国連人口基金(UNFPA)が発表した「世界人口白書2020」によると、2020年の世界人口は約78億人となり、日本は世界人口ランキングで11位に位置した。地域ごとの人口の増減にはどのような違いがあるのか、世界各国のランキングと地域ごとの特徴をまとめた。
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北アメリカと南アメリカの両方を合わせた、アメリカ地域で人口増加率が高いのはメキシコン以南のラテンアメリカ地域だ。途上国の中では、もっとも都市化の進んだエリアで、都市化率はヨーロッパや北米と同水準にある。
2030年には人口の8割が都市居住者になると予想されている。ラテンアメリカ地域はかつて、米国に次ぐヨーロッパからの移民受け入れ地域だったが、近年は移民吸収力を失い、北アメリカへの人口流出を続ける。
伝統的な移民受け入れ国の一つであるアメリカ合衆国の人口は増えて続けているものの、過去と比べると人口増加の延びは鈍化しており2015年以降、増加率が低下している。かつて移民の中心は、ヨーロッパ出身者だったが近年はラテンアメリカや東南アジア地域からの移民が大きな割合を占める。
国内の人口の伸びをエリア別に見ると、国内移住の増加が南部の人口を押し上げているようだ。州別では、カルフォルニア州、テキサス州、フロリダ州の3州で同国の人口の4分の1以上を占める一方、ニューヨーク州やイリノイ州などで0.3〜0.6%程度の減少傾向にある。
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世界で人口がもっとも多いのは中国を擁するアジアだ。しかしこの地域では、出生率の低下が著しく、2050年の世界人口に占める割合は23.0%と大幅に低下することが見込まれている。
韓国では、1人の女性が生涯に生む子どもの数である合計特殊出生率は、2018年に初めて1を下回った。経済協力開発機構(OECD)の平均である1.65を大きく下回り、世界最低水準となったことが報じられた。
世界最多の人口と、豊富な労働力を活かして経済成長した中国。しかし、人口14億人のうち3億人近くが60歳以上で、2015年に一人っ子政策を事実上廃止しても、出生数の減少は止まらない。日本を上回るスピードで少子高齢化が進む同国では、年金財政も深刻な問題だ。
日本をはじめとする東アジア諸国の少子化には、職場復帰しにくい労働環境、重い教育費負担、住宅価格の高騰などが女性が出産をためらう原因になっているとの指摘がある。
2027年に中国を追い抜き、世界最多になると見られているのがインドだ。同国の人口は乳幼児死亡率の低下などを背景に、2050年代まで伸びつつけると予想されている。そうした中で新たな課題となっているのは、増え続ける人口を養う食料の調達や雇用の確保だ。
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ヨーロッパの出生率は1960年代に低下し始め、現在も低迷の状態が続いている。北欧諸国、イギリス、フランスの出生率は1.7〜1.9の比較的高い水準を維持しているが、スペインやイタリアなどの南欧諸国は1.1〜1.2となっている。
現在、ヨーロッパ域内の人口移動は自由化されているが、外国人不法滞在者の問題などから、EU域外からの新たな人口流入の動きには慎重だ。国内人口に占める外国人の割合は、フランス、ドイツ、イギリスなどで高くなっている。
ヨーロッパの出生率の低下や低迷の背景には、同棲、婚外子の増大、晩婚化と晩産化、離婚率の上昇といった人口動態の変化と同時に起こっている。ただし、こうした人口動態の変化も地域による差が大きい。
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オセアニア地域で先進国に分類されるオーストラリアやニュージーランドの歴史上、移民が果たした役割は大きい。これまで移民の受け入れで経済成長してきたオーストラリアだが、2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行は同国の成長に影響を与えるかもしれない。
移民は大都市に住むことが多く、2018年度の統計では移民の71%がシドニーとメルボルン、ブリスベンに移入した。海外からの移民流入が制限されている現在、シドニーとメルボルンはパンデミックの影響を大きく受けている。
ニュージーランドの人口は2013年から急激に増加し、2020年までの間に50万人以上増えた。同国の人口は2020年3月31日時点で、500万人を突破したばかり。10%以上の増加となったことになる。その原因は、海外在住のニュージーランド人が帰国した一方、海外に出る国内の居住者が減ったことと見られる。
オーストラリアやニュージーランドは長年に渡って大量の移民を受け入れてきたが、近年は産業の国際競争力強化の観点から、受け入れ対象を専門職やビジネス関連に限定するなど門戸を狭めている。途上国も含まれるオセアニア地域の高齢化率は、日本やヨーロッパが17%程度であるのに対して、12%程度と低いのが特徴だ。
世界人口は2064年に110億人に達しピークを迎えたのち、21世紀末には約88億人にまで減少するとの予測がある。平均寿命の伸びと少子化により世界人口の高齢化が進み、人口が減少する国が増えているものの、これからの50年で30億人ほどの増加を続ける見通しだ。
開発途上地域の人口増加と経済開発をどのように両立するか、人の生活に必要な資源は十分に供給できるのか、人口増加が地球環境にどのような影響を及ぼすのかは未知数である。人口の年齢構成と分布の変化は経済的な豊かさと環境や社会福祉を両立する持続可能な開発目標の達成に大きな影響を与えるだろう。
※ 参考サイト
UNFPA_PUB_2020_EN_State_of_World_Population.pdf
https://www.unfpa.org/sites/default/files/pub-pdf/UNFPA_PUB_2020_EN_State_of_World_Population.pdf
世界人口白書2020
https://tokyo.unfpa.org/ja/publications/%E4%B8%96%E7%95%8C%E4%BA%BA%E5%8F%A3%E7%99%BD%E6%9B%B82020-0%23h1
世界人口の増大が鈍化、2050年に97億人に達した後、 2100年頃に110億人で頭打ちか
https://www.unic.or.jp/news_press/info/33789/#:~:text=%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%80%816%E6%9C%8817%E6%97%A5,%E6%A6%82%E8%A6%B3%E3%81%97%E3%81%9F%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82
第1章 21世紀の人口問題(総論)(P31〜33)
https://www.jica.go.jp/jica-ri/IFIC_and_JBICI-Studies/jica-ri/publication/archives/jica/field/pdf/2003_08d.pdf
1. 開発途上国の人口動態の現状と展望(P3)
https://www.jica.go.jp/jica-ri/IFIC_and_JBICI-Studies/jica-ri/publication/archives/jica/field/pdf/200607_soc_01.pdf
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