性エコスニーカー「Ghost」

Photo by Orba

アッパー部分には、再生農法で栽培された亜麻、ケナフ、ラミー(苧麻)を使用。吸湿性に優れ、抗バクテリア・抗菌性があることから雑菌の繁殖を防ぐ効果も期待できる。

インソール(中敷)

生分解性エコスニーカー「Ghost」

Photo by Orba

中敷に用いられるのは、コルク、ココナッツの外皮、サイザル麻といった、環境負荷の少ない再生可能な素材。生分解性でありながら、軽量で通気性や衝撃吸収力を持ち合わせている。時間の経過とともに足へのフィット感が高まり、快適さも増すという。

ビジネスの透明化で消費者との信頼を構築

サステナブルや環境配慮をうたった商品やサービスには、見せかけだけのエコである「グリーンウォッシュ」が紛れかねない。

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その点Orba(オルバ)では、環境や社会に配慮した公益性の高い企業に与えられるB Corp認証を取得。あらゆる素材の情報をわかりやすく開示している。

さらに、現在使用している水性接着剤は天然由来または植物ベースではないとし、「生分解される適切な代替素材を探している」と明言。製造過程やサプライチェーンのすべてに透明性を持たせ、消費者との信頼構築に努めている。

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同社の目標は、接着剤も含め“100%エコ認定された靴”の開発。また同時に、カーボンフットプリントなど事業活動による環境への影響についても、詳細に分析し提供していくという。

Orba(オルバ)のように生分解性の商品が次々と生まれているが、消費者はそれらがどのようにサステナブルなのか、厳しい目で確認する必要があるだろう。

ビジネス領域や業界を問わず、企業が第三者機関や科学的見地にもとづく分析を行ったり認証制度を取得したりすることは、消費者の信頼獲得の手段として今後さらに重要性が増していくのではないだろうか。

※掲載している情報は、2022年3月30日時点のものです。

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