ネットやSNSに慣れ親しむ世代を中心に、問題視されるエコーチェンバー現象。ときに過激な行動へと走らせてしまう裏には、いったいどのような仕組み・理由があるのだろうか? エコーチェンバー現象の意味や実際に起きたトラブル事例、対策方法を解説する。
ELEMINIST Editor
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エコーチェンバー現象とは、近年SNS上で問題視される事象のひとつである。
狭い小部屋のなかで音を発すれば、部屋全体に反響し、何度も耳にすることになるだろう。それと同様に、SNS上に自らの意見を発信した際に、自身と似た考え・意見ばかりが集約され、意見の増幅・強化が起きる様子を示している。
これまでのSNSが重視してきたのは、同じ趣味・意見・関心を寄せる者同士のつながりである。それは私たち現代人に、さまざまな刺激・楽しみをもたらしてきた。
しかし、自分と同じ意見を持つ人のみで構成された世界は、私たちに想像以上の影響を与える。たとえ自身の意見が「社会的に正しくないもの」だとしても、多くの人による同調意見のなかでは、「社会的にも正しいはずだ」と思い込みやすいのだ。
ではなぜ、エコーチェンバー現象は起こるのだろうか? 要因のひとつは、各種SNS社会の発達である。とくに若年層を中心に、「SNSがない生活は考えられない」という方も多いのではないだろうか。
自分にとって興味がある情報を、人とのつながりのなかで素早く届けてくれるSNSは、非常に便利だ。しかし、非常に身近な存在だからこそ、私たちの考えに影響を及ぼす可能性も極めて高いと言えるだろう。
またもうひとつ無視できないのが、フィルターバブルである。フィルターバブルとは、アルゴリズムによってユーザーにとって有益な情報ばかりが優先された結果、その他の情報から乖離した状態に陥ってしまう状況を指す。
検索サイトで特定のキーワードを打ち込んだところ、自分にとって重要度の高い情報が、優先的に表示されるようになった経験はないだろうか?たしかかに便利な機能であり、インターネット社会における情報の取捨選択に一役買っているのかもしれない。
しかしそれは、インターネットシステムの段階で、ある種の情報が「不必要だ」と遮断されてしまう事実を示している。個々のユーザーの考え方や価値観は、より狭い空間に狭められてしまうのだ。
現代社会においてフィルターバブルは、各個人が好むと好まざるとにかかわらず、目に見えない形で存在している。インターネット上の検索行動やSNS上でのつながりのなか、自分とは異なる意見が自然と除外されてしまうことが、エコーチェンバー現象発生の仕組みとなっている。
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インターネットやSNSに慣れ親しんだ世代にとっては、「自分と同じ考えを持つ人々とのつながりを持つことの、いったいどこがいけないのか?」と思うかもしれない。
たしかに、人同士のつながりに問題があるわけではない。エコーチェンバー現象の問題点は、自分たちの意見を正しいと思い込み、それが間違っていることに気付く機会を失ってしまいかねないという部分にある。
インターネット上にも現実世界にも、自分と異なる考え方を持つ人はいくらでも存在するだろう。「自分の意見のみが正しい」と強固に信じ込めば、自分とは異なる考え方を排除する動きへとつながりかねない。異なる意見を持つもの同士の、断絶や不和が生まれる。
実際に、エコーチェンバー現象は政治分野で起こりやすいと言われている。対話や融和を阻害するリスクをはらんでいるのだ。
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