vol.1 クリエイティブな発想を生む、無駄のない暮らし

HOME, SWEET ZERO WASTE HOME!

さまざまな立場の方の、ゼロウェイストな暮らしをのぞかせてもらう連載がスタート。今回は、サステナブルなシューズブランド「offen(オッフェン)」クリエイティブディレクター・日坂さとみさんの神戸のご自宅をご紹介する。

Sonomi Takeo

フリーランスエディター&ライター

東京生まれ・東京育ちだけど自然が好き。現在は鎌倉在住。某出版社でファッション誌、ハワイ専門誌、料理雑誌などの編集を経たのちフリーランスエディター&ライターに。独立後は動画メディアサイトの…

2020.05.27
SOCIETY
学び

イベントや商品の魅力を広げる エシカルインフルエンサーマーケティング

「ゼロウェイストホーム」という言葉は聞いたことがあるだろうか。「ゼロウェイスト」とは、できる限りごみをゼロにするという考え方。「ゼロウェイストホーム」は、ごみを出さないシンプルな暮らしということだ。

これからそんな暮らしを目指すたくさんの方に向けて、サステナブルな生活をしているすてきな人のライフスタイルをお届けしていくこの連載。

第1回目は、サステナブルシューズブランド「offen(オッフェン)」で商品開発をおこなっているクリエイティブディレクター・日坂さとみさんの神戸にあるご自宅をご紹介する。

もともと両親から「ものを大切に」ということを繰り返し教えられていたという日坂さん。

「ピアノを習いたい」と言っても、「あなたがもしピアノをやめてしまったら、そのピアノは無駄になってしまうから必ずやり通しなさい」と言われるなど、節々で「無駄をしない考え方」を植え付けられてきたという。

そのおかげで、以前大手のアパレルブランドでディレクターとして働いていた頃も、什器は木材を使ってなるべく再利用していたり、海外に行けばヴィンテージショップへ行って服や生活用品を買ったりなど、日頃からリユースやリサイクルを使った暮らしができるよう、行動していたそう。

そんな日坂さんが住む、マイスイートホームをのぞいてみよう。

不揃いのデザインがむしろ美しい ガラス容器や瓶が並ぶキッチン

キッチンパントリー

旦那さんがキッチンに備え付けた手作りの棚には、さまざまな瓶やガラス容器などを陳列している。出汁や砂糖、オリーブオイル、小麦粉など常備している調味料も収納。キッチンにプラスチックはほとんどない。

まるでおしゃれなカフェの店内のように、美しく陳列された瓶やガラス容器。日坂さんが何より大切にしているのは、“使い勝手がいいこと”だ。

「料理しているときはあまり無駄な動きを増やさないようにしたいんです。毎日のように使うものだけ、手が届く場所に置いています。中身が見えやすい瓶や容器に入れて、出し入れもしやすいように。かわいくおしゃれにするのもいいけれど、料理がしやすいことが一番大事ですね」

お気に入りのガラス容器はBallのメイソンジャーのワイドマウス。ロンドンやNYの雑貨屋で購入したものだ。

瓶は海外のヴィンテージショップで手に入れたものから、食用品やキャンドルを使いきった瓶のリユースまでたくさん。

「10数年前に海外のヴィンテージショップでかわいいい瓶を見かけて、『この子たちを持って帰りたい!』と一目惚れして買ったのがきっかけでした。瓶なんて、持って帰るにはかなり重いじゃないですか。でも、ついつい3つも買っちゃいました(笑)。それ以来、調味料は瓶やガラス容器に入れて収納しています」

ヴィンテージグラス

海外のヴィンテージショップに行くと瓶をはじめ、あらゆるリサイクルアイテムを購入。

梅の木から家庭菜園まである大きな庭

庭の梅の木

庭にそびえたつ、大きな梅の木。

広々とした庭では、夏に家族や友人とバーベキューをすることも。まさにいま旬の大きな梅の木、野菜を育てている畑や花、ローズマリーなどの植物まで、たくさんの命が生きている。

庭で遊ぶ子供たち

お友達と一緒に梅拾いする息子の裡工(りく)くん(写真右)。

梅ジュースつくり

毎年、5月半ば頃から収穫し始め、梅干しや梅ジュースづくり。

きゅうりやとうもろこし、プチトマト、オクラ、なす……あらゆる野菜を庭の畑で育てているという日坂さん。

「食材の根っこの部分や種など、普通なら捨ててしまう部分すら、もったいなく感じてきてしまって。庭の畑に埋めてみたら、案外勝手に育ってくれるんですよね。なので、種から買ってくるのでもいいんですけど、とりあえず食材で余った部分を埋めてみるといいと思います(笑)。庭がなければ、ベランダ菜園でもいいと思います。種から発芽して、成長していく過程を子どもにも見せられるので、教育にもつながるかなと思っています。もちろん、私も楽しみながら」

家庭菜園

お子さんが生まれる前からずっとやっている家庭菜園。いまの時期に収穫しているのはルッコラやベビーリーフ、じゃがいもなど。「初挑戦で育てていたレモンが、この間種から初めて発芽したんです! 現在はアボカドにも挑戦中です」(日坂さん)

