犬猫をペットとして迎える人は、年々増えている。しかしその陰には、劣悪な繁殖や飼育放棄などの課題がある。その根本にあるものはなにか、2020年に定められた数値規制でどう変わるのか。朝日新聞の専門記者である太田匡彦さんに、犬猫について知っておきたい事柄をうかがった。
ELEMINIST Editor
エレミニスト編集部
日本をはじめ、世界中から厳選された最新のサステナブルな情報をエレミニスト独自の目線からお届けします。エシカル&ミニマルな暮らしと消費、サステナブルな生き方をガイドします。
わたしたちの買い物が未来をつくる|NOMAが「ソラルナオイル」を選ぶワケ
「いいブリーダーを見つけるのは難しいですが、犬や猫を大切にしている業者はちゃんといます。うちの猫より毛並みがいい繁殖用の猫を見ると、さすがプロだなと感心してしまいます」
劣悪な繁殖現場から犬猫の保護施設、優良ブリーダーまでさまざまな業者を取材してきた太田さん。実は、ご自身もこれまでに2匹の保護猫を引き取り、飼育しているそうだ。
これから犬猫を迎えようと考えている人が、売り手を見極めるときに意識したいポイントを教えてくれた。
もしどうしても純血種の子犬・子猫がほしいなら、ブリーダーをたずねてみるといい。いいブリーダーを見極めるには、どんな環境で育てているのか、親犬猫の状態を自分の目で見ることが一番だ。
「ネットからの情報だけで決めてはいけません。飼育状況を直接見れば、どれだけ手をかけているのかわかります。ぜひ自分の目で、これから迎え入れる犬猫の環境を確認しましょう」
逆に犬舎を見せてくれなかったり、ちょっとおかしいなと感じたりすることがあれば、注意が必要だという。
犬猫の種類は問わない人、辛い思いをした犬猫を家族に迎えたい人は、保護施設へ足を運んでみよう。ちなみに、保護施設にもたくさん純血種がいる。
保護施設でも飼育環境を見極める目が必要だ。こちらも施設の内部を見せてくれるか、その施設の犬猫が保護されれた経緯、ホームページなどでシェルターの財務状況が開示されているかをチェックしよう。
「保護犬、保護猫を迎えるときは、自分のライフスタイルと性格や健康状態が合うことも重要です。例えば高齢の飼い主と毎日長い時間過ごしていた犬は、長時間留守番をさせることで分離不安を起こすことがあります」
シェルターでは、保護団体が一定期間犬猫と過ごすことで、性格や病気、特徴を把握している。犬猫と飼い主がマッチングできる点は、ペットショップにはない良さだと太田さんは言う。
日本の生体販売における課題は、この記事で紹介したこと以外にも存在する。
法律や厳格なルールなど制度面の整備も必要だが、私たちが悪質な業者に加担しない姿勢も、もちろん求められている。
保護犬、保護猫の認知度の高まりや、2019年に改正された動物愛護法の中身を見れば、すべての犬猫が家族と幸せに暮らせる日は、着実に一歩ずつ近づいている。そのために、私達ができることをひとつずつこなしていこう。
--
太田匡彦(おおた・まさひこ)
1976年生まれ。98年、東京大学文学部卒。読売新聞東京本社を経て2001年、朝日新聞社入社。経済部記者として流通業界などの取材を担当。AERA編集部記者、文化くらし報道部を経て、特別報道部・専門記者。著書に『犬を殺すのは誰か ペット流通の闇』『「奴隷」になった犬、そして猫』(いずれも朝日新聞出版)がある。「shippo」(朝日新聞)でも記事を掲載。
イラスト/川合翔子
ELEMINIST Recommends