Photo by Notpla
100%堆肥化可能なプラスチックフリーのパッケージ「ノットプラ(Notpla)」。海藻を原料にしており、そのまま食べられる。調味料や飲み物を入れるなど、さまざまなシーンに活用されている。
染谷優衣
フリーランスライター
YouTubeのThrift Filp動画をきっかけにサステナブルに興味を持つ。最近は洋服のリメイクを勉強中。リサイクルショップで掘り出し物の古着を見つけるのが好き。
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海へ流れ着いたプラスチックごみは、波や紫外線等の影響を受け、長い年月をかけて小さなプラスチックの粒子に分解される。だが5mm以下になったマイクロプラスチックは、分解されることなく自然界に残り続ける。とはいえ、飲料や食品を紙の容器で保存するには、耐水性、耐熱性を高めなければならない。
そんな問題を解決するのが、イギリスのスタートアップによる100%堆肥化可能なパッケージ「ノットプラ(Notpla)」。ノットプラとは「Not Plastic」を短縮した造語で、その名の通り、プラスチックフリーの容器だ。
ノットプラの原料は海藻で、弾力のある透明のパッケージになっている。容量は10ml~60ml。ソースやドレッシングなどの調味料を入れるのに最適な大きさだ。使用後は野菜や果物の皮と同じように、生ごみと一緒に家庭用コンポストで処理でき、4~6週間で堆肥化できる。
ノットプラは、同社が独自で開発した機械でつくられており、これまでにもさまざまな企業の商品などに使われている。
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ノットプラはアメリカ発のケチャップブランド「ハインツ」とコラボ。テイクアウト用のケチャップを入れるパッケージとして利用されている。
Photo by ロンドンマラソンで「ノットプラ(Notpla)」がつかわれている様子
飲料用に開発された「Ooho(オウホウ)」は、パッケージを丸ごと食べられる。この特性を活かして、マラソン大会のようなスポーツイベントで利用されている。
例えば、2019年のロンドンマラソンで、給水所でドリンク入りのOoho(オウホウ)がランナーに用意された。従来のマラソン大会では、ペットボトルなどのプラスチック容器が大量に使われているが、そのようなプラスチックごみの削減につながっている。
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ノットプラの技術を利用し、完全に堆肥化できるテイクアウト用容器「ノットプラ・テイクアウェイ・ボックス(Notpla Takeaway box)」もある。
紙製の容器のほとんどは、耐油性を上げるため合成化学物質が使われており、リサイクルや堆肥化が難しい。だがノットプラでは、海藻や植物を原料として生分解性の耐油・耐水性コーティング技術を開発。プラスチックのような性能を保ちつつ、使用後は生分解できる容器の開発に成功した。
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WWFによると、これまで世界でリサイクルされたプラスチックは、わずか9%と推定されている。さらに12%は焼却されており、残りの78%は廃棄されている。
プラスチックごみを減らすためには、リサイクルも大切だが、そもそもプラスチックでできた製品を使わないことが必要だ。ノットプラのような代替品が今後さらに普及することは、世界のプラスチックごみの削減につながっていくだろう。
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