環境負荷の少ない製品開発を促す「グリーン調達」 ガイドラインでも示されたメリットとは

遠景の高層ビル群

「グリーン調達」とは、企業が製品製造のために材料や部品などをサプライヤーから調達する際、環境負荷の小さいものを選択する取り組みのこと。環境負荷の少ない製品開発を促し、環境問題の改善につながる。環境省が提示するグリーン調達のガイドラインや、実施企業などを紹介する。

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2021.02.02
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グリーン調達とは? 企業が中心となって社会を変えていく

太陽光を浴びるビルの外壁

Photo by JESHOOTS.COM on Unsplash

「グリーン調達」とは、企業などが原材料、部品、資材、サービスなどをサプライヤーから調達する際に、環境負荷の小さいものを優先的に選ぶ取り組みを指す。価格や品質、納期だけを重視するのではなく、リサイクルや耐久性、再生原料の使用といった環境配慮面を調達の基準に追加することだ。

環境に配慮した調達に取り組むことで、サプライヤーに環境負荷の少ない製品開発を促し、環境問題の改善につながることが目的である。

「グリーン購入」と混同されやすいが、これは消費者が環境への負荷ができるだけ少ない製品やサービスを、環境に配慮した企業から購入することである。一方グリーン調達は、主として企業のバリューチェーンマネジメント(VCM)の一環として実施される。

グリーン調達は、環境省によって施工された「グリーン購入法」の方針や、「RoHS(ローズ)指令」など海外で定められている有害化学物質規制に対応するために、民間企業を中心に自主的に定められた基準だ。環境や平和を意味する「グリーン」という言葉が用いられている。

環境省によるガイドライン

環境省は、グリーン調達の推進と環境経営の促進のために、「グリーン調達推進ガイドライン」を公表。

そこには、グリーン調達を推進する背景や、サプライヤーと納入先企業、双方に視点から捉えたグリーン調達の取り組みやメリットなどについて解説している(※1)。

企業は環境問題が中長期的視野で捉え、将来の環境問題の解決に戦略的に貢献していくことは、経営の安定化や成長のために重要だと言う。

また、環境マネジメント規格であるISO14001の認証を取得している企業から優先して調達することも、グリーン調達の一環だ。

グリーン調達を実施するための基準

地面に設置されたソーラーパネル

Photo by American Public Power Association on Unsplash

企業がグリーン調達を実施する際は、まず、自社のグリーン調達に関する方針や内容を明確にし、グリーン調達基準として文書化し、それを企業内で共有したうえで行う。

グリーン調達基準の構成の参考として、「グリーン調達推進ガイドライン」では次のような項目が挙げられている(※1)。

1. バリューチェーンマネジメントの必要性

グリーン調達を実施するには、バリューチェーンマネジメントにつなげることが重要。まず、サプライヤーにグリーン調達の必要性を認識してもらうためにも、企業は環境問題への考え方など、グリーン調達に取り組む必要性をガイドラインに記載する。

2. 環境方針

サプライヤーがグリーン調達を適切に対応できるようにするため、企業の環境理念や環境方針、行動指針など、納入先の環境に関する考え方を記載する。

3. グリーン調達の考え方

グリーン調達を適切に運用していくため、グリーン調達の取り組み方針や適用範囲を明確化させる。

4. 具体的な要求項目の内容について

環境経営の評価チェックリストの作成をはじめ、サプライヤーに要求する項目を明文化させる。

このほか、グリーン購入の取組みを促進する「グリーン購入ネットワーク(GPN)」もまた、グリーン調達判断の指標となるガイドラインや環境配慮商品の情報データベースを発表している(※2)。

グリーン調達のメリット

盆地の街と山間の施設

Photo by Shunsuke Ono on Unsplash

納入先企業にとってのグリーン調達

グリーン調達を取り入れることで製品が環境配慮型になり、市場での販売拡大といった事業機会が得られ、社会的信頼と競合優位性の獲得に寄与する。また、化学物質などの法規制によるリスク回避ができる。東日本大震災で課題となったバリューチェーン(サプライチェーン)での安定した供給体制の構築に寄与する。

サプライヤーにとってのグリーン調達

サプライヤーはグリーン調達に取り組むために、納入先企業の事業戦略を理解する必要がある。環境に関する要求に応えることで信頼構築につながるため、グリーン調達の実施はサプライヤーにとっても事業機会の獲得とリスク回避になり得る。また、ブランド価値そのものを向上さる効果もある。

消費者や地球環境へのメリット

企業が環境問題に取り組むことで、わたしたち消費者にとっては、環境に配慮された商品やサービスを購入できる機会が増える。それらを選択することで、環境不可の少ない商品開発の促進につながる。ひいては、環境に配慮した循環型の社会を形成につながる可能性を秘めている。

グリーン調達の現状と効果

中長期的に見れば、地球環境をよりよいものへと導く可能性を秘めているグリーン調達。環境問題に対する取り組みを企業に求める世間の動きは大きいものの、多額の投資をしてグリーン調達に取り組む企業はいまだ少ないのが現状だ。

また、先進的な納入先企業はあるものの、サプライヤーの環境経営評価の実施範囲は1次サプライヤーが大半。今後は、さらに2次・3次サプライヤーまで拡大することが重要になってくる。

多くの企業が環境問題と真剣に向き合うことで、持続可能な社会を形成していけるはずだ。

※1 グリーン調達推進ガイドライン|環境省
https://www.env.go.jp/policy/env-disc/com/com_pr-rep/rep-ref06.pdf
※2 グリーン購入法適合品や特定調達物品の探し方を知りたい【行政・企業・消費者】|グリーン購入ネットワーク
https://www.gpn.jp/info/gpn/6f92c90c-66b9-4ad3-9c4d-d600965bffc0

※掲載している情報は、2021年2月2日時点のものです。

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