「アクアポニックス」は、魚の水槽と水耕栽培のプランターをつないで水を循環させる農法だ。その様子はまさに”小さな地球”のよう。株式会社アクポニが2020年11月にオープンさせた試験場「湘南アクポニ農場」で、代表の濱田健吾さんにアクアポニックスについて伺った。
Chiho Maezawa
Writer
東京在住。フリーランスエディター。地球にやさしく、生き物にやさしく、そして人にもやさしい暮らしを送るヒントを探して。日々、エコロジーやサステナブルにまつわるニュースに注目しています。決し…
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大きく育った野菜を収穫する濱田さん
自身の肩書を「アクアポニックスデザイナー」とする濱田さんの最終的な目標は、アクアポニックスの実施法を広めることではない。
「アクアポニックスを使って何ができるのかを一緒に考えるのが僕の仕事だと思っているので、『デザイナー』と名乗っているんです。
たとえばある会社が農業をやりたくて、アクアポニックスを活用したいという問い合わせがあっても、僕はその場で設計や見積もりをすることはありません。まずはじっくりと話を聞いて、2年後、3年後、どんなことをやりたくて、本当にそこにアクアポニックスが必要なのかをお客様と一緒にすり合わせ、お客様が「価値」を見出したところがスタートラインになります。
アクアポニックスは、水や漁業の問題だけではなく、地球上に山積する多くの環境問題について考えるきっかけも与えてくれると思うんです。食糧生産、畜産など、いまの姿を否定する訳では決してありませんが、もっと他の方法があるのではないか、とみんなが考えるきっかけにもなるんじゃないでしょうか」
アクアポニックスが教えてくれるのは「地球に存在する命の循環」の縮図。小さな生態系が積み重なって私たちが暮らす地球が生きているということを実感することで、明日からの行動が変わる。
わたしたちが、何かを食べるとき、何かを購入するとき、何かを捨てるとき。ふとそれらが、どうやってここにきて、ここからどこへ循環していくのかを一人ひとりが考えると、地球に未来は変わるのではないだろうか。
(※1)一般的な家庭用システムの場合。商業用の大規模農場では異なる手法も行われる。
(※2)2003年時点で、世界の水使用量の約70%は農業用水とされている。(https://www.maff.go.jp/j/nousin/keityo/mizu_sigen/pdf/mizusigen_j.pdf)
(※3)「Sustainable Development Goals」の略で、「持続可能な開発目標」と訳される。2015年に国連サミットで採択された、全世界をあげて取り組むべき社会課題が、17個の目標に掲げられている。
株式会社アクポニHP:https://aquaponics.co.jp/
Youtube:https://www.youtube.com/channel/UC1mLa7uuIaLMLfxFywD60Ag
撮影/實重かおり 編集/松本麻美(ELEMINIST編集部)
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