イギリスでは、大手企業や金融機関にネットゼロ計画公表を義務づけた。これを受けて、大手コンサルティング会社のEYが、ネットゼロ戦略策定を支援する新サービス「EYカーボン」を開始。1億ポンドの投資と新たに1,300人以上の雇用を計画している。
小原 ゆゆ (Yuyu Obara)
ライター / インターン
上智大学総合グローバル学部在学中。 エストニアへの渡航をきっかけに、ヨーロッパの持続可能なライフスタイルに関心を持つ。 趣味は旅行、おかし作り、映画鑑賞。
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イギリスでは2021年11月、リシ・スーナック財務相が大手上場企業と金融機関を対象に、2023年までにネットゼロ戦略の公表を義務づけることを発表した。年々悪化する気候変動を食い止める施策として、企業に透明性と説明責任を拡大するのが目的だ。
これを受けて、コンサルティング大手のEY(アーンスト・アンド・ヤング)は、イギリスで企業のネットゼロ戦略策定を支援する「EYカーボン」を開始した。
この新サービスの立ち上げにともない、同社は1億ポンド(約153億円)の投資と、新たに1,300人以上の新規雇用計画を発表。サステナビリティ担当マネージング・パートナーとして就任したロブ・ドゥーペル氏が、サステナビリティ専門家250人とともにサービスをリードしていく。
ロブ氏は、 「イギリスの大手企業が2023年までにネットゼロ計画を公表するという義務は、大きな転換点となる」とコメントを発表。2023年の期限に向けて、二酸化炭素排出量を正確に追跡・記録することは、企業にとって現実的かつ重大な課題になると、述べている。
またEYカーボンでは、企業がネットゼロへの移行を計画、測定、実行できるように設計されたネットゼロ変換の進捗管理ツール「EYカーボン・ハブ」も発表している。
EYは、クライアント企業の環境負荷低減を支援するだけでなく、自社での取り組みも積極的に行っている。例えば、2021年にはカーボンネガティブ(温室効果ガスの吸収量が排出量より上回る状態)を実現。さらに、2025年までのネットゼロ達成に向けて動き出しているという。
また、2020年には、新たな太陽光発電所プロジェクトの建設を支援する10年間のカーボンゼロ電力購入契約(PPA)を締結。これにより、同社がイギリスで使用する電力の大半がゼロカーボンとなり、同時に再生可能エネルギーを生産できるようになった。
世界中で大企業や中小企業がネットゼロ宣言を発表するなか、国や政府が企業にこれを義務化することで、ますますこの動きに加速していくと考えられる。世界中の企業がネットゼロ計画を策定することが当たり前になる日が、近づいているのかもしれない。
※参考
EY | EY Carbon launched to support listed businesses preparing net zero plans ahead of looming 2023 deadlineConsultancy.uk | EY Carbon to recruit 1,300 people and invest £100 million
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