シャネル・ロレアル・ケリングも 「カーボンインセット」に取り組む企業が増加

カーボンインセット

シャネル、ロレアル、ケリング、ネスプレッソ、アコーなど、脱炭素化に向けて自社のバリューチェーンで温室効果ガスの削減を行う「カーボンインセット」に取り組む企業が増加している。これにともない、カーボンインセットのための新たなガイドラインが発表された。

小原 ゆゆ (Yuyu Obara)

ライター / インターン

上智大学総合グローバル学部在学中。 エストニアへの渡航をきっかけに、ヨーロッパの持続可能なライフスタイルに関心を持つ。 趣味は旅行、おかし作り、映画鑑賞。

2022.03.29
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「カーボンインセット」とは 自社のバリューチェーンで温室効果ガス排出を削減

脱炭素化に向けて「カーボンインセット」に取り組む海外企業が増加している。カーボンインセットとは、脱炭素化に向けて温室効果ガスの排出量を減らすこと。

多くの企業が行っている取り組みに「カーボンオフセット」があるが、カーボンオフセットは自社とは無関係のバリューチェーンで温室効果ガスの排出量を削減する取り組みだ。

一方、カーボンインセットは自社のバリューチェーン内で、関連のある企業と連携して温室効果ガスの排出量を減らすことをいう。企業が直接関わり原材料を調達している農家などと協力し、その地域の生物多様性やエコシステムの回復などを目指す。

排出量を“埋め合わせる”カーボンオフセットの仕組み 温室効果ガス削減に向けた助け合いの取り組みとは

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シャネル、ロレアル、ネスプレッソ、ケリング、アコーなど業界大手企業が次々と長期的なカーボンインセットの取り組みを開始している。

例えば、ネスプレッソは、カーボンインセットの取り組みとして、コロンビア、エチオピア、グアテマラの小規模農家での植林を実施。同社によると、この取り組みを通じて、炭素の貯蔵だけでなく、土壌の保全や生物多様性、農家の新たな収入機会の提供につながっているという。

カーボンインセットのガイドライン発表

このような動きを受けて、上述の企業などが出資している国際組織、IPI (The International Platform for Insetting、国際インセットプラットフォーム)では、初となるカーボンインセットのガイドラインを発表した。

世界中でより多くの企業がカーボンインセットに取り組めるよう、取り組みの事例、ステークホルダーとの協力方法、ガバナンスモデルの構築、資金調達の方法などについて、推奨事項をまとめている。

また、カーボンインセットを成功させるため、外部パートナーの選び方から連携方法、パートナーとの連携を最大限に活用するための方法などについても言及。

IPIは、最終的にカーボンインセットがSBTイニシアチブ(科学的根拠に基づく目標)のように、国際的な炭素削減の枠組みとして認知されることを目指している。

企業が自社のバリューチェーン内の温室効果ガス排出量に目を意向けるカーボンインセットは、再生産可能なビジネスへとつながるのではないだろうか。カーボンインセットの広がりに今後も注目したい。

※掲載している情報は、2022年3月29日時点のものです。

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