植物たちの力で、部屋に心地よさを

テーブルにお花を飾る

庭に咲く草木花を摘んで、ダイニングテーブルに飾るのが日課。てんとう虫の姿もチラリ。「てんとう虫は害虫を駆除してくれるので、捕まえては庭にいっぱい放ってるんです(笑)」(日坂さん)

大胆に飾られた、草木花。おしゃれに飾るコツはあるのか尋ねると、「なんにも考えずに飾ってます(笑)」という答えが返ってきた。

そのセンスの良さには脱帽!お部屋に飾ってある植物たちは、庭や近所で摘んできたものばかり。秋になったらもみじ、という風に、季節の草木花を子どもと一緒に取りに行ったりすることも。冬は正月飾りも外で取ってきたものとか。

「庭にもたくさん植物は咲いているので、以前は部屋には置いてなかったんですが、やっぱり室内にも植物を置くだけで、部屋の空気がガラッと変わりますよね」

サボテン

サボテンは、「The farm」(http://the-farm.jp/)で購入することが多い。

また、無類のサボテン好きという日坂さん。あらゆる種類のサボテンが所狭しと並んでいる。

「なぜか昔からサボテンにとても惹かれるんです。見た目はこんなにかわいいのに、灼熱の環境に適応する強さもある。自分を守るために葉っぱがトゲを持ったり、生き抜くすべを知っているサボテンが好きで」

そしてサボテンには不思議な力もあるんだそう。

「サンスベリアスタッキーというサボテンは空気清浄、マイナスイオンが発生すると言われているんです。サンスベリアは、“長く続くこと、不滅、永遠”という花言葉もあるので、サステナブル(持続可能)とも重なりますね。セレウスベルヴィアヌスというサボテンは、本当かどうかはわからないですが、電磁波を吸収するとも言われているそうです。あまり家電をど〜んと置きたくないので、自然の力を拝借しています」

おもちゃも家具も、すべて手作り

手作りのおもちゃ

(左)旦那さん手作りのデスクとチェア (右)飛行機とロケットの遊具も木材で作っている。

家具やお子さんのおもちゃのほとんどは旦那さんの手作り。

日坂さんが仕事で使った什器を捨てずに保管し、その木材でDIYしている。 「木材は自由自在に変形できるのがいいところ。ちょうどいいサイズ感のものや、思い描いているデザインのものってなかなか出会えないので、じゃあ作っちゃえ! みたいな。

私が『こんな家具が欲しい』とか『子どもの絵本を置く棚が欲しい』とオーダーすると主人が作ってくれるのですが、DIYが趣味なので、毎回楽しそうに作ってます。いつも想像以上のものを作ってくれるのでありがたいです」

その出来栄えがまわりでも評判を呼び、友だちからも「作ってほしい!」とお願いされることもしばしば。一度使った木材を捨てることなく活用。 まさにサステナブルな循環の仕方だ。

山や川、海、風…いつだって地球が遊び場

ビーチで石拾い

(左)裡工(りく)くんが拾い集めた石や貝殻は、彼の宝物。(右)毎年夏は淡路島の海へ遊びにいく。

外で遊ぶ子ども

家の近くにも自然がいっぱい。裡工くんが外で草木花を摘んできてくれるので、部屋に飾ることも。

5歳になる息子の裡工くんには、携帯やゲームなどの電子機器を一切持たせていない。山や川、海やキャンプ。地球の大自然が彼の遊び場だ。

「息子には自然に触れることで、土の感触や庭のにおいを感じながら、“自分で考えて遊ぶ”ということを覚えてほしいと思っています。

もちろんもっと大きくなったらまた変わってくることもあるとは思うのですが、今は自然の中で遊ぶことが大事な時期だと思っていて。息子にはのびのびと育ってほしい。将来は何が起きても、自分で息抜きの方法や対処法を考えることができるような、そんな発想力のある大人になってほしいな」

不思議な種の絵

裡工くんが描いた、「不思議な種」というタイトルの絵。“すべての命は種から始まる”といった、哲学的なものすら感じる

「私にとってリサイクルやリユースはクリエイティブなもの。物を捨てないためのアイディアを考えるのが楽しいんです。ヴィンテージから美しいものを見つけるのも、宝探しをしているような感覚なんです」 と、楽しげに語る日坂さん。

ものは循環させて、リユースする。 家電に頼らず、なるべく自然の力を使って、 お部屋の空気をキレイにする。 自然の中で遊び、そこを教育の場にもしてしまう。 持ち前のクリエイティビティも加わり、 今あるものがどんどん新しいものに変化していく。

何より自然とともにに生きながら、無理なく楽しく続けていけることが、もっともサステナブルだ。 きっと、息子の裡工くんにも、その考えは受け継がれていくだろう。 最後に紹介した彼の絵は、「自然の営みと生命や美しさ」をも感じる。

ゼロウェイスト スイートホームとは何か。 不要なものを減らした空間に見えるもの、それは、心温まる家族の愛かもしれない。

編集/深本南(ELEMINIST編集部)

※掲載している情報は、2020年5月27日時点のものです。

